第四十六話 テティス・フォンティーヌ
リーバ先生が腕を組み、話を続ける。
「……今のが基礎だ」
ゆっくり、全員を見渡す。
「そして——三週間やる」
Aクラスが少しざわめくのがわかった。
「同じことを徹底的に叩き込む。できなきゃどうなるか——分かるな?」
誰も答えない。
続けてリーバ先生がさも当たり前に言う。
「もちろん、Aクラスから外す」
空気が凍る。
「ここは“選ばれたやつ”の場所だ。できねぇやつは、いらねぇ」
その言葉には容赦がなかった。
それからミュシャとリオ、ライルを指差す。
「お前らは、合格だ。」
リオはきょとんとしていて、ミュシャはそれが当たり前のようだという態度だった。
ライルは合格と言われたものの、少し不服そうだった。
「そしてテティス」
全員の視線が自然と一人に集まる。
「は、はい!」
声が少し裏返る。
「お前は——一番危ない」
「……え?」
テティスに向けられたのは合格とは違う予想外の言葉。
「できてないやつは他にもいる。だが、お前は違う」
「……」
「“できてるつもりでできてない”」
テティスの心にその言葉がぐさり、と刺さる。
テティスの手がぎゅっと握られる。リーバ先生は続ける。
「綺麗だ、整ってる、見栄えはいい。でもな」
一歩、近づく。
「中身が空っぽだ」
沈黙。
誰も何も言えない。
「魔力を“流してる”だけだ。自分で掴んでない」
テティスの視界が、少し滲んだ。
「三週間だ。できなきゃ落とす」
放課後、人がまばらになったあと、テティスは訓練場の隅で一人練習をしていた。
手を前に出す。
水を出す。
綺麗な球。
——でも。
「……」
少し揺れる。
形は綺麗なのに、中が安定しない。
「……なんで」
小さく呟く。
もう一度。
今度は集中して。
「……っ」
強く意識すると——
逆に崩れる。
手から水がぽちゃん、と落ちる。
「……」
テティスは唇を噛んだ。
そのすぐ近くでガイアとリオ、サナがいた。
特に何をするわけでもなく、なんとなくその場にいた。
「なー、テティス。もう帰ろうぜ。」
ガイアが言う。




