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異界のエルフ達  作者: かがみひこ
エルフレート
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第四話

「ではカウンターそちらから300gの人、マメ入れますか!?」

「マメマメマシマシ、オリブマシ、カラメマシで」

「はいよっ!マシマシぃいいいいいいい!」

ピコピコは目を泳がせながら淡々と口にする。

「お次の方、マメ入れますか!?」

「そっ、そっ、そ、そのままで・・・」

「はいよ!そのままぁあああああああ!」

メソメソはキョドリ、そしてびくびく怯えながら店主に目を合わることもなく呟いた。

「そちらの方、マメ入れますか!?」

「当り前だ!王女たるもの、チビチビ飯など食えるか!全王女盛だ!」

意気揚々とプラプラは胸を張って答えるがカウンター向こうの店主は何も反応しない。

すると見かねた直ぐ近くの女エルフのスタッフが申し訳なさそうにプラプラに寄って行って耳打ちする。

「すみません、ここ、オリジナルコール禁止なんですよ・・・」

「・・・・・・・全マシで」

「あいよっ!マシィイイイイイイイイ・・・イイ!!」

王女は恥ずかしそうに咳ばらいをしつつ水を飲んだ。

時刻は既に夕刻。太陽は傾き、夜空は満点の星空に包まれていた。

今、プラプラ一同は王国一のラーメン店”ラーメン不老”に来ている。

動物系のモノを一切口にしないエルフ達にとってパンチの利いた物が食べたいときは此処しかない。

「まったく、誰かさんのせいで国中追い回されたじゃないの」

ピコピコはだるそうにマジックビジョンに映し出された人気チャンネル”お天気エルフさん”を眺めている。 

「しかもマジカはすぐに起き上がって周りの裸体を撮りまくるわ撮りまくるわで・・・も、もしかして、わ、私撮られてるかな?撮られてる?と、撮られてたら・・・ぐずっ!」

メソメソはべそをかきながらさらに影を落とした。

「結果的には追い払ったからいいではないか!そんなことよりあの私の部屋に放り込まれていたあの書類はなんだ!?

あんなの聞いてないぞ!」

プラプラはマジックビジョンを呼び出し自身の部屋を映し出す。

そこには大量の書類が所狭しと押し込まれていた。

「請求書、クレーム案件、事故処理届、要望書、陳情書・・・まあ地獄だなぁ」

ピコピコはビジョンに表示される書類の内訳を見ながら顔をニヤニヤさせた。

「ほら王女、マジカ退治してる場合じゃないって。早く帰って事務処理しよ、ね」

メソメソは苦い顔をしながらプラプラを促した。

しかしプラプラは耳を貸すことも無く腕組をしながら次なる目標を見定めていた。

「こうしている間にもマジカの毒牙にかかるエルフ達の悲壮な叫び声が・・・ああ、無情!」

「はぁ、だめだこりゃ」

二人は呆れた様子でプラプラを白い目で見た。

「あいよ300gのお方!いってらっしゃーい!」

すり鉢のような大きな器にこんもり山のように入った青々としたマメ、もやし、オリーブオイル・・・そしてぶっとい麺。

「ああ、もう、考えるのはやめ!食うわよ!」

「おお、来たか!腹が減っては戦はーーー」

「はいはい・・・」

三人は割り箸を勢いよく割るとカウンターに着丼したどんぶりにがっついた。

「300gなど・・・300gなど余裕!」

言いながら額にたっぷりと脂汗をにじませるプラプラだった。


翌日。

ほとぼりも覚めぬが隙を見て一同はコソコソと学園の寮を抜けて街道をトボトボと歩いていた。

「なんと良い天気だ・・・まるで私達の旅の門出を祝福してくれているかのようだ・・・」

「えっ、でもちょっと曇ってる・・・」

「言わせてあげなさいよ恥ずかしいから」

三人がひた歩く街道はゴブリンロードと言われる魔物の遭遇率が極めて高い場所であった。

「でもさぁピコピコ、よくお供なんて買って出たよね・・・腐れ縁だから?」

メソメソは伏し目がちにきょどりながら問う。

「まあ生まれてこの方500年(現実世界十数歳程度)の付き合いだしね。それにまあ、その、報奨金も高かったし・・・」

ぼそりと先陣を切るプラプラに聞こえないようにボソリと呟く。

「いや、主に最後のそれが理由でしょうに・・・流石学園一の苦学生・・・」

「うっさいわねメソメソ!インキャマスのくせにっ」

「・・・インキャマスってなんぞ?」

最後のインキャマスだけ聞こえたプラプラは再び見知らぬ名に

大きな胸の前で腕を組み、疑問を巡らし始めた。

そんなプラプラなど露知らずピコピコが

「で、王女様は当てでもあるの?」

ピコピコは大きく伸びをして手を頭の後ろで組みながら呟く。

「インキャマス・・・インキャマス・・・インファマーーー」

「どうすんの?!どこに行くつもりよ!」

ピコピコの怒鳴り声にハッとする。

いつの間にか道を外れ、滝に落ちそうになっていたプラプラの服の裾を引っ張るメソメソ。

「ぬぉっ、スマン。ついいつもの癖で物思いにふけっていたって、待てっ!」

プラプラはその無駄に研ぎ澄まされた五感で異変を感じ取り、目を見開いて滝つぼの方を見る。

ピコピコ、メソメソも一緒にその方角を見て呆れたような顔をする。

「・・・・・・なにあれ」

「エルフだらけの水泳大会とか」

滝つぼの方では明らかにきわどい水着を着たエルフ達がはしゃいでいるのか泣いているのか、とりあえず良くわからない

騒動を巻き起こしていた。

「ああっ!見ろ、あれを!」

プラプラの指差す滝の落下地点。

そこには手を合わせ滝に打たれつつもエルフに釘付けの親父がいた。

普通に見れば正に修行の真っ最中といった様子だった。

しかし、鼻の下は明らかに伸びている。

望遠魔法で親父を観察していた三人のうち二人(ピコピコ、メソメソ)がすぐさま回れ右をする。

「うわ、嫌だな・・・見なかったことにしようよ」

「さ、賛成。ささっ、ずずっと先へ急ぎまーーー」

「来たなぁ、マジカ!行くぞ二人とも!」

プラプラは二人の首根っこを掴み、滝つぼへとダイブを開始する。

「ちょっ・・・マジかぁ?!」

「王女っ、魔法魔法っ、お願い転送ま、まほおぉおおおお!!」

言う間もなくj、滝つぼへ一直線へ。

どぼぉーーーーん!!

大きな水柱が上がり、周りのエルフ達が驚いた様子で目を点にする。

暫くして三人が何事もなかったかのように滝つぼから出てきた。

「イミフに滝に打たれている貴様に問う、貴様はこの世に厄災をもたらせしマジカか!?」

「・・・ふっ」

滝に打たれていた男は無駄に格好よくでっぷり太った腹を揺らしながら滝から出てきた。

その時、水着のエルフの一人が叫んだ。

「王女!?早く逃げてっ、そ、そいつはーーー」

「貴方達学園の生徒ね?早くこの場から逃げなさい!今この場で一番危険なのは王女だってわかり切ってるでしょ?」

ピコピコが逃げるよう水着エルフ達を先導するがエルフ達はその場から動くことなく怯えた様子で男を見ていた。

「ど、どうしたの?」

ピコピコが困惑する中、滝から出てきたマジカが口を開く。

「---我の名はムダ・ムドウ。異世界より着たり主たちの使者なり・・・」

「・・・・・・なんて?」

深淵から這い出たような声で喋るので三人とも耳に手を当て聞き返す。

「えーっと、ムダ・ムダァ?」

「違う違う、ダダ・ドムゥ、だ!」

「ちがうよみんな、リック・〇ムだよ」

全員がかすりもしない発言にムドウは額に欠陥が浮きださせた。

「うぉおほん!うおほん!しかと聞け!・・・我が名は・・・ムダムーーー」

「解ってるって、前座でしょ前座」

「来たか一番ややこしいタイプ」

「腹は出てるけど、た、体格はいいよね。魔力もそこそこって・・・あれ何!?」

三人は申し合わせたようにおちょくろうとしたがムドウの背後にいる無数の影を見つけ驚愕した。

「ーーーちょっとあれはっ」


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