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襲来 『2』

俺達二年C組が担当する場所は、昼休みに俺や玲子がよく一緒にいるベンチのある広場だった。


「それでは移動を開始するぞ!」


「先生!」


「なんだ?」


「俺も…行くんですか?」

俺は先生に質問する。


「当たり前だ。クラス全員で現場に向かう」


「でも!」

全身武装フルアーマーが出来ない俺は、正直足手まといだろう。


「貴様には貴様にしか出来ないことがあるんだ。異論は認めん!」

その口調や表情に迷いを感じさせなかった。


「わ、分かりました!」

俺にも連れて行く理由や価値があるのだ。

それならなんの不満もない。

自分にしか出来ないことをこなすだけだ。



そして酒見先生が現場に向かい走り出す。

俺達もその後を追うため走る。


走ること五分、廊下を抜けて広場が見えてくる。


するとその場ではもう『魔物』との戦闘が行われていた。


『魔物』の数は3体。

大きさは4mほどで、標準サイズよりも低く弱い。


交戦している教師は1人、他はおそらく一年生の生徒だろう。


戦いには慣れていないためか目に見えて不利な状況だと分かる。

それでも懸命に戦っている生徒もいるが負傷している生徒や、『魔物』と距離を取り戦意を失っている生徒もいた。


また、『扉』がすでに消えていることから、『魔物』を3体倒す、もしくは武装機関が来るまで時間稼ぎをするため拘束すれば良い。



そして俺達は広場の中に入る。


「それではまず編成を行なう!攻撃方と俊敏型の生徒と私が奴らを前衛で攻撃する。守備型の生徒は後衛で待機。

相手の攻撃を感じたら即座に『スイッチ』。

スイッチのタイミングは訓練で練習したようにいつも通りにすれば良い」


『はい!』

それは授業で習っていた二年C組が1つの小隊としたときの編成である。

こういった万が一の非常時に備えるための練習が生かされている。



刀鞘とうだいは負傷している生徒の介護を頼む。引き受けてくれるか?」


「分かりました!」

与えられた仕事は負傷者の助けをすること。



そして、素早く編成を組む生徒達。

「各自、全身武装フルアーマー

を展開しろ!」


『ソウルコマンド―――』

全員が全身武装フルアーマーを装着する。

装甲が多色だったのでなかなかカラフルだ。


「…全員展開したな。

…ソウルコマンド、泉光いずみひかる!」

酒見先生の全身武装フルアーマーの装甲は少し淡目の青色であった。

つまり俊敏型に属するという事。

その姿は端然として華やかさがあり、見る者を魅了する力を感じさせる。

しかし、俺には火野エリスの全身武装フルアーマーほどの魅力は感じなかった。


ついでに言えばこのクラスには異端型の全身武装フルアーマーを使う者はいない。



「これは訓練ではない。身の危険を感じたらすぐに逃げるんだ。いいな?」

酒見先生は生徒の命を第一に大事に思っている。


『…はい!!』

その気持ちが伝わったのかより一層大きな声で返事をする。


「配送された武器は持ったな…一点集中でいくぞ!」

それを引き金に二年C組も含んだ戦闘が始まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

戦闘は1時間にも渡って行われていた。


まず酒見先生は固有能力ワンオブスペルと呼ばれる技を使い一体の敵に大ダメージを与えた。

固有能力ワンオブスキルとはその全身武装フルアーマーにだけ備わっているスキルだ。

例えば炎を出したり、氷を出したりと不可思議な能力である。

その代わり代償もあり、使ったあとは『心器』を多く消費するのでひどい疲労感に襲われる。

勿論これを使える人間は専用武器を使える人間よりさらに少ないとされている。



酒見先生の場合は斬撃を空間に残し一瞬で無数の刃を一斉に放つという超技だ。


弱った『魔物』をうちのクラスが追い討ちを掛ける。


そして、酒見先生はその『魔物』を生徒に任せ、もう一体の『魔物』を相手することになった。


圧巻だったのは酒見先生の力だ。

彼女の専用武器の『白雨はくさめ』は切れ味もさることながらどれだけ相手を斬りつけても刃こぼれしない名刀である。


先生の剣術も合わさり、ハイスピードで相手を翻弄し相手の攻撃を全て避けて、生まれた隙を逃さず狙い危なげなく勝利を収めた。


完全に制圧したあと残り2体のフォローをこなし、全て倒し終えたのが1時間だったのだ。


その間俺は、負傷者の安全確保や入院中に学んだ一時的な手当てを行っていた。



「あぁ疲れたー!」

完全に停止した『魔物』を見て安堵したのか誰かがそう声に出した。


幸い、負傷者はいても死人は1人もおらず、最悪の事態は防がれただろう。



「意外となんとかなるもんだな!」

「そうだな!」


クラスメートも自信を取り戻したように笑顔が広がる。


「馬鹿者!今回は運良く敵が弱かっただけだ!自分の力を自惚うぬぼれて注意を怠るな!」

酒見先生が一括する。

固有能力ワンオブスキルを使っても疲れを見せない辺り流石だ。


「「す、すみません!」

慌てて謝る二人組。


「…だが『魔物』を倒したのも事実だ。良く頑張ったな」


「は、はい!」

「…あ、ありがとうございます!!」


「刀鞘。お前も良く頑張ってくれた」


「あ、いえ俺はほとんどなにも…」

出来なかった、どうしてもそう思ってしまう。


「謙遜するな、貴様は充分やってくれた」


「…はい」

それでもやはり少し憂鬱であった。

自分にしか出来ないことが有っても、自分以外が出来ることが出来ないのは…悔しい。



「ここはもう大丈夫か…。貴様らはここで待機していろ!

私と牧先生は他の場所に現れた『魔物』の対処に向かう」

牧先生とは、一年生の担当でここにいたもう一人の先生だ。


「先生、俺達は行かなくていいんですか?」

クラスの男が質問する。


「貴様らはもう充分やってくれた。だから少し休んでいてくれ」


はい、と男は返事を返す。


「では行って来る―――」


先生達が去って皆腰を下ろしてゆっくりしていた。

さすがに戦闘で疲れたのだろう。

俺も周りのフォローしていると、

そいつは突然現れた。




「とうだいぃぃぃぃぃぃぃ!」


「…なっ!?」

後ろから名前を呼ばれ振り返るとそこには怒りの目をした新木が汚い笑みを浮かべながらこちらを見ていた。


「久しぶりだなぁ!

てめえにはきっちりと借りを返してやんねえとなぁ!」


どうやら新木はこの間のことをまだ根に持っているらしい。


「刀鞘君、あれって?」

三船さんが近づいて聞いてくる。


「ああ、この前話した一つ上の先輩だ」

彼はおそらく停学処分で武装機関の遠征には参加出来なかったのだろう。


「邪魔する先公もいねえ!思う存分いたぶってやるよぉ!」


「………はぁぁ」

せっかくのムードをぶち壊しもいいとこだ。

しかしどうしたものか。


クラスメートを頼ろうにもさきの戦闘で皆疲労困憊だ。

先生もまだ戻ってこないだろう。


素手で相手しようにも油断してない新木に勝つことは限りなく0に近い。


「ヒャヒャヒャヒャヒャ!いくぜぇとうだいぃぃぃぃぃぃぃ!!」


「やるしかねえか……!」





「ね、ねえ。あれ見て!」

ふいに女の声が聞こえる。


「う、うそだろ!?」

「なんで!?」


俺や新木も導かれるようにその女の指差している方向を見る。



「…まじかよ」

最悪の展開だ。

指の先の空中には切れ目が発生していた。

空間の歪みによって生まれたのだろう。


そしてそれは徐々にガラスが割れるような音ともに切れ目が広がっていく。




その空間の切れ目から『扉』が落下した。



『きゃああああああああああ!』

その風圧の衝撃で多くの生徒が吹っ飛ばされる。

先ほど教室にいた時よりも激しい地響きと轟音ごうおんが鳴り響く。


広場付近の教室も破壊されていた。

幸い落ちてきた場所は人がいない広場の隅の方で踏み潰される者はいなかったが風圧で怪我をした人も見える。


「な、なんでまた『扉』が現れたんだよ!」

「知るかよ!」

「ふっざけんなよ!さっき終わったんじゃねえのかよ…!」

次々と悲鳴が上がる。


その『扉』は非常に大きく、太陽は完全に隠れ見えなくなる。



ギィィっと、ドアのような開く音と共に扉は徐々に開いて行く。

さらに空気圧が違うのか、開いていく『扉』の風が大きくなびく。


「お、おい!先生を呼んでこいよ!」

「もうおせえよ!それより逃げようぜ!」

「そうよ!早く逃げようよ…!」

「バカ!俺達だけで敵を倒したらそれで問題ないだろが!」


逃げようとする者と前の戦闘の余韻のためか自分達だけでもどうにかなると思い込んでいる者とで意見が別れる。


そのため、全員がどうするのが正しいのか分からなくなってしまう。




その迷いが致命的なミスとなる。





「…なんだ?」

段々と足音のようなズシンとした音が聞こえてくる。

着実に音は大きくなっている。


この音の大きさ…一体何が近づいて来てるというんだ。



完全に開けられた『扉』と共にその足音の正体が顔を現す。



『扉』の高さ約15メートル。

その高さギリギリの『魔物』がそこにいた。



いや、このデカさは『魔物』を超えた『魔物』

『大型魔物』だ。

『大型魔物』にも種類があり、その中の1つがこのドラゴン。


『大型魔物』とは大きさだけでなく力も『魔物』を優に越え、1年に数度しか起きないと言われている。


この『大型魔物』はドラゴンのように、皮膚は甲羅で覆われて、歯は鋭く頑丈。体は赤黒く血が渇いたような色をしている。


その姿に誰もが声を失っていた。

俺はそのドラゴンを知っている。他の全員も知っているだろう。


人間の世界で厄災と言われるほど恐れられ、一説では国1つ滅ぼすほどの力をを持つと言われている。

そのドラゴンは人間たちにこう呼ばれていた。




竜王

またの名を

サイクリード。



全ての魔物ドラゴンの頂点の存在。

学生や教師がいくら束になっても対処しきれないと言われるほど。

出会ったら『逃げる』という選択肢しか残っていない。



だが、パニックのあまり誰も何も出来ずに固まっていた。




「ガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

サイクリードの咆哮は学園中を響き渡った。

さっき確認したらpvが2日で1000ptになってました!

ありがとうございます!

お好み焼き作りたい…

あと、あらすじが多少変更してあるので確認していてください!

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