第三十話 学院長からのお呼び出し(2)
学院長は簡単な例を出した。
「例えば、誰かが火の魔法を撃ったとする。」
「はい。」
「普通の魔導士は、それを避けるか、防御するしかない。」
学院長は机を指で軽く叩いた。
「しかし魔力干渉ができる者は違う。」
学院長は手を少し動かす。すると水晶の中の魔力の流れが、横に逸れた。
「飛んできた魔法の流れを横にずらしたり、弱めたり...消したりできる。」
学院長は静かに続ける。
「ただし――」
少し真剣な顔になる。
「それは非常に難しい。...魔力は目に見えない流れだ。その流れを感じ、触れ、動かすには非常に繊細な魔力感覚が必要になる。」
学院長は少し笑った。
「宮廷魔導師でも出来る者はほとんどいない。」
僕は少し驚く。
そんなすごい技術だったのか。
「君は魔法をどう使う?」
「体の中の魔力を見て、属性を掴んで……流すだけです。」
学院長は小さく息を吐いた。
「……なるほど。」
学院長は僕を見て言った。
「君の魔法は――」
少し間を置く。
「無意識にそれをしていた。」
「え?」
「君が魔法を放った瞬間、周囲の魔力の流れが変わった。...そうだな...魔物が赤い髪の子を襲おうとしたときも君は魔物の魔力自体を消した...あれはもともと魔法でできた幻影...魔力の塊だからのぉ...」
僕は少し考える。
……うーん、全然わからない。
優しく説明してもらっても、難しい。
僕は正直に言った。
「僕、そんな難しいことしてないです。ただ...あの魔物に止まれ、と念じました。」
学院長は少し笑った。
「そうだろう。」
「そして君はただ魔力を“流した”だけだと思っている。」
そして静かに言った。
「だが、それができる者はほとんどいない。」
僕は少し困った顔になる。
「すみません……よく、わかりません...」
学院長は手を軽く振った。
「謝る必要はない。」
そして少し真面目な声になる。
「ただし覚えておきなさい。」
「とにかく魔力干渉は強力な技術だ。同時に、非常に危険でもある。」
僕は少し身を乗り出す。
「危険?」
学院長は頷く。
「理由は二つある。」
学院長は指を二本立てた。
「一つ目。魔力干渉は高度すぎる技術だ。学生が使うものではない。もしそれを頻繁に使えば、君は間違いなく目立つ。」
それはまあ……そうかもしれない。
「そして二つ目。」
「君の魔法は、周囲の魔力に影響を与えてしまう。」
「影響?」
「他の生徒の魔法を乱す可能性がある。」
僕は少し驚く。
「そんなことが?」
「魔法の授業では多くの生徒が同時に魔法を使う。もし君が無意識に魔力干渉を行えば――」
学院長はゆっくり言った。
「周囲の魔法が不安定になる可能性がある。周囲の魔法の流れが乱れ、魔法が暴発し、事故になる可能性もある。だから学院では普通の魔法を使うように心がけなさい。」
僕は慌てて言う。
「それはまずいですね!」
学院長は小さく笑った。
そして、最後に言った。
「君の力は……」
少しだけ意味深に微笑む。
「この学院でゆっくり理解していけばいい。」
ぼくは頷く。
「さぁ、話は終わりだ。私は君が楽しい学生生活を過ごせることを願おう。」
学院長はにこりと笑った。
「今日はありがとうございました。」
扉へ向かう。学院長室を出る前、もう一度部屋を見た。
浮かぶ本。
動く羽ペン。
光る水晶。
……不思議な部屋だった。
扉を閉める。
静かになった学院長室で、学院長は小さくつぶやいた。
「灰色の魔力……」
そして羽ペンが紙に新しい文字を書く。
“観察対象 リオ”
学院長は窓の外を見ながら微笑んだ。
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