表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/79

第三十六話 初めてのクラス(6)

「——“灰色”」


その言葉が落ちた瞬間。

空気が、変わった。

リーバ先生の立ち姿がわずかに沈む。

重心が落ちる。


それだけで——

場の“質”が変質した。


「いいねぇ……」

低い声。


さっきまでの軽さが、消える。


「じゃあ、もうちょい上げるぞ」


ゾクッ——

全員の背筋に、同時に悪寒が走った。


「ちょ、待てよ……」


ガイアが顔を引きつらせる。


「さっきのでも十分ヤバかっただろ……」 


「さっきのは、3割しかだしてない。」


リーバ先生は笑う。

その目は——完全にリオだけを見ている。


「こいつの力がどれまでなのか見たいだけだ」



----------------


——消えた。

そう見えた。

次の瞬間。


「——っ!?」


リオの視界の“内側”に、リーバ先生がいた。


速い——じゃない。“距離がない”!?


拳が来る。

避ける——

間に合わない。


いや、違う、来る前に——



身体が勝手に沈む。

ギリギリで、拳が頬を掠める。


——ドゴォッ!! 


後方の壁がふきとんだ。

え?入学したての学生に向ける力?

下手したら死んでない?

てか壁壊していいの?誰か嘘だと言って?

僕は血の気が引いた。


「……避けるか」


すぐ横から声。

もう次が来ている。

蹴り。

横。

上。

下。

——連撃。


見えない。でも——

分かる。


“来る場所”が、先にズレる。

リオの身体が、紙一重で動き続ける。


スッ、スッ、スッ——


全部、かろうじで当たらない。




「……は?」 


ライルが呟く。


「なんだよ、あれ……」


「……人間の動きじゃない」




リーバ先生の笑みが深くなる。


「いいねぇ……!」


速度が上がる。さらに。


——ドンッ!!


初めてリオの腕が弾かれた。


「っ……!」


重い一撃。

今までの“見えない攻撃”とは違う。純粋な拳の力。  


「避けるだけじゃダメだぞ?」 


すぐ次が来る。


…受ける?

直感。無理だ。


なら——

その瞬間、リオの中で、“何か”が静かに動いた。



色がない、ほとんど見えない攻撃。

ただ——

“そこにある”。


無意識に、手を前に出す。

リーバ先生の拳が、そこに叩き込まれる。


——ドンッ!!


「……止めた?」


リーバ先生の目が、わずかに開く。

リオの手の前で、拳が止まっていた。


正確には——

“止められていた”。


「……お前」


リーバ先生が低く呟く。

次の瞬間。

さらに力を込める。


——バキッ!!


空気が軋み、重圧を受ける。普通なら、吹き飛ぶ。

だが——


「……っ!」


リオは、そのまま押し返した。





「なっ……!?」


ガイアが声を上げる。


「押し返したぞ今!?」 


ライルの目が見開かれる。



リーバ先生が、はっきりと笑った。


「最高だな」


本気の顔。次の瞬間、また踏み込む。

今度は、本気の一撃。

避けられない。

防げない。



リオが、剣を手を触れる。

その瞬間、その一撃は目の前でぴたりと止まった。


「……ははっ」 


リーバ先生が笑う。


「やっぱりか」


ゆっくりと拳を下ろす。


「もういい」


それだけでら空気が、元に戻る。

張り詰めていた圧が、一気に消えた。




「……お前ら全員最高だ。良い素材だ。」



視線は——

リオへ。

「特にそこの少年」


ニヤリと笑う。


「お前は...“化け物側”だ」


その一言で、Aクラスの視線が、全てリオに集まった。

尊敬でも、恐怖でもない。

まだ名前のつかない感情。

ただ一つ確かなのは——

“同じではない”という事実。



リオは、ただ立っていた。

手の痣がピリピリと傷んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ