第24話
「ま、まぁなんだ、たかがスマホじゃないか・・・こんなもの珍しくも無いしここじゃエロ--もとい
音楽聞くことぐらいしかできないじゃないかぁ~」
「あの黒い板、音が出るのか?音楽・・・」
「でもさっきはすごい映像が出てきたわよ、あんなのカテゴリー20の中でも・・・」
王女の反応も伴って、やがて周りが口々に騒ぎ出し、やがてそれは大きな渦となった。
「すごいわっ!あれ、私も欲しい!」
「絶対勝てよメソメソぉ!」
そしてその渦は人々を熱狂へと誘い込む。
「ち、ちょっとヤバくない?!」
「もういいわよ、とっとと始めましょう!モコモコ様ぁ!」
ピコピコは収拾がつかないと判断したのか急ぎモコモコへ助け舟を求める。
「あ、う、うむ!一同静粛に!これよりエルフレート王国・主催料理対決を始める!」
「よしきた、パパンがおいしい料理を食べさしてやるからな!と、ところで君は小柄なのにその、豊満だな。
パ、パパンがもっと栄養を取らせてあげようじゃないか(涎ずびっ!)」
「こ、こうなりゃ自棄だ!エルフの料理をなめてんじゃねーぞっ!」
おおきな銅鑼が鳴って調理がスタートした。
「いよっ、ほらどうだぁ!」(おおーーー!!!!)
ズバズバズバズバズバズバババババぁああ!!
パパンの料理の腕は想像以上だった。
野菜を空中へ投げてはそのまま両手に持った文化包丁で空中コンポを決め、絶妙な大きさに寸断すると
そのまま鍋にダイレクトシュートした。
「まだまだまだ~~~~」
指の間々に色とりどりの調味料をセットすると両手を水平に伸ばし、そのまま体を回転させ始めた。
ぐるんぐるんぐるんぐるんっ!
「ダブルラリアットぉおおおお!」
凄まじい遠心力によって調味料は空気中に融合、そして鍋に一気に引き込まれている。
近くのギャラリーは鼻水涙目咳涎で本気でラリアットを喰らったようだった。
「これで、ラストぉおおおおおお!!」
パパンが巨体を揺らしながら鍋へと突進し大きく右腕を鍋へと突っ込んだ。
その刹那、凄まじい火力が鍋を包み始める。
(すげぇええええ!!!)
「フォオオオオオオオオオ!フォオオオオオオオオオ!」
普段とは想像もつかないほどの堀の深い顔になって鍋を掴む腕力に更なるパワーが入る。
その時だ。
「!!!」
パパンの背後に鋭き大剣が飛んできた。
その殺気を感じ取ったパパンは防御魔法を唱え左腕から光のシールドを放ちカバーする。
ばしぃいいいいいん!!
剣はシールドで止まる、しかし、その剣は勢い収まるどころかあるものに変貌を遂げる。
ーーーそれは、TE〇GA。
「滑滑の・・・・・・TE〇GA?!」
TE〇GAはシールドを貫きパパンの口へと突っ込まれ、パパンはそのまま地に足を付けたまま体躯を弓なりしてに倒れこんだ。
「ちょっとあんたなにやってんの?!」
「・・・・・・」
投げたのはメソメソだった。
「み、みんな騙されたらダメだ!目を覚ませ!」
メソメソはそう叫びながら詠唱魔法を唱えた。
「カテゴリー29、リスク4!!」
「リスク4ですってっ?!」
「リスク4だとっ」
エルフレート王国での魔法には通常とは異なる詠唱がある。
それは自らに負荷をかける代わりに詠唱した魔法の発動をいつでも発射できるという事だ。
ただそれだけではない、その詠唱魔法は通常よりも威力は半減され通常の3分の1程度も出ないという事だ。
「う、うぉおおおお!!」
メソメソは空へと舞い上がり、再び詠唱魔法を唱える。
するとメソメソは己の姿を瞬く間に13体に分裂させ、パパンの上を輪を描いて飛び交う。
そして瞬く間にメソメソはパパンと同じような料理術を空中で見せた。
「すげーー!!」「ど、どういうことだっ?!」
騒めく観客、そして審判たち。
そんな中パパンがその空中遊泳するメソメソを食い入るように見つめ、鬼のような形相で呟く。
「脱がしてやる・・・舐めてやる・・・モミモミしてやる・・・ちゅっちゅっしてやる・・・」
パパンは震える腕を眩い光が渦巻く天へと真っすぐ掲げる。
「ペロペロしてやる・・・ぺちぺちしてやる・・・○○○○・・・してっ・・・!!」
「これが種明かしだぁ!パパァン!!」
天から降り注ぐ無数の槍、いや違う、無数の・・・・・・太巻き。
それは客席にいる観客たち、プラプラやモコモコ達審判たち、さらにはピコピコ、そしてパパンには恐ろしき数の
太巻きがその口の中へといざなわれた。
「「うがぁああああああああああああ!!!」」
「う、う、う、う・・・・うますぎぃいいいいいいいいい!」
あちこちから湧き上がる賞賛ならぬ絶叫。
それはパパンの断末魔でもあった。
メソメソがやがてゆっくりと降り立つ。
「メソメソ殿、いったいどういう事?こんな料理をいつの間に」
モコモコが涙を流しながら問いかける。
「そ、それ、朝市で買ったただの太巻き。リスク4をかけた、ね」
そう言って得意げに太巻きを掲げるメソメソ。
「カテゴリー29は幻覚魔法、それを遅延効果にして料理にかけた。ただそれだけ」
「やっぱりそんな幼稚な事だろうと思ったわ。
ちょうど私達の口にたどり着いたときに魔法が発動、料理がたまらなくうまいと幻覚が発動すれば
技に気付くことなくただただ料理が上手と思わせることが出来るわ」
唯一事前にトリックに気付いたピコピコは魔法を解いて太巻きを口にする。
「ふむ、魔法が無くても案外いけるじゃない」
「ま、マジカの考えなんて雑魚も同然。ざぁーこ、ざぁーこ」
後ろでプスプスと放心するパパンを背にメソメソはどや顔で会場の真ん中仁王立ちし、やめ解きゃいいのに悪態をついた。
「なるほどな・・・勝負は決まりだな、勝者はメソメソ!」
モコモコが料理のオリーブオイルを掲げ勝者を称えると観客達も太巻きを食べながらメソメソ達を称えた。
「そこまでだっ!全員動くなっ!!」
突如覇気のある声が会場に響き渡る。
すると一斉に武装した王国親衛隊達が会場内に雪崩れ込み一同は瞬く間に制圧された。
特にパパンの用意した”スマホ”なる者には王国きっての長老たちが取り囲み何やらひそひそと密談している。
「ちょっと、なんなのいったいっ、イッタっ!やめなさいよ!」
ピコピコやメソメソも兵たちに両手を拘束され、詠唱に使うリングに封印紋章を付けられる。
「ちょ、プラプラッ!王女、あんた止めなさいよ!なにやってんよ!」
ピコピコが羽交い絞めにされながらも必死に助けをこうもその目はスマホ一点に注がれていた。
いつの間にか傍に仕えていた親衛隊隊長プルプルもプラプラの傍で戦々恐々としていた。




