第40話:『鋼鉄の降下、陸戦の牙』
「……空中換装が保留なら、次は用途別の拡充だ」
俺が格納庫の奥の幕を上げると、そこには鈍い光を放つ、
巨大な「陸戦用戦車パーツ」が鎮座していた。
「発進はリボルバーよね。でもゲンさん、
重い戦車をどうやって現場まで素早く届けるつもり?」
アリスの疑問に、俺は戦車に付けた巨大な翼を指した。
「こいつに翼とエンジンを付け、飛行機として飛ばすんだ。
戦車自体にも短時間なら空を飛べる性能を持たせたが、
現場まではこの飛行パーツで高速輸送する」
「戦場の上空に到達したら、その翼をパージするんだ。
そこからは戦車自身のブースターで姿勢を制御し、
敵の真上へ、数トンの鉄塊として着地させる」
空中換装の代わりに俺が出した答えは、
「必要な姿で空から直接殴り込む」ことだ。
空中で翼を脱ぎ捨て、着地と同時に主砲を放つ。
これほど合理的で「映える」運用はない。
「空を舞う戦車か、最高に狂ってるぜ」
ゼンジがニヤリと笑い、カメラの調整を始めた。
「ユイ、着地の衝撃はデカいぞ? 耐えられるか?」
ユイは「……逆噴射を合わせれば問題ない」
と事も無げに言って、重装甲のハッチを叩いた。
空を支配した次は、大地を蹂躙する番だ。
重厚なキャタピラが、ドックの床を軋ませて動く。
サオトメ技研の次なる矛は、
空飛ぶ戦車という矛盾を孕んだ、最強の兵器だった。




