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第六十三話 ただ同じ場所にいる三人

俺らが初等部のとき。

確か、授業の合間だったと思う。

俺はいっつもガイアと一緒にいることが多かったけど、そのときガイアはどっか行ってて。

俺はその日も空を眺めてた。


近くにライルがいた。

一人で。

ライルは授業の合間で休んだらいいのに何度も火を出す訓練をしていた。


「……違う」


ライルは小さく呟いてはまたやり直す。

昔から何となく一緒にいるけど、ライルは才能があるのに努力家だった。初等部でも飛び抜けて魔法の技術が高い。でも実は真面目で頑固。テティスに近いものを感じる。


その少し離れた場所にレオがいた。

レオはいつも同じ空間にいながら、一歩距離をとる。


使う魔法は闇。

でも“見えない”。

そこにあるのに、感じにくい厄介な魔法。



正直、


つまんねぇやつら。


それが昔からのこいつらに対しての感想。


ライルはいつも正確に。綺麗に。無駄なく。

でも——

つまんねぇ。


それ、“正解”なだけだろ


強いのは分かる。

でも、それだけ。で、もう一人。

端っこ。レオ。

こっちは逆。

何考えてるか、何やってるか分かんねぇ。

闇、なんだろうけど。

“見えない”。

昔からほとんど魔法を見せない。いつもなんか隠してる。

なんで隠すのかは知らねぇけど、ああいうのも、つまんねぇ。


で、俺。


「……めんど」


やる気はない。

でも、“できる”のは分かってる。

適当に起きて、適当に魔法出す。

一発。

終わり。


俺もまた、つまんねぇやつの一人だ。


なんとなく風を出してみる。心地よい風。


そのとき視線を感じた。

ライル。

レオ。


「なに?」


二人とも何も言わない。


「別に」


ライル。

レオは無言。


あー、はいはい


俺は笑った。


「お前ら、つまんなそうだな」


俺今日ちょっとイライラしてるのかな。いつもは平和主義なのにわざと煽って空気がピリつく。いいね、この感じ。


「正解ばっか探してそれで強くなれると思ってんの?」


ライルの目が動く。


「正解以外に価値はない」


即答。

めんどくせぇな、こいつ


レオは何も言わねぇ。

でも、ちゃんと聞いてる。


「あるだろ」


俺は起き上がる。


「んー、正解が外れたときの方が強くなる」


二人の空気が変わる。



俺は雑に風を出してライルの火にぶつけてやった。

ライルはあまりに突然のことで火がぐらついた。

そして風を帯びた火は火力をあげた。


「っ……!」


いいね。


「ほら、予定外の方が強くない?」


ライルは一瞬止まる。

でも——すぐ戻す。

火を抑えて、形変えて、整える。


「やるじゃん」


ちょっとだけ評価。


ライルは自分の魔法を邪魔されてちょっとだけ不機嫌。

次。レオ。こいつは見てるだけ。

でも、考えてる顔。


「出してみろよ」


言ってみる。


「……」


少しだけ、闇が出る。

ほんの少し。


ほんとに、出した


完全じゃねぇ。

でも、“ゼロじゃない”。

それで十分。小さいときよりもっとずっと出てた。


「お、出したじゃん」


俺は笑う。

レオは何も言わなかった。

でも、完全には魔法を隠さなかった。

ライルがレオの出した魔法を見る。


「……それ、闇だよな?」


「闇だ」


短いやり取り。

でも、ここで繋がる三人。

別に仲良くなったわけじゃない。

でも——なんとなく昔から一緒にいる関係。



《現在》

風が吹く訓練場。

ライルは相変わらず真面目。

レオは相変わらずなんか隠してる。

でも、ちょっとだけ違う。

昔より互いの魔法をわかってて、お互いの魔法を相手に合わせて協力できた。


俺は笑う。


「こういうのも、つまんなくないかも。」


今も別に仲良くなったわけじゃない。

ただ、“同じ場所にいる理由”が少しだけできただけだ。

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