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袁術の夢
「しくじったよ」
ぼんやりと人影が見える。
服装は高貴。しかし髪はやつれて、綺麗な装飾が施されたローブのような服は、ボロボロ。砂埃や泥がへばりついて糸ほつれも一つや二つではない。
見窄らしい、40代ほどの人物であった。若くは見えず老け込んで見える。
「例え仮初だろうと、偽りだろうと、誰からも認められずとも……ワシは仲の国の皇帝だった。だからこそワシの魂を受け継ぐ君に、“天威”が宿った」
「あれは皇帝になったものに宿る」
「恐らく君の近くにいる者の中にもいずれ新たに“天威”になるものもいるだろう」
「……ワシは周りが見えていなかった」
「人心とはかくも難しいものなのか」
「いや難しいと感じている時点で、最初からワシはその器ではなかったと言うわけか」
「こうして君と話せるのは“女王”のおかげ」
「シャーマンたる、魂を繋ぐ力を持つ、倭国の……………」
「———気をつけろ。君は失敗するな。周囲を注意深く見て、そして……選択を間違えるな」
うつろな夢はそこで終わる。
しかし目が覚めた苑珠の脳裏には何も残らない。夢なんて起きればすぐに忘れてしまう。
そんなものだ。




