66/69
第67話:『一閃、盤上の終止符』
「……これでチェックメイトです。ユイ様、上を!」
戦況を冷徹に読み切っていたカナタの声が、通信機を震わせる。
彼女は俺たちが敵を追い詰めた瞬間に合わせ、
既に基地から「最後の一手」を射出していた。
雲を割り、高周波の唸りを上げて空から飛来したのは、
人型ロボット専用の超振動大剣だ。
「ナイスタイミングだ、カナタ!」
俺が叫ぶのと同時に、ユイは空中で鮮やかにその柄を掴み取った。
二人の熱量が機体に伝わり、鋼の刃が眩いプラズマを纏う。
「……逃がさない。これで、終わり!」
いつもは寡黙なユイが、戦いの高揚感からか、
かつてないほど激しい咆哮を上げた。
「――サオトメ流、星断ち(せいだん)ッ!!」
振り下ろされた一閃は、ボスの巨大な機体を、
装甲も、核も、その悪意すらもまとめて、
一刀両断に、真っ二つに切り裂いた。
背後で巻き起こる巨大な爆炎。静まり返る戦場。
「……やったよ、おじさん」
ユイの荒い呼吸が、重なる俺の胸に伝わってくる。
アリーナを埋め尽くす二万人の観客は、
その神話のような幕切れに、大地を揺らすほどの喝采を捧げた。




