第14話:『バズりと熱狂』
空中換装という難題は、一旦「今後の課題」として棚上げされた。
今の俺たちがすべきは、手元にある「本物」の魅力を、
ゼンジの嘘(演出)を借りて世間に知らしめることだ。
数日後、ついに新生・サオトメ技研の動画が公開された。
闇の中からリボルバーが重々しく回転し、パーツを選ぶ。
輸送コアへ接続される瞬間の、無骨な金属音と火花。
そして、ユイのあの「死んだ魚のようなクールな瞳」。
結果は……劇的なまでの「大バズリ」だった。
「……見て、ゲンさん! 再生数が一千万を超えた!
コメント欄も『本物の匂いがする』って大騒ぎよ!」
アリスが端末を握りしめ、ガレージで跳ね回る。
「リボルバー・カタパルト、トレンド一位だぜ」
ゼンジはニヤリと笑い、勝利の美酒を煽った。
「キラキラした演出に飽き飽きしてた連中に、
この地味で重厚な『機能美』が、劇薬として効いたな」
ネット上では、ユイの無愛想な態度も「氷の撃墜王」と
勝手に神格化され、熱狂的なファンを生み出していた。
レオのような「作られた笑顔」とは違う、
ただ戦うためだけに存在する少女の姿に、人々は熱狂した。
だが、人気が出れば出るほど、不都合な奴らも現れる。
「……チッ。注目されるのはいいが、面倒な連中が、
このボロガレージを嗅ぎ回るようになるぞ」
俺は浮かれる二人を余所に、レンチを握り直した。
人気が金に変われば、次はさらなる強さを求められる。
次の戦いは、画面の中だけじゃ済まないはずだ。




