第49話:『招かれざる援軍』
新体制が整ったサオトメ技研に、意外な場所から「商談」が舞い込んだ。
相手は「ディフェンス・ノヴァ」。
実力派として知られる中堅の民間防衛会社だ。
「……共闘のオファー?」
アリスが怪訝そうに、送られてきた企画書をモニターに映し出した。
「次回の侵略予測地点で、うちの重装甲部隊と、
サオトメ技研の換装機で連携を組まないか、だって」
ゼンジはニヤリと笑い、既にその「絵面」を計算し始めている。
「面白い。実力派のプロと、彗星のごとく現れたうちのユイ。
その背中を預け合う構図は、間違いなく爆発的にバズるぜ」
だが、俺は腕を組み、不気味なほどの「好条件」に眉をひそめた。
「……話が上手すぎねえか。共闘の報酬は全額うちでいい、
その代わり、戦闘のログを共有させてくれなんてよ」
「……ゲンおじさん。私、知らない人と飛ぶの、苦手かも」
ユイが少し不安げに呟く。そこへ、新入りのカナタが口を開いた。
「盤上でいう『相掛かり』ですね。相手の狙いは、
共闘による名声か、それともユイ様の機体データの盗用か……」
カナタの瞳は、既にこのオファーを一つの「局面」として捉えていた。
「……どちらにせよ、受けるメリットはあります。
向こうの盾を囮に使えば、ユイ様の被弾率はさらに下がる」
「……よし。カナタの初陣にも丁度いい。受けてやろうぜ」
俺は、もしもの時のために、外部からの不正アクセスを
遮断するプログラムを、こっそりコアに仕込み始めた。
サオトメ技研、初の合同任務。
だが、その裏には、ただの協力関係では終わらない、
業界のどろどろとした思惑が渦巻いていた。




