表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/79

第六十二話 ライル×レオ×サナ

リオの再現が終わったあと、訓練場の空気は明らかに変わっていた。

一人で解く試験じゃない。

“どう組むか”の試験。

ざわつきの中で、それぞれが動き始める。


「……」


その中で、動かない三人がいた。

ライル。

レオ。

サナ。

距離は近いが、会話はない。


最初に口を開いたのはサナだった。


「で?」


気だるそうな声。


「どうすんの」


ライルは視線を3人の近くにあった痕跡から外さない。


「組む」


短く言う。


「三人で?...まぁ、リオが答えを言ったようなもんだよな。」


サナは肩をすくめる。

レオは何も言わず、ただ、傷跡を見ている。


「……」


三人で、同時にしゃがみ込む。

目の前の痕跡。

焼け。

崩壊。

そして——

“消えている部分”。


「……この消えている部分は闇か」


ライルが呟く。サナが笑う。


「めんどくせぇな」


レオは何も返さない。

ライルが整理する。


「火、闇、風……いや、ここは削れてる。削ってるのは風じゃねぇな」


サナが口を挟む。


「もっと雑だ」


「雑?」


「無理やり“消してる”感じ」


レオの視線がわずかに動く。


「じゃあ役割だ」


ライルが立ち上がる。


「俺が火、レオ、闇、サナ——調整」


サナが先に言う。


「一番めんどーな作業じゃん。」


「できるだろ」


「まぁな」


軽く笑う。


「いくぞ」


まず、レオ。

闇が出る。

だが——見えない。そこに“ある”のに感じ取りにくい。

空気が、少しだけ歪む。


「……」


ライルの眉がわずかに動く。


「魔法がわかりずらい、薄い。もっと強く出せ」


レオが一言。


「必要ない」


「再現だぞ」


「見せる必要はない」


空気が張る。サナがため息をつく。


「はいはいストップ」


二人がサナを見る。サナが地面を指で叩く。わずかに残る歪みがあった。


「ここ、“消しきれてない”だろ。つまり完全に隠してない。中途半端に残してる」


「じゃあレオ、残る程度に出せ」


ライルが言う。


レオは一瞬だけ黙る。

だが、短く答える。


「……了解した。」


闇が性質を変える。今度は、“わずかに感じる”。

存在がある。


「それだ」


サナが笑う。


「ライル、火いけ」


火が灯る。

だが——


「強すぎ」


「……」


「レオの作ったやつ消えちゃうじゃん、それじゃ」


ライルが舌打ちしながら火を落とす。

闇の中に、火が流れる。

歪みが生まれる。


「うん、次俺。」


サナが風を動かす。

最小限。削る。形を整える。



三人の前に傷跡が現れる。

元のものと並ぶ。

ほぼ同じ。



「……できたな」


「合格」


後ろからリーバの声。


「だが、3人で協力したからあと2カ所作れ」


サナが伸びをする。


「めんどくせー」


レオは何も言わない。

ただ、わずかにライルを見る。

ライルは——自分の火を見る。


サナは空を眺める。流れていく雲はときどき速度を変えながら合流したり、離れたりしていた。


「なんかさ、俺たちみたいだね」


サナが誰にも聞こえないような声で呟いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ