第27話:『本物の宣誓』
静まり返った会場に、ゼンジの重厚なアナウンスが響く。
「――お待たせいたしました。我がサオトメ技研、
代表取締役社長、アリスよりご挨拶申し上げます」
その紹介を受け、アリスが社長として一歩前に出た。
戦闘を終えたばかりの機体が、背後で熱気を放っている。
一万人の観客が見守る中、彼女は震える声で話し始めた。
「皆さん、今日のショーは……いかがだったでしょうか。
ド派手な演出、加工された映像、そしてこのステージ。
それらは全て、私たちが用意した『演出』かもしれません」
アリスは一度言葉を切り、傍らに立つユイの手を握った。
「でも、今ここで彼女が流している汗も、
皆さんの頭上を切り裂いていったあの機体の機動も、
それだけは、決して偽物ではありません」
会場の空気が、彼女の言葉の一言一言に引き締まる。
「私たちが提供するものは、安っぽい虚実ではなく、
この世界を護り抜くための『本物』です。
人気だけではない、真の強さを、私たちは証明し続けます」
「いいね」を稼ぐための玩具ではなく、命を繋ぐための兵器。
若き社長の剥き出しの言葉は、演出を超えた説得力を持って、
一万人の観客、そして配信を観る全世界の胸に突き刺さった。
一瞬の静寂の後、会場は今日一番の拍手に包まれた。
「……ゲンおじさん。お姉ちゃん、かっこいいね」
ユイが小さく呟き、俺は黙って火薬の匂う空を仰いだ。
「――さあ、お待たせいたしました!
これより、皆様お待ちかねの握手会を開始いたしますッ!」
ゼンジのアナウンスが、感動の余韻を鮮やかに切り替え、
会場を再び、期待と熱狂の渦へと引き戻した。




