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「角田さん、お話したいことがあるので、来ていただけますか?」
仲間の一人からそういう連絡があり、俺は事務所的に使用しているマンションの部屋に足を運んだ。
ドアを開けて、中に上がると、これまで行動をともにしてきた数十人のメンバーが一堂に会していた。全員がこのようにいっぺんに集まったことは、ずいぶん経つが、過去には一度もなかったはずだ。
「何でしょうか? 話とは」
俺は尋ねた。
「私たちの、それぞれの自宅に、差出人は書かれておらず不明の、こういった写真が送られてきたんですよ」
そうして渡された写真には、俺と高齢の男性が親しそうに会話でもしている姿が写っている。
「なんでも、あなたといるのは、極右団体の幹部だと記されていまして。念のためと思って調べたところ、どうやら事実のようですね。いったいどういうことなのか、説明していただけますか?」
みんな、俺にうっすら敵意を発しているのが感じられた。
「ちょっと待ってください。今の時代、こういった写真なんていくらでも作成できるではありませんか」
「では、フェイク画像であると?」
「それ以外ないでしょう」
「ならば、この情報についてはいかがでしょうか? 角田さんのフルネームは角田正樹だったはずですが、写真に同封されていた用紙に『そんな人間は実在しない』との記述もありまして、写真のことがあったので失礼を承知で探偵に調査を依頼しましたら、漢字や生年月日など我々が聞いている個人情報と完全に一致する、あなたに該当する人物は、日本全国にいくら探しても見つからなかったという報告を受けました」
「……噓だ。それは何かの間違いだ。その、私をはめようとしている、インチキな手紙の送り主か誰かが、脅すなりして、探偵にでたらめな調査結果をあなたたちに提出するよう仕組みやがったんだ! 信じてください、皆さん! これまでずっと信頼し合ってやってきたではありませんか!」
そう訴えたが、俺に注がれる眼差しは、もはや疑いではなく有罪であると確信しているに違いない、強烈な冷ややかさを感じさせるものばかりだった。
「ちくしょう! ふざけやがって!」
俺はキレて大声をあげた。
「いいだろう、こうなったら全部ぶっちゃけてやるよ! ああ、そうさ。保守陣営が強大になればなるほど逆サイドの革新の存在価値が上昇するように、左側の勢力が活性化することで人々の右傾化への欲求が高まるという計算で、敢えて左翼どもの手助けとなる行いをしてやっていたというわけだ。多少勢いづいたところで左翼の力など取るに足りないし、その状態からひねりつぶすことによって、世間にこちらのパワーを誇示し、頼もしさを感じさせられるからな!」
すると、周りにいた面々が俺を捕らえた。
そして、何も口にせずに、部屋から引っ張っていった。
「ぐあっ」
俺は、マンションの敷地を出てすぐのところで、突き飛ばされる格好で、路上に放りだされた。
「あなたには今までお世話になった恩もあります。ですから大目に見ましょう。ただし、今後も我々がやることを裏切る振る舞いを継続するようであれば容赦しませんので、よく覚えておいてください」
代表した一人がにらみつける表情で俺に言い放った後で、メンバーは揃ってマンション内に戻っていった。




