第41話:『鋼鉄の降臨』
新型パーツの調整を終えたその時、警報が鳴り響く。
「――敵襲! 侵略者の陸戦部隊が市街地を突破中!」
アリスの叫びに、俺はモニターへ視線を投げた。
今回の敵は空戦タイプではなく、多脚の重装甲機だ。
「なるほどな。街の建物が遮蔽物になってやがる。
これじゃ、飛行機で空から狙い撃つのは難しいな」
低空を這う敵に対し、戦車パーツはうってつけの相手だ。
今日のアリーナでは、有名アーティストのライブ中だった。
緊急発進の警告が響くが、演奏は止まるどころか激しさを増す。
ステージ背後の巨大モニターには、ゼンジの演出によって、
巨大なシリンダーが重々しく回転する映像が映し出された。
ガシャリ、とリボルバーが止まり『陸戦戦車型』が選ばれる。
その画像と重厚な文字が、爆音の演奏と共に会場を震わせた。
「……ハッ。全く、盛り上げ方がうまいじゃねえか」
俺はゼンジの采配に苦笑しつつ、換装の準備を完了させた。
ユイがカプセルに入ると、砕け散る氷の音に合わせ、
ドラムの連打とギターの爆音が見事に重なり合った。
二万人の熱狂の中、スーツ姿のユイが姿を現すと、
会場のボルテージは最高潮に達し、地鳴りが起きた。
ユイはアイドリングを上げる飛行コアに飛び乗り、
リボルバーへ、弾丸のごとく突入する。
シリンダーには、既に翼の付いた戦車が装填済みだ。
「飛行コア、接続!」凄まじい衝撃と共に合体が完了した。
アーティストは発進の轟音をBGMに取り込み、
最高潮の旋律を奏でながら、夜空へと飛ぶ機体を見送った。
「射出!」観客の頭上を越え、戦車が漆黒の空へ弾け飛ぶ。
ライブの興奮が冷めぬ中、ゼンジが中継のスイッチを叩いた。
「……戦場を這う敵も、まさか空から戦車が、
降ってくるとは思わねえだろうな」
俺はモニターに映る、落下予測地点のデータを見つめた。
空を支配した次は、大地を蹂躙する番だ。




