第36話:『二層の要塞』
夜空へと射出された機体が、美しい旋回を描いて戻ってくる。
「さあ見ろ! これが我が社の次世代着艦システムだ!」
ゼンジの声と共に、大型モニターに後方映像が映し出された。
【着艦:壁の開口】
機体はホールの真上を過ぎ、建物の側面へと高度を下げる。
観客が息を呑む中、ホールのすぐ下の階層の巨大な壁が、
重厚な機械音と共に左右にスライドし、大きく開放された。
「発進はホール。着艦はその階下で行う完全二層構造だ!」
壁の向こうから、眩い誘導灯を放つ着艦路がせり出す。
ユイの機体は、その狭い開口部へと迷いなく滑り込んだ。
【設備:機能の解説】
機体がドックに固定されると、モニターに俺たちの姿が映る。
アリスがマイクを握り、驚愕する観客へ誇らしげに語った。
「経路を分離し、ライブを止めずに即座に整備が可能です」
「常に万全、常に即応。これがサオトメ技研の合理性です」
着艦路からリフトで、再びステージへせり上がるユイ。
「……おじさん、ブレーキの感触、前のより良くなってる」
「当たり前だ。二万人の命を預かる着艦路だからな」
観客は徹底された設備の機能美に、再び圧倒されていた。
嘘を支える圧倒的な本物の設備。
それはどんな合体ロボより、力強く世界を説得していた。




