第61話:『盤上の救出劇』
「……敵を引きつけるビーコンを逆手に取ります!」
カナタの叫びに、俺は戦車のレバーを強く握り直した。
「ゲンさん、ユイ様を今すぐここへ着陸させてください。
空中にいる限り、敵の包囲は絶対に解けません!」
「地上で物理的に外すってわけか。合点だ!」
俺は戦車を走らせ、上空を舞うユイへ叫ぶ。
「ユイ! そのまま俺の隣へ降りろ!
一気に着地して動きを止めろ!」
「……わかった。おじさん、守ってね!」
ユイは急降下を開始。俺は自機と飛行パーツを操作し、
ユイが着地するための盾として、周囲の砲火を遮断した。
激しい砂煙を上げ、ユイの機体が地面へ滑り込む。
俺は自分の戦車を彼女の機体の横にピタリと停めると、
ハッチを蹴破って飛び出し、レンチを手に走り出した。
「カナタ、一分だけでいい! 敵を近寄らせるな!」
「了解! ユイ様の機体の火器を遠隔でジャックします!」
カナタの精密な援護射撃の中、俺は機体底部へ潜り込む。
「……見つけたぞ、この野郎!」
磁気レンチを叩きつけ、無理やりビーコンを剥ぎ取った。
俺はそれを、横に停めた自分の戦車の装甲へ叩きつけた。
「ゲンさん、今すぐユイ様のコアに乗り込んで下さい!
予備の戦車を囮にして、ユイ様の機体で脱出します!」
カナタの鋭い指示に従い、俺はユイのコックピットへ。
俺が座り、その上にユイを座らせる強引な二名乗車。
「……おじさん、ちょっと狭いけど、あったかいね」
俺は無人になった自分の戦車を、遠隔で敵の群れへ走らせた。
ビーコンを載せた戦車を追い、空中の敵が一斉に反転する。
敵同士が激突し、爆炎が荒野を赤く染め上げた。
「……チェックメイトです」カナタが静かに宣言する。
だがその直後、炎を切り裂いて巨大な影が降り立った。
「……何だ、あれ……ロボット?」
そこには、今までの兵器とは一線を画す、
禍々しい人型の「侵略者」が、最後のボスとして立ち塞がった。




