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第二十六話 王立魔法学院入学試験(4)

ゴォォォ!!


赤い火柱が狼を包む。

魔物は悲鳴を上げて吹き飛んだ。


ドサッ


地面に転がる。

そして炎の向こうから一人の少年が歩いてきた。

輝く紅い髪に目。手にはまだ炎が揺れている。受験者たちがざわめいていた。


「すごい……」

「今の火力……」


僕はその人の姿を見た瞬間、息が止まった。


……え、まさか


少年は振り向く。

その顔を見た瞬間、僕の胸が強く跳ねた。


「……ライル?」


少年は一瞬驚いた顔をする。

昔の面影を残したまま大きくなった、あの孤児院の少年がいたのだ。


「……リオ?」


ライルの近くにいた受験者たちが首を傾げる。

どうやらライルと知り合いのようだ。


「知り合い?」


ライルは少し笑う。


「まぁな」


彼は肩をすくめ、周りの受験者が驚く。


「え?じゃあ友達?」


ライルはすぐに否定した。


「いや」


そして僕を見ながら笑う。


「弱虫だった奴だ」


胸が少しだけ痛む。でも、どこか懐かしい。ライルは僕の服を見て困ったように笑う。


「相変わらずボロい格好だな、よく試験受けに来れたな。...魔法は上手く使えるようになったのか?」


でもライルの視線は鋭かった。孤児院の頃と同じだ。僕をじっと見ている。まるで何かを確かめるように。


その時だった。森の奥から低い唸り声が響いた。


グオォォォ……


さっきより重い音。地面が少し揺れる。

受験者たちが振り向く。


「な、なんだ?」


木々の間から巨大な影が現れた。

さっきの狼より二倍は大きい。

黒い毛並み。長い牙。


その横でライルが笑い、そして炎を手に宿す。


「ちょうどいい。この試験、退屈だったんだ」


炎が大きく燃え上がる。


「俺が倒してやる」


------------------


巨大な魔狼が唸り声を上げる。


グオォォォ……


牙がむき出しになり、赤い目がこちらを睨む。

受験者たちが一斉に後ずさる。


「で、でかい……」

「あんなの、見たことない」


その時、試験官の一人が声を上げた。


「落ち着け!」


そして広場全体に響く声で説明する。


「この魔物は幻影魔法で作られた魔物だ」


受験者たちがざわつく。


「幻影……?」


試験官は続ける。 


「安心しろ。命を奪うことはない、ただし」


少し間を置く。


「攻撃を受ければ本物の痛みと傷は残る。」


一瞬、空気が凍る。


「えっ……」

「冗談だろ……」


試験官は淡々と言った。


「魔導士を目指す者に、安全な戦いなどない。これは実戦適性を見る試験だ」


狼が低く唸る。

その瞬間。

ドンッ!!

地面を蹴り、突進してきた。


「うわあああ!!」 


受験者たちが散る。水魔法が飛ぶ。風の刃が飛ぶ。火球が放たれる。

しかし――ほとんど効いていない。

狼は炎をかすめながら突進する。

ドン!!

一人の受験者が吹き飛ばされた。


「ぐあっ!」


腕から血が流れる。


「くそっ……幻影じゃないのかよ!」


その時、再び炎が走った。


ゴォォォ!!


ライルの火魔法だった。炎が魔物の顔を包み、魔物は一瞬ひるむ。ライルはニヤッと笑った。


「へぇ、少しは楽しめそうだ」


その姿に周りの受験者が驚く。


「すごい……魔法の大きさが違う」


僕はそれを見ながら思う。やっぱりライルはすごいな。孤児院の頃から火の魔法は天才だった。

でも...


僕だけならもう、倒してる。


僕は無意識にそう思っていた。

その時、突然狼が跳んだ。


ガアアア!!


ライルに向かって突進する。


ライルは手を前にだし構えて詠唱するが距離が近すぎる。詠唱が間に合わないようだった。


「...っ!」


その瞬間、僕は少しだけ願った。


……止まれ。


心の中で思う。次の瞬間。


ズン。


魔物が空中で止まった。

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