第12話:『虚実の弾丸』
「発進テスト、開始だ! ユイ、フルスロットルで突っ込め!」
ゼンジの合図とともに、コアのエンジンがガレージを震わせる。
ユイは躊躇なく加速し、黒い段ボールのシリンダーへ突入した。
ガシャォォォンッ!
精密な計算通り、コアはシリンダー内の飛行ユニットと合体。
そのまま爆音を立てて戸外へ弾け飛んだ……が、その瞬間、
風圧と振動に耐えきれず、段ボールの銃身は無残に弾け飛んだ。
「ああっ、私たちの手作りカタパルトが!」アリスが悲鳴を上げる。
ボロボロの紙屑が舞う中、ゼンジだけは不敵に笑っていた。
「いいんだよ、お嬢ちゃん。予算ができたら本物を作ればいい。
……ゲン、今の『噛み合った瞬間』、最高にエロかったぜ」
ゼンジは即座に端末を開き、今撮った映像の加工を始めた。
数分後、彼が提示したモニターに、三人は息を呑んだ。
そこには、漆黒の鋼鉄で作られた重厚なシリンダーがあった。
金属特有の鈍い光を放ち、重々しく回転してパーツを選ぶ。
「装填完了」のテロップとともに、背後からコアが超高速で飛来。
薬室に吸い込まれる刹那、激しい火花が散り、
一ミリの狂いもなくドッキングして戦場へ射出される。
「……これ、さっきの段ボールか? 壊れたシーンが消えてる」
俺が呆然と呟くと、ゼンジはニヤリと不敵に笑った。
「都合の悪い現実はカットし、最高の瞬間だけを繋ぐ。
これが『物語』の作り方だ。見てろ、世界がこの一発で酔うぞ」
画面の中の「偽物の銃身」から放たれた、本物の弾丸。
その機能美に満ちた映像が、今、世界中のネットワークへ
音を立てて拡散し始めた。




