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隣国の王子(お色気担当?)

今年の夏はE6までしかクリアできませんでした。

「……別に、苦手でも、嫌いでもないですよ?」

 苦い豆を噛んでも表情を変えない王子の苦い顔に説得力は無い。

だが、だからといって嘘をついている様子も無い。


「今日の私の用件とも関係しているので、先にスキルラ神国の先代巫女姫とその最期さいごについて、父上が御存知の事を教えてください。」

 アルフェラートが知っているスキルラ神国の情報は多くない。

だが、他国の情勢を把握するのが仕事の内の父王なら何か知っているはずだ。


……ましてや、リチェの痣。

興味ないで済ますはずが無い。


西の果てにあるスキルラ神国と、東の果てのフォティニア王国と直接の交流はない。

彼の国は閉鎖的で、国内で何が起きているのか、余り他国には情報が流れてこない。


しかし、蓮の花の痣を持って生まれて来る紅い瞳の巫女姫の話は、この世界の人間なら誰でも知っている。


代々スキルラの王家の血脈にのみ生まれ、10代前半で生涯を終える。

巫女姫が死ぬとそのむくろは残らず、紅い花が散る様に霧散して消える。

先代の巫女姫が死んで最初に生まれる女児に紅い蓮の痣があり、次代の巫女として扱われる。

巫女姫は、黄金の木に紅い花を咲かせるのが仕事だ。


一般的に知られているのはこの位だろうか?


何から話すか迷っていた父王が、重々しく口を開く。

「……カレルの瞳が紅い事はお前も知っていると思う。」

 話が一周まわって、ブーメランの様に隣国の第四王子に戻って来た。


第四王子のカレスファシルは、彼の父に似た艶やかな癖のない黒髪を短く纏めたシャープな印象の美少年だ。

白皙の肌に映える、子供特有の大きめの瞳は最上位の紅玉ピジョンブラッドを遙かに超える輝きで見る者を捕らえる。


見るものを捕らえると言うのは比喩ひゆでは無い。

文字通り、血縁関係に有る者を除き、彼より劣る魔力総量の人間は、ほぼ確実に彼を見ただけで、魅縛される。


もちろん、第四王子が望んでないにも関わらずだ。

しかも、そうして自我を失った者達は、男女、身分を問わず、欲望のままに、まだ子供の王子に性的な意味で襲いかかると言う誰得な鬼畜仕様。


別にそれだけなら何も気にする事も無い。

薄情と言われようが、ただの面白人間だとアルフェラートは思う。


「先代の巫女姫が無くなったとされるのは、およそ10年前くらいだとされる。」

 カレルが生まれたのは8年前……。


まさか紅い目と言うだけで巫女姫の可能性を疑われたとか言わないよね?

賢い長男の困惑顔に真剣な顔で頷いて見せる父王に、いや、「うん」じゃないから。と、心の中で突っ込みを入れる。


男で巫女姫も何も無いだろうと思うが、濁りの無い、宝石のような紅い瞳は、

一般には知られていないが、神話の時代の禁呪の影響を受けた人間で有る事を示す。

禁呪自体が失われた文明の産物であり、堂々と現存しているのは、巫女姫のみであったのだ。


「スキルラ神国になかなか巫女姫が産まれなかった時期に、他国の王子に紅い目の特殊能力持ちが生まれたと言う事で、微妙な緊張感漂ってたな。」

 淑女と呼ばれる人達が目にしたら喜びそうな憂鬱アンニュイな顔しても残念ながらここには息子しか居ないので話を進めて欲しい。


「あの時は、スキルラの神殿が、巫女姫はまだこの世界に現れてないと発表したから、すぐに落ち着いたのだ。」

 それだけなら、スキルラ神国の王族の血統の女児にしか現れないはずの巫女姫が、ガイラルディア帝国の第四王子とかって普通思うでしょ?


「ところが、二年後産まれたのがお前だ。」

 大人しく話を聞いていた息子に突然水を向ける。


「気にしないと解ってるから言うが、お前の魔力は人間の常識を越えている。」

 巫女姫の消失からアルフェラートの誕生まで四年。


今までこれ程までに巫女姫の不在が続いた事は無いと言う。

カレスファシルもアルフェラートも異質と言う部分では大して変わりない。

そして、巫女姫の不在の時期に他国の王家に異質な子供が何人も産まれたと言う事は、スキルラ神国にとって無視できない事であったようだ。

ここからは憶測半分になるが……、と前置きの上、西の国でおよそ10年前に起きたと思われる悲劇の話が始まった。

少しづつ、イケメンが出てき始めました。

……兄王子のまわりに……。

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