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整備士物語 ― 銀河の運命は、映えるロボのいいね数に託された ―  作者: じょん-ドゥ


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15/69

第15話:『空洞の英雄』

サオトメ技研が「本物の熱狂」に沸く一方で、

ゲンが去った「ギャラクシー・エンターテインメント」の

巨大ドックには、かつてない暗雲が立ち込めていた。


現場を支えていたゲンの精密な「調整」という魔法が解け、

機体には目に見えない歪みが蓄積し続けていたのだ。

演出はいつも通り、豪華な火花とド派手な搭乗シーン。

世界中の視聴者は、英雄レオのキメ顔に熱狂していた。


だがその裏側で、三機の駆動系は限界の悲鳴を上げる。

整備士たちは青白い顔で、制御不能な数値を睨んでいた。

そして先日の出撃で、ついに「その時」が訪れた。


「合体! ギガ・フォォォォォ――ッ!?」


レオの絶叫が、恐怖の悲鳴に変わる。

ゲンの不在でわずかに狂った、三機の同期設定。

空中合体の瞬間、二号機が三号機の翼を叩いたのだ。

激しい金属音と共に、合体プロセスは無残に失敗。

バランスを失った二号機は、制御不能のまま地上へ墜落。

パイロットは一命を取り留めたが、全身骨折の重傷だ。

世界に配信されたのは、無残に爆ぜる玩具の残骸だった。

だが、本当の地獄はそこから始まった。


三機で合体するロボは、三機揃って初めて価値がある。

一機でも欠ければ、残された二機はもはや合体できず、

巨大な粗大ゴミ、もとい、ただの観賞用機械に過ぎない。


防衛兵器としての機能を、完全に喪失してしまったのだ。


「急げ! 予備の新型機を今すぐ実戦に投入しろ!」


社長が怒鳴るが、開発ラインは完全に停滞していた。

ゲンの引いた「極限まで無駄を削り、演出をねじ込む」

という狂気の設計図を理解できる人間が、もういない。


人気という虚構で築かれた黄金のドックは、

たった一人の職人を失っただけで、

内側から音を立てて、崩壊し始めていたのである。

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