第39話:『現実的な壁と次の一手』
新基地の作戦会議室。俺たちは大型モニターを囲み、
今後の機体開発について、激しい議論を交わしていた。
焦点は、当初の目標だった「空中換装システム」だ。
「……やはり、デメリットが多すぎます」
アリスが、シミュレーション結果を指して溜息をついた。
空中でパーツを付け替えること自体は、
ユイの卓越した技術があれば、理論上は可能だ。
「問題は、換装した後に切り離された古いパーツだ。
戦場のど真ん中で、巨大な金属塊を放置するわけにはいかない。
回収機を飛ばすコストも、衝突のリスクも高すぎるわ」
「……ああ。戦況に合わせてパーツを捨てるなんて、
いくら金があっても足りねえし、危険すぎるな」
俺も同意して腕を組んだ。効率を求めた結果、
回収に手間取って撃墜されたら、本末転倒だ。
そこで俺は、一つの代替案をテーブルに提示した。
「……空中換装に拘るより、予備機の開発を優先すべきだ。
コアは一つでも、最初から換装済みの素体を複数用意する。
壊れたら戻って別の機体に乗り換える。それが一番確実だ」
「つまり、一機を弄り回すんじゃなくて、
完璧に整備された『スペア』を常に並べておくってことか」
ゼンジがニヤリと笑う。
「それはそれで、
ドックに並ぶ機体の圧倒的な物量ってやつが映えるな」
空中換装という理想は、一度棚上げすることになった。
だがそれは敗北じゃない。より確実にユイを守り、
着実に戦果を上げるための、プロとしての決断だった。




