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第三十三話 初めてのクラス(3)

艶のない黒髪が目元にかかり、表情はほとんど見えない。

だが、その隙間から覗く瞳は——

感情が、ない。

怒りも、喜びも、興味すらも。

まるで、何も“持っていない”空洞。

歩く音すら小さい。

存在感は薄いのに、なぜか“消えない”。


…怖い、というより……


リオは一瞬、言葉を探す。


……近づいちゃいけない、感じ?


その時。


「——見ない方がいいわよ」


横から、淡々とした声。

振り向くと、背の低い長い髪の少女がいた。

薄く紫がかったストレートの髪がさらりと揺れる。

光の加減で白にも見える、不思議な色。


細い指で前髪を払う仕草は、どこか気だるげで洗練されている。


その目はとても深い紫だった。

先ほどの教室では魔法を出してはいなかった。

ただ冷ややかな目で傍観していた少女だ。

出してはいなかったが、漏れていた。確実に雷であろうヴァルクと似た魔力だ。


「……あれは、“人の形してるだけ”」


さらりと、言い切る。


「関わると、面倒よ」


その言葉が聞こえたのか、真っ黒の男の人は一瞬だけ足を止めた。

だが、何も言わない。

振り向きもしない。

ただ——


「……」


ほんのわずかに、視線だけが動いた。

それだけで、空気が、冷えた。


その少女は肩をすくめる。


「ほらね、あ、私はリシャよ。よろしく」


興味なさげに言い放ち、歩き出す。


…この人も、なんか……

リオは言葉にできない違和感を覚える。

“見てきた数が違う”。

そんな感覚。


ライルはまだ先ほどのピンクの髪の女の子と話しているようだった。

ライルも貴族の養子になったのだから、その子とも昔から仲が良いのだろうか。


彼女のピンクの髪は炎を思わせる色なのに、その表情は驚くほど静かだ。

伏せた瞳。

その少女は一言、呟いた。


「……始まるの?」


小さく、誰にともなく問う。

声は可愛く、か細いのに、不思議とよく通る。

その手に、小さな炎が灯る。

揺らがない。

風が吹いても、形を変えない。

まるで——時間から切り離された火。

…なんだ、あれ


リオは息を呑む。


熱を感じないのに、消える気がしない。

触れたら終わりだと、本能が告げてくる。


「相変わらず強いんだな、ヘスティア」


ライルが声をかける。

ヘスティアと呼ばれるその少女は一瞬だけ顔を上げる。

その視線が、ほんの少しだけ柔らぐ。


「……ライル」

  

それだけ。

だが、その一言にだけは、確かな温度があった。

すぐにまた、視線を落とす。





中庭へと続く扉が開く。

全員がゾロゾロと揃った。


広い訓練場。

風が吹き抜ける。

リーバが中央に立ち、ぐるりと見渡す。


「さて」


口角を上げる。


「ここなら、多少壊しても問題ねぇ」


軽く手を振る。


その動きだけで、空気がピリつく。


「改めて言うぞ」

「——魔法、準備」


その瞬間。

再び、魔力が解放される。

今度は——抑えが、少しだけ外れる。


地面が軋む。

空気が震える。

光が、炎が、水が、闇が、風が——

それぞれの“色”を持って、場に満ちる。

その中心でリオは、静かに立っていた。


…やっぱり

全員、異常だ。

でも。


——一番おかしいのは

自分かもしれない。


そう思った瞬間


「——始めるぞ」

リーバの声。

次の瞬間。

ヒュン——


“何か”が、全員に向かって放たれた。

Aクラスはリオ含め全員で9人です

一気に登場するので覚えるのが大変かと思いますがよろしくお願いします。゜(゜´ω`゜)゜。

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