第13話:『空中の残像』
「……なぁ、アリス。この換装パーツだけを戦場に射出して、
空中でコアと合体させることはできないのか?」
動画を編集しながら、ゼンジがふと思いついたように尋ねた。
「それができりゃ、撮影のバリエーションは無限に広がる」
アリスは困ったように、だが瞳に理想を宿して答えた。
「……最終的には、それが私たちの目指す完成形です。
でも、今の制御ソフトと出力じゃ、空中で位置を合わせる
精密な機動はまだ無理。……今はまだ、理想の話です」
それを聞いていた俺が、タバコを吹かしながら口を開いた。
「……なら、逆はどうだ。シリンダーから換装パーツを
低速で射出し、待機しているコアの方へ移動させる。
輸送用の代替コアに接続した状態で発進させるんだ」
「移動中の換装……。機能チェックと発進準備を同時に
進めるってことか?」
ゼンジがニヤリと身を乗り出す。
「ああ。手間は増えるが、その『重厚な接続工程』自体が、
動画にしちまえば最高に格好いい絵になるはずだぜ」
「いいね、ゲン! 接続の官能美をじっくり撮れる。
よし、次のプロモーションの構成はそれで行こう!」
ゼンジは興奮気味に、空中に絵コンテを描き始めた。
だが、アリスは少し寂しげに、完成途中の素体を見上げた。
「……でも、やっぱり空中換装ができないと、
本当の意味で戦場を支配することはできない。
道はまだ、ずっと先の話ですね……」
俺はアリスの肩を叩き、静かに、だが力強く告げた。
「……先があるからこそ、俺みたいな整備士がいるんだ。
まずは一歩ずつ、その『不可能』を潰していこうぜ」




