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第五十九話 同じ机の上で

「よかったー!まだやってた〜!」


そうテティスが言いながら図書館にきた。

ガイア、サナ、ライル、ミュシャも一緒だった。


「私たちもわからないところあって、一緒に勉強してい?」


テティスが屈託のない笑顔で言う。


「私は連れてこられただけだけど...」


ミュシャが少し不服そうに呟いた。




長机に広げられた本とノート。


「……なんでこうなるんだよ」


ガイアが頭を抱える。


「だからさっき説明したでしょ」


サナが呆れる。


「地形と魔力効率の関係だって」


「聞いたけど分かんねぇんだ!」


「うるさい」


ミュシャが冷たく言う。


「静かにしなさい」


「す、すみません……」 


一瞬で静かになる。



リオはノートを見ている。

真剣な顔。

でも止まっている。


「どこで止まってるの?」


隣から覗く声。

テティス。


「ここ」


リオは指を差す。


「補給遮断のあと」 


「そこさっきやったよ?」


テティスが少し嬉しそうに言う。

リオが考える。


「前線じゃなくて後ろを叩くと——」 


「じわじわ弱くなる!」


テティスが続ける。


「……あ、繋がった」


「でしょ!」


テティスは、ぱっと笑った。

ヘスティアがその様子を見る。


ちゃんと理解している...

さっきよりも、確実に。




「ライルは?」


サナが振り返る。


「もう終わってるだろ」


「……ああ」


ライルは短く答える。

ノートはすでに埋まっている。


「はや」


ガイアが少し引いた感じになった。


「リオ」


ライルが呼ぶ。


「そこ」


ノートを指さす。


「まだ浅い」


「え?」


「理由まで考えろ」


「……理由」


「なんでそうなるか、だ」


「……」


リオが少し考える。


「補給が止まると——魔力の供給も減るから?」


「そうだ。だから崩れる」


「……なるほど」


また一つ繋がる。

それからライルはヘスティアに向かって礼を言った。


「ありがとな、教えてくれて」


ヘスティアは「うん」とだけ言い、すぐに本に目をうつした。

耳が少し赤くなっている。



「テティスは?大丈夫?」


サナが聞く。


「うん」


少しだけ間が空いた後、可愛い笑顔で答えた。


「がんばる」



「無理すんなよ。落ちたら笑うけど」


ガイアが言う。


「ひどい!」


少し笑いが起きる。


サナはリオに言う。


「ここ分かった?」


「まだちょっと……」


「じゃあもう一回やろう」



リオは周りを見渡し少しだけ胸が熱くなった。

同じ年の友達とこうやって勉強したり、冗談を言い合ったりする日常がとてもくすぐったいのだ。

一方で頭の片隅には小さな疑問が残る。ヘスティアの言葉だ。


...それに対して古代魔法の魔法陣は、“外に描いた魔法陣”を使います....そこに魔力を流すと、大きな魔法が出せます…その分、制御が難しいです...



ヴァルクの家で暖炉の火を起こす時に使う魔法陣、他にも日常生活で使っていた魔法陣。生贄は必要としないけど、ヴァルクの家では雷の魔力を流せば誰でも使える魔法陣がいたるところにあった。あの原理とほとんど一緒。

...そういえばこっちにきてからは魔法陣自体生活するのに使うことがないし、そもそも見ないな...



これはどういう魔法陣の部類になるんだろう。

今度ヘスティアに聞こう。



夜の寮。

静かな勉強時間。


笑い声と、紙の音。

それぞれの“できない”と向き合いながら——

少しずつ前に進んでいく。

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