第33話:『狂気と夢の提携』
ゼンジの暴走は止まらない。彼はアリスを連れ、
大手芸能事務所へ乗り込み、とんでもない提案をした。
「毎日アイドルのライブを開け。会場使用料はタダでいい」
破格の条件に、事務所の担当者は目を剥いた。
「ただし条件がある。ここは二万人収容のホールだが、
同時に我が社の射出設備だ。ライブ中であっても、
敵が出れば強制的に『発進』が行われる」
ゼンジは不敵な笑みを浮かべ、設計図を広げた。
「客席の真ん中に、巨大なリボルバーが聳え立つ。
壇上でユイが変身し、客席を突っ切ってコアが突入。
そのまま換装して天井をぶち抜いて飛んでいく。
これ以上に映える演出が、この世にあるか?」
「危険すぎる!」担当者が絶句する中、ゼンジは続けた。
「だからゲンが、世界一安全な誘導レールを敷く。
使用料はタダだが、チケットの売上から数割をもらう。
……さて、お宅は、何割出せる?」
アリスは「そんな無茶な……」と震えていたが、
担当者の目は、かつてない興奮に燃え始めていた。
「……二万人の真ん中で、本物の英雄が飛び立つ。
全利益の四割を、そちらに差し上げましょう」
「交渉成立だ」ゼンジが握手を交わした瞬間、
アリスは椅子から滑り落ちた。
俺は「客席貫通レール」の安全対策を再計算し始める。
人気と実戦、アイドルの夢を飲み込んだ基地が動き出す。




