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発見

警視庁○○警察署。


署内の一室で、初老の男性が刑事と向かい合っていた。


「事情は分かりました」


刑事は手元の資料へ目を落とした。


「息子の明人さんが、お孫さんを預けに来た」


「そして、二週間たっても戻らなければ、警察へ届け出るように言われたんですね?」


「はい」


明人の父親は重く頷いた。


「最初は、何のことか分かりませんでした」


「ただ、あまりにも真剣な顔をしていたものですから……」


父親は苦しそうに顔をしかめた。


「その後、明人さんから連絡は?」


「ありません」


「現在、どこにいるか心当たりはありますか?」


父親はゆっくりと首を横に振った。


少しの沈黙が流れる。


父親は不安そうに刑事の顔を見た。


「あの……」


「発見された夏未さんたちは、今どうしているんですか?」


刑事はすぐには答えなかった。


手元のメモを閉じ、何とも言えない表情を浮かべた。



半日前。


湖畔にある工房の前に、二人の警察官が立っていた。


『これより、工房内の捜索を開始します』


一人が無線で本部へ連絡する。


もう一人は、窓から中の様子をうかがっていた。


「人影は見えないな」


入口へ回る。


「扉が開いてる」


警察官たちは慎重に工房へ入った。


「警察です!」


「誰かいませんか!」


声を張り上げる。


しかし、返事はなかった。


二人は工房内を見回した。


作業台。


木材。


工具。


完成途中の家具。


人がいた形跡はあるものの、誰の姿も見当たらない。


「誰もいないようだな」


一人が首を横に振り、入口へ戻ろうとした。


そのときだった。


一匹のシベリアンハスキーが、勢いよく工房へ駆け込んできた。


「うわっ!」


警察官が驚いて身構える。


「リードがついてないぞ」


「ここの飼い犬か?」


ハッピーは二人には目もくれず、工房の奥へ走っていった。


床に敷かれたラグの前で止まる。


その上には、大きな収納棚が置かれていた。


ハッピーは棚の周囲を歩き回ると、前脚でラグを何度も引っかき始めた。


「何してるんだ、あの犬」


警察官の一人が近づく。


ハッピーはラグの端を口にくわえ、必死に引っ張った。


「おい、待て」


警察官が眉をひそめる。


ラグの一部をめくり床へ耳を近づけた。


「おい、どうした?」


相棒が声をかける。


警察官は黙るように手を上げた。


そして――


「この下に、誰かいるぞ!」



消防隊員や警察官が、慌ただしく工房を出入りしている。


地下室に監禁されていた二人は救出され、二週間ぶりに地上へ運び出された。


一人は女性。


ひどく衰弱し、錯乱状態ではあったものの、意識は残っていた。


もう一人は、椅子に縛りつけられていた男性。


救急搬送されたが、その後、病院で死亡が確認された。


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