第35話:『鋼鉄の祝祭、虚構の飛翔』
「サオトメ技研アリーナ」落成式当日。会場は二万人の、
観客とメディアの熱気で、爆発寸前の緊張感に包まれていた。
「ゲンおじさん、ただのデモなんだよね?」
「ああ。だが世界中が見てる。派手にぶちかましてやれ」
【始動:ステージの開懐】
暗転した会場に、ゼンジの重厚なナレーションが響く。
「――今、神話が現実となる」
その瞬間、照明を浴びたステージ中央が、左右に割れた。
地下からせり上がったのは、咆哮を上げるコアユニットだ。
同時に、客席を貫く巨大な「射出レール」が地中から現れ、
斜め上空に向かって、鋭く伸びていく。
「プラグイン・スタート!」ユイが叫ぶ。
水が舞い、凍り、砕け散る。あの「変身」が再現された。
【変身:氷の着装】
氷の欠片を散らし、スーツ姿でコアに飛び乗るユイ。
あまりの機能美に、マスコミのフラッシュが雷鳴と化した。
「全システム、オールグリーン。……行ってくる」
ホールの屋根が開放され、巨大なシリンダーが姿を現す。
【射出:空のリボルバー】
コアがレールを滑り出し、観客の頭上を爆速で駆け抜ける。
シリンダーが回転し、最適な換装パーツを選択。
「カチリ」とロックした刹那、コアが薬室へ吸い込まれた。
凄まじい火花を散らし、機体が夜空へ射出される。
同時視聴者数は数億を超え、画面は熱狂のコメントで埋まる。
二万人の地響きが、機体の咆哮さえも完全にかき消した。
「……ハッ。これなら誰も、文句は言えねえな」
俺は夜空へ消えた機体を見上げ、
本物と偽物が溶け合った、究極の「戦場」の完成を確信した。




