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第八話

「どう考えても・・・」

「で、出来過ぎだよね、ベタというか何というか」

「うむ、やはりそうか。そうだよなぁー確かになぁ」

ニップルは当然予期していたというか頭を抱えこんだ。

「うーん師団長よ、その日は本当に人員が不足していたのか?」

プラプラは抜けている所はあるが一応は王国にかかわる身、一応の心得は持っていたため当然の質問をする。

「ええ、水魔法の人員は少ないと言えば少ないのですがあの日手が回らなかったほどではなかったのです。

しかしながらその日は病欠が何人かいまして・・・」

それを聞いて3人は一際顔を険しくした。

そして3人の中では(自称)英才で通っているピコピコが名探偵のように暫く顎に手を当てた後

ズビシッっと指をさして宣言した。


「これは事件の香りがする!」


と言う訳で翌日一同は早速例の全焼した屋敷へとやって来た。

流石都市一のご老公の居住地と言うだけあってあっという間に立て直されていた。

屋敷の正面ドアの前に立ち、ベルを鳴らす。

「おはようございます!エルフ騎士師団・師団長ニッセルです!ご主人様を面会したく参りました」

一同が息を飲む中、大きな重苦しい扉がゆっくりと開かれた。

「・・・おはようございますニッセル様。あ、王女様っこれはようこそ当家へおいで下さいました。

ご主人とは・・・おばあ様でよろしいのでしょうか?」

「そうです、数か月前の火事の件につきましておおばば様にどうしてもお伺いしたいことがございます、どうか」

(・・・す、すごい使用人だね)

(顔はすんごいきれいなのに三角筋が立派過ぎる)

(でもこの人、なんか見た事あるような)

ニッセルの後ろでひそひそと小声で話しているのをニッセルは感じ取るとワザとらしく咳ばらいをし、たしなめる。

「・・・わかりました。ちょうどおばあ様は朝食を終えて食後のリハビリをしているのでお時間が取れると思います」

「ありがとうございます、奥様」

「「「お、奥様ぁ!?」」」

「?どうかなさいました」

三人が仰天するのをキョトンとした目で見つめる美しい顔立ちをした・・・筋肉ゴリゴリの・・・奥様。

「い、いえなんにもありません。おおばば様に会えるなんてラッキーだなぁ」

「マジマジっ!おおばば様にあやかりたいですわぁ」

「いざ謁見へ!いざ参るぞおおばば様!」

ピコピコはニッセルの横へ回り予想はついているがあえて小声で訪ねた。

「・・・・・・マジ?」

「ここで驚いていては身が持たんぞ」

ニッセルの意味審の台詞にピコピコは思わず生唾を飲み込む。


「488・・・489・・・490・・・」


「「「冗談でしょ・・・」」」

おおばば様の部屋に訪れた三人は目の前の光景に唖然とする。

ファンタジスタなエルフの世界には到底似合わないであろうトレーニングマシンの数々。

「あ、あれなんだろ。なんか人が入るようなまさか棺桶とか・・・」

「あれは魔法石を使った”日焼けマシン”というらしい。なんでも遠赤外線を照射する魔法石を

ちりばめた特許出願中の品らしい」

「日焼けを嫌うエルフが日焼け・・・」

メソメソはその棺桶のようなマシンをみてぞっとする。


「494・・・495・・・496・・・」


「何なのあれっ?!巨人族が使うハンマーとか?!」

「あれはクラス2魔法石を埋め込んだ”ベンチプレス”という体を鍛えるマシンだ。

魔法石のダイヤルを回せば回すほど重たくなり負荷が入ると言う訳だ」

ピコピコがダイヤルを凝視すると数字はマックスまで振り切っていた。


「497・・・498・・・499・・・」


「おおばば様っ!プラン・プライト王女、謁見に参った!お時間を頂きたい!」

「ごひゃくぅうううううう!!!!!」

そして部屋の中央にそびえ立つ鉄棒で寸分たがわぬ動きで懸垂をしていた小柄なマッチョマンはそのまま一回転すると

くるりと体躯を空中で翻し、一同の前で着地した。

その指先は新体操の選手ですら息を飲むほどピンと研ぎ澄まされている。

「・・・え、この人が」

「だってどう見てもフリーザ・・・」

目の前に初老、いや初老のような何というか形容しがたい顔のおおばば様がいた。


「おひさしゅうございます・・・プラン・ブライト王女様」

「うむ、久しいなおおばば様。まるでフリーザっーーー」

プラプラはピコピコに慌てて口を押えられてどもってしまう。

「もごもご」

「し、失礼しましたおおばば様っ!プラプラもご覧の通りで!」

「これはこれは、もしかしてピコピコかい。大きくなっね」

おおばば様は久しぶりに尋ねてきた古き顔ぶれに声を上げ笑った。


「用件はお察しがつきます。新しい神官、マジカの事でしょう・・・」

おおばば様は滴り落ちる汗をスポーツマンシップの如くタオルでぬぐいながら感慨深く答えた。

「その通りだおおばば様。事情は聴いたがいささか強引ではなかろうか?」

「そ、そうですよおおばば様。その火事だって怪しいもんだよ、マジカが神官になるためにあらかじめ仕込んだ

可能性が・・・」

メソメソが予想にたやすい推理をいきなりぶちまけるがおおばば様はそれをわかったように首を横に振った。

「いいんですじゃ王女様。確かに、この屋敷において魔法石が暴発することはまずありえん。

なんせ6千年近く生きる私が制御しておるのじゃ」

(ろくせんねんっ?!)

(そんなに生きててその肌つや・・・その筋力・・・)

(あ、ある意味バケモンだわ・・・)

「それでもおおばば様も私も気づいたのです。私達は明らかに無力であることを・・・あの火事の一件で」

奥方がハーブティーを出しながらそう静かに言った。

「体力的な面、つまりは魔法全般に頼り過ぎという事か」

プラプラは深くため息をつく。

武装都市は魔法石を使ったマシンが多い。

つまりは自然と共に生きるのが自然のエルフの中では珍しく極めて近代的な生活を送っているのだ。

「あのマジカが来たのも何かの運命じゃ・・・受け入れるのもまた一興じゃろう」

「しかしだおおばば様。奴が神官になった途端、都市の若いエルフ達が何人も奴に泣かされる羽目になっている。

このまま歯止めをかけなければ事態は悪化する一方だ。それに騎士師団の面目もーーー」

ニッセルが身を乗り上げ息まいたところ、おおばば様はスッと掌を前に出して制止してそしてそれを握りこんだ。

「ならば・・・王女、貴方が神官の地位を奪還すればよい」

「??どういう事ーーーもしや”あれ”の事を言っているのか?!」

「あれって何なのプラプラ?」

ピコピコは訳が分からない様子だったがメソメソが壁に貼り付けてあるポスターを見つけて指差した。

「ひ、ひょっとしてあ、あれじゃない?」

三人がそのポスターのところまで近づいて詳細を確認する。

「な、なんなのこれ?!」

「武装都市ならではの催し物だ」


”ヤッチマイナ杯・魔法騎士(武闘)決定戦”



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