第二十八話 王立魔法学院入学式
試験から三日後。
僕は巨大な門の前に立っていた。
試験から今日までは近くの宿で泊まっていた。
初日の夜は見慣れない街や今日の出来事、試験の結果にドキドキして何も手がつかなかった。
次の日に宿にはどこらともなく僕のもとに学院から通知が送られてきて、「合格」との文字を見た。
それから今日まで試験に受かった嬉しさで胸がいっぱいだった。ヴァルクにすぐに魔法で伝令を出した。初めて見る街を存分に見てやろうと探索したり、食べ慣れない美味しい料理を食べては、真似をしてみてヴァルクに作ってあげようと考えた。
そうして今日、石で作られた高い門の前に立っている。その上には金色の紋章が刻まれている。
王立魔法学院。
門の奥には信じられないほど広い敷地が広がっていた。塔のような校舎。魔法の結界で浮いている橋。空を飛ぶ魔導具。
……すごい
森の中のヴァルクの家しか知らなかった僕には、全部が新鮮だった。周りには同じ受験生だった人たちがいる。皆、綺麗な服を着ていた。
僕は自分の服を見る。森で着ていた、少しくたびれた服。
やっぱり目立つな……
実際、周りの視線が集まっていた。
「見ろよあいつ。合格したのかよ。」
「ギリギリの合格だったんじゃねぇ?」
小さな笑い声が聞こえるが僕は聞こえないふりをした。その時。
「……よぉ」
後ろから声がした。振り向くと、そこにいたのはライルだった。僕は少し嬉しくなった。
「ライル」
ライルは腕を組む。
「……受かったんだな」
「うん!」
僕が答えると、ライルは他の子たちとは違いそれがさも当たり前のように言う。
「当然だ、でも俺は首席合格だ」
周りの生徒がざわめく。
「首席!?」
「この人?」
ライルは少し得意そうに笑った。でもすぐに僕を見る。
「お前は?」
僕は首を傾げた。
「わからない。通知には何も書いてなかった」
ライルは眉をひそめる。
「……変だな」
その時。
ゴォォォン
鐘の音が響いた。
生徒たちが一斉に校舎へ向かう。
「入学式が始まるぞ!」
僕たちは大きな講堂へ入った。
中はとても広く、前には大きな壇上。
そこに一人の老人が立った。
白い長い髭。青いローブ。試験官をしていたあの人。学院長だったんだ。
「新入生諸君」
低く落ち着いた声が講堂に響く。
「ようこそ王立魔法学院へ」
周りの空気が引き締まる。学院長は続けた。
「ここでは魔法だけではない。知識、技術、そして仲間...それらすべてを学ぶ場所だ」
僕は少しだけヴァルクの言葉を思い出した。
「仲間を作れ」
胸が少し温かくなる。学院長は手を上げた。
「ではクラス分けを発表する」
講堂がざわつく。
「本学院は三つのクラスに分かれる」
手元の紙を見ながら言う。
「Aクラス、最も魔力と才能の高い者。Bクラス、平均的な魔導士。Cクラス...基礎から学ぶ者」
生徒たちが緊張する。
「Aクラスから発表する」
学院長が名前を読み上げる。
「ライル・アルファード」
講堂がざわめく。
「おお……」
「首席のやつだ」
ライルは立ち上がる。少し得意そうな顔。
僕を見る。
当然だろ、という顔だった。
やっぱりライルは凄いなぁ。
学院長は続ける。
「アリア・ルミナ」
前の方に座っていた。金色の髪の少女が立ち上がる。周りがざわめく。
「王族だ……」
僕は驚いた。
王族?
少女の瞳は黄金色だった。
その色を見た瞬間、僕の胸が少しざわつく。
それからまた数人が呼ばれた。まだ僕の名前は出ていない。僕はCクラスかな、いや、Bクラスだったらすごく嬉しい...。
学院長が最後の名前を読む。
「そして――」
少し間を置く。
「リオ」
学院長が僕の顔を見る。
その視線の先に僕がいたのを気づいた何人かの人がざわつく。
「え?」
「もしかして、あの灰色のやつ?」
僕は驚く。
え?Aクラス?
ライルも少し目を見開いたが、何も言わなかった。
学院長は静かに言った。
「以上。なお、リオは後ほど学院長室にくるように。」
講堂が一気に騒然となった。
⭐︎⭐︎余談⭐︎⭐︎ライルより
入学試験はいくつかの日程にわかれて試験がされているんだ。試験内容はその日によって違うらしい。俺はたまたまリオと一緒の日程だったけど、アリアや他のAクラスのメンバーは違う日程で試験したようだぜ




