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第22話

厨房にて。

「さ、さあ、王女。頑張ってレッツクッキングゥ~」

「何を言う、メソメソ。家庭科の成績はトップクラスだったろう?

なら今回も楽勝だ!」

「何を根拠に・・・しかも家庭科の授業の料理と一緒にしちゃ生業にしてる料理人に失礼極まりないでしょうが・・・」

「いつもメソメソする割にたまに鋭いこと言うわね」

例の如くこのトリオは緊張感など皆無、いつもの調子でグダグダと一行に物事が先に進まない。

「てかさあ、前の事と言いドンドン魔法から離れて言ってない?私達は魔力絶大のエルフなのよ、

いい加減本題に戻っても良く無くない?!」

ピコピコはそう言ってボウルの中に入っている訳の分からない代物をイラつきながら泡立てている。

「そ、そもそもエルフが魔力に精通してるって認識自体間違っているような、あ、プラプラそれ入れすぎ、少し減らして」

「う、うむぅ。こういう細かいのは苦手過ぎる、もっとざっくばらんにいかんものか」

「マンガ肉でも火魔法で焼いてなさいな、すごく似合うとおもうわよ」

プラプラが四苦八苦する中、ピコピコとメソメソはそれなりにらしいものを作っていた。

メソメソがボウルの中の泡だった”何か”をメソメソが仕込んでいた鍋の中にぶち込む。

「ふぅうううううううう!!試作品一号機、完・成!」

柄にもなくメソメソが渾身の出来を身体全体で表現する。

「じゃ、プラプラレッツご主食タイム~」

ピコピコが鍋の者をスプーンでひと救いするとそのままプラプラの口にダイレクトシュート。

「ほむっ!」ぼーりぼーりぼーり・・・

「こ、これはっ・・・」

「これは?!」

プラプラの目から閃光が走る。

「ぬほぉおおおおおおおお!」

いつものようなオホ声を上げるとそのまま顔を鍋にダイレクトシュート。

「こ、これではパパァンに勝つのは夢のまた夢だぁ・・・」

「いまいち反応に困るリアクションよね・・・まあ、もう一つという事なんだけど」

顔を突っ込んだままピクピクしているプラプラはさておき、二人は顎に手をあてシンキングタイムとしゃれこむ。

「ね、ねーもう帰ろうよ。MPも回復したし、今更とんずらしたってここの住人はパパァンの料理に満足して

幸せになってるって」

「ちょっと待って、メソメソ。そういえば思い出しわ、モコモコの言ってた”舌に感動”ってやつ。

ちょっと思い当たる節があるのよね」

ピコピコはそう言うと馬車から引っ張り出していた魔導書の一つを取り出す。

「ここのページのこの項目・・・ほら見てここ」

「・・・こ、これって!ああそういうーーー」

その時、厨房のドアが勢いよく開かれた。館の主お付きの従者、ペロペロだ。


「み、皆さん大変ですっ!」


談話室。

一同は一枚のメモ用紙を見て絶句していた。

「このネタはヤバい」


ーーーこんや、12じ、だれかが、いく


「行くってどこに?」

「そ、その”いく”じゃなくってたぶん”イク”じゃないのかなぁ、なんて、あはは、はぁ~」

メソメソのテンションはダダ下がりだった。

こうもそろって古の洋館ネタを繰り出されてはもはや溜息しか出ない。

「ふむ、この血で書きなぐったような筆跡・・・これは事件の予感がするな」

「はいプラプラ、もう首突っ込むのはやめようね。で、ペロペロさん、これ誰かのいたずらとか?」

「そんな、内のメイドたちはこんな破廉恥な事は書きませんっ!わ、わたしは貴方達の犯行じゃないかと・・・」

「仮にも女王とそのお付きだけど・・・」

一同はなんちゃって名探偵のプラプラを指差す。

「いや、そのっ、私が疑っているのは女王ではなく、私はそのーーー」

ガシャーンっ!!

その時、談話室の奥の方からガラスの割れるような破裂音が聞こえてきた。

デーン。

「まったく何事・・・てかなんなのこの”デーン”とかいう意味深なSEは」

「新たな事件の予感っ!行くぞ皆の集!」

プラプラは結構証拠品としては大事であろうメモをゴミ箱に投げ捨て現場へ向かい

一同もしぶしぶ音の方へと向かっていった。

そしてーーー。


「そ、そんなっ、モコモコ様ぁああああ!」


汗ばんだ体躯、激しい呼吸、光悦な顔。

その光景は間違いなく。


「おほっ、お”お”お”ぉ”・・・」

「こ、これは”イッ”ている!間違いなぁーい!」

「あーはいはい。もういいわよその流れ恥ずかしいったら無いわ」

ピコピコは思わず顔を手で覆った。

「モコモコ様ぁ!い、いったい誰がこんなことを!」

ペロペロは駆け寄りモコモコを優しく抱き留める。

「こ、これはぁーーうまいぞぉおおおおおおおおおおお!」

(また!やっぱりこれって)

ピコピコが疑問に思っていたことが核心に変わったとき、ふと目をやるとメソメソも気づいたように

こちらにアイコンタクトを送っていた。

「何という卑劣なことをっーーー許すまじ犯人!意義あり!くらえっ!」

プラプラの現場検証に熱が入り始めたのでピコピコはとっとと説明に入ろうとしたとき。

ガシャーン!!背後から何かを落としたような音が部屋に響き渡る。

一同が振り返るとそこにいたのはティーセットを落としたサワサワだった。

「ち、違う・・・私じゃない」

「えっまだ何にも言ってなーーー」

「わたしじゃなーーーーーい!」

サワサワは一目見ただけで事の流れをすべて悟ったように感情を爆発させ、逃げてしまった。

「どうすんのよ?収集もつかないし、しかも対決って明日でしょ」

「あ、あ、それなんだけど。ねえ皆、このことわ、私に任せてほしいなって」

柄にもなくいつもは陰に隠れるメソメソが前にずいっと躍り出る。

「なんと、メソメソには秘策があるのかっ!これには眠りの名探偵も思わず二度寝っ!」

「・・・あーそうか、メソメソ、あんたそういえば得意だったわね”あれ”

いいわ、楽しみにしてる。今日はもう寝ましょ」

「な、何を言ってるんですピコピコさんっ。パパァンとの勝負は明日なんですよ、まだ料理も完成してないのに」

ペロペロが慌てふためく中、ピコピコは既にわかり切ったように自慢げな顔をしている。


「まあペロペロさん。明日になればわかるわよ・・・」

「??」


一同が怪訝な顔をする中、一番解ってなければいけない王女がまるで土壌みたいな顔をしていた。

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