第23話:『冷徹なプロデューサー』
「ユイ、負担をかけて本当にごめんね。でも……
これも会社と機体の維持費のためなの」
アリスが申し訳なさそうに、ユイの肩を抱いた。
それを見ていたゼンジが、鼻で笑って口を開く。
「おいアリス、なんで自分は他人事なんだ?
……お前もステージに立つんだぞ、当然だろう」
「はぁ!? な、何言ってるのよ、私は裏方でしょ!?」
アリスの叫びに、ゼンジは冷徹な眼差しを向けた。
「一万人が十万円払って来るんだぞ。挨拶程度で
納得するわけねえだろ。歌と踊りもやるんだよ」
「「……絶対に、無理!!」」
アリスとユイの全力の拒絶が、ガレージに響き渡る。
しかし、ゼンジは動じず、ただ淡々と告げた。
「……そうか。じゃあ、会社が潰れてもいいんだな?
ゲンへの給料も、予備のパーツ代も払えなくていいんだな」
二人は言葉を失い、ぐぬぬと唸りながら顔を見合わせた。
整備用の機材、ユイの乗るコア、そして俺の待遇。
それらを守るための人質は、自分たちのプライドだった。
「……わ、わかったわよ。やればいいんでしょ……」
アリスがしぶしぶ了承し、ユイも魂が抜けた顔で頷く。
「……ゲンおじさん。私、アイドルになるために、
パイロットになったんじゃないのに……」
俺は、複雑な思いで彼女たちを見守ることしかできない。
「ま、やるからには完璧に整備してやるよ。ステージをな」
「ククク……交渉成立だ。段取りは全部俺に任せろ。
世界一、美しくて残酷なショーにしてやるぜ」
ゼンジは再び端末を叩き、狂気的な演出プランを、
一気に加速させ始めた。




