第66話:『鋼鉄の咆哮、魂の連撃』
「ドッキング完了……出力全開! おじさん、行くよ!」
合体の衝撃が冷めぬまま、ユイは叫ぶと同時にスロットルを押し込んだ。
ドッキングの慣性をそのまま殺さず、新生した人型ロボットが、
爆炎を切り裂いて敵ボスの懐へと弾丸のように突っ込んでいく。
「――はあぁぁぁッ!!」
ユイの気合と共に、巨大な鋼鉄の脚がしなり、ボスの胸部へと
重戦車並みの質量を伴ったドロップキックが叩き込まれた。
「ギギィィィッ!」という耳障りな金属悲鳴を上げ、
あれほど不動だった巨体が、数メートル後方へとはじき飛ばされる。
「……ハッ、動ける、動けるぞ! このパワー、最高だぜ!」
俺は膝の上のユイに重なるようにして、サブモニターの数値を調整する。
人型に換装したことで、格闘戦のレスポンスは異次元の域に達していた。
立ち直ろうとするボスに対し、ユイはさらに肉薄し、鉄拳を叩きつける。
「左、右! 甘いよ!」
鋼の拳がボスの装甲を凹ませ、火花を散らす。
これまでは掠り傷も負わせられなかった敵の「肉」を、
俺たちが作り上げた「指」が、確実に、そして無慈避に引き裂いていく。
人型同士の、小細工なしの、本物の殴り合い。
アリーナの二万人は、この野性味溢れる「肉弾戦」に総立ちとなった。
「……ゲンさん、ユイ様! そのまま一気に畳み掛けて!」
カナタの指示も、もはや戦術を超えた熱を帯びている。
俺はユイの呼吸を感じながら、目の前の巨体を粉砕するために、
機体の全リミッターを、その手で静かに解除した。




