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第四十三話 リオの夜中のやらかし(ライル視点)
消灯後。
静かな302号室。
サナとリオはすでに寝ている。
ライルは目を閉じているが——起きている。
…寝れるかよ
隣のベッド。リオが小さく寝返りを打つ。
「……ん」
その瞬間、ふわ、と空気が揺れる。
「……?」
ライルの目が開く。リオの周りに、うっすらと風の塊のような魔法が漂っている。無意識に寝ているままだ。普通魔法は詠唱して魔力を注ぎ込まないと発動しない。だから寝ている時に魔法が発動するなんてありえない。
おい……
次の瞬間、
ぽん、と。小さな水の粒が浮かぶ。
かと思えば、すぐに消えて——
今度は、微かな火。
「……っ」
ライルが起き上がる。
音を立てないように。
無意識で、これかよ
風がわずかに流れ、カーテンが揺れる。
土が、床をほんの少し盛り上げる。
全部——“弱い魔法”。
でも、制御されている。
暴走じゃない。むしろ逆。
完全に馴染んでやがる
リオは、ただ寝ているだけ。
「……なんだよ、それ」
小さく吐き捨てる。
その時——
ぴたり、と魔法が止まり、消える。
「……」
リオは静かに寝息を立てている。
……化け物か
ライルはしばらくもう何もない空間を見ていた。




