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整備士物語 ― 銀河の運命は、映えるロボのいいね数に託された ―  作者: じょん-ドゥ


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第47話:『詰みの予感』

「……戦車パーツの、詳細な能力と仕様資料を見せてください」


カナタは震える手で涙を拭うと、鋭い勝負師の目で俺に詰め寄った。

もはやそこには、先ほどまでの「限界オタク」の姿はない。

俺が手渡した分厚い技術資料を、彼女は奪い取るように受け取ると、

凄まじい集中力で一分ほど、全ページを脳内に叩き込んだ。


「……行けます。もう一度だけ、シミュレートを開始して下さい」


再び始まったテスト。だが、開始早々にカナタは無線で叫んだ。


「ユイ様、今は攻撃しないでください! 私が指示を出すまで、

とにかく回避だけに専念を! 一発も撃たないで!」


「……え?」ユイが戸惑いながらも、敵の猛攻を紙一重でかわす。

カナタはモニターの海を睨み、盤上の駒を操るような冷徹さで、

ユイに細かな移動座標の指示を出し続けた。

ユイがその指示通りに、不規則なジグザグ走行を繰り返すと、

バラバラに包囲していた十機の敵機が、まるで磁石に吸い込まれる

ように、縦一直線の完璧な列へと誘導されていった。

俺はモニターに表示された敵の移動ログを分析し、驚愕した。


「……なんだって!? 敵を誘い込んで、整列させただと?」


カナタは個々の敵の旋回半径と反応速度を完璧に計算し、

逃げ場を消すことで、敵を自ら『直線』へ逃げ込ませていた。

一万通り以上の予測から、一つの解答を導き出す盤上の王の力。


「ユイ様、今です! 戦車主砲、最大出力で射出してくださいっ!!」


カナタの合図と共に放たれた主砲の咆哮。だが、その直後……。

「……あ」ユイの機体が、残った敵の反撃を浴びて画面が暗転した。

今のシミュレーターの設定では、主砲は一機しか貫通しない。

一直線に並べても、二機目以降は無傷で残ってしまったのだ。


「……負けました。機体の仕様を、読み切れていなかった……」


カナタは力なく膝をついたが、俺の背中には冷や汗が流れていた。


「……いや、負けじゃねえ。カナタ、あんたの読みは正解だ。

シミュレーターの仕様が、あんたの異次元の頭脳に、

そしてあんたが導き出した『最短の勝利』に追いついてねえんだ」


俺は、戦車主砲に「貫通機能」を持たせるための大規模な改造を、

既に脳内で決意していた。この軍師が、俺たちの翼を完成させる。

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