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第二十五話 王立魔法学院入学試験(3)

その言葉に、若い試験官は目を丸くした。


「本当ですか。無詠唱なんて宮廷魔導師クラスでも難しいですよ」


初老の試験官は何も答えない。ただ静かに、リオの名前が書かれた紙を見る。


「リオ……か」


そして小さく微笑んだ。


「面白い」


--------


その頃、僕は列の後ろで首を傾げていた。


やっぱり魔力、弱すぎたかな


ヴァルクならきっと言う。


「抑えすぎだ」


たしかにさっきの火はかなり弱くした。森で訓練していた頃はヴァルクが結界を張ってくれないときはあれくらいでも木が燃えたからだ。

僕は前の受験者の魔法を見る。


火。

風。

水。


どれも……小さい。

うーん、やっぱりみんなと同じくらいにしたんだけどなー...


みんな、次の試験のために体力でも温存しているのかなぁ?


僕は盛大な完全な勘違いに頭を悩ませていた。

やがて最後の受験者が終わり、試験官の一人が声を上げた。


「よし。魔法実技の試験は終了だ」


受験者たちが少しざわつく。


「これから最後の試験を行う」


その言葉に、周囲が一気に静かになった。

試験官は森の奥を指さす。



「三つ目...最後の試験は実戦試験だ」


その瞬間。

地面が


ドン……


と揺れた。


受験者たちがざわめく。


「な、なんだ?」


森の奥から低い唸り声が響く。


グルルル……


試験官は平然として言った。


「安心しろ」

「結界内に放つのは、弱い魔物だ」


……弱い?なんだろう?


影は一つではなかった。


二つ。三つ。そして――四つ。

木々の間から姿を現したのは

巨大な牙を持つ狼の魔物だった。赤い目をギラギラ光らせ、こちらを睨みつけている。


リオはその魔物を見たとき、少しだけ笑ってしまった。

あ、ほんとだ。弱いやつ。

やっぱり最初はこの魔物なんだ。


リオはヴァルクとの最初の剣の訓練の時を思い出し、少しだけ嬉しくなった。

今になってわかるけど、ヴァルクは僕に手本を見せるためにすごくゆっくり剣を振ってみせてくれていた。ゆっくりでも『速い』にはかわりないんだけどね。



リオの笑いとは裏腹に受験者たちは悲鳴を上げていた。


「ウ、ウルフ系魔物!?」

「弱くないだろ!!」


「グルルル……」


受験者たちが一斉に後ろへ下がる。


「む、無理だろ……」

「こんなの倒す試験なのか?」


その受験者たちの反応にリオは不思議に思った。


あ、みんな貴族出身が多いから森でよく出る魔物なんて普段みないのか。

ヴァルクとの修行では、これくらいの魔物は朝飯前。なんならヴァルクは僕が瞬きしている間に退治している。

この魔物の肉もなかなか身が引き締まって美味しいんだよね、上手に調理できればの話だけど。


試験官は腕を組んでいる。


「落ち着け。これは入学試験だ。魔導士を目指す者なら、この程度の魔物に怯えるな。こいつを倒してみろ。」


その言葉に、受験者たちは戸惑いながらも構えた。一人の少年が前に出る。


「ぼ、僕がやります!」


彼は水魔法を詠唱する。


「ウォーター・ランス!」


水の槍が飛ぶ。

しかし――

ドン!

狼は軽く跳び、槍を避けた。


「えっ!?」


次の瞬間。

ガアアア!!

狼が突進する。


「うわああ!!」


受験者たちが慌てて散る。


「くそっ!」


別の受験者が風魔法を放つ。だが威力が弱い。

狼はほとんど怯まない。僕はその様子を見ながら思った。


あれ……思ったより……みんな弱い?

こんなに苦戦するものなの?


その時だった。大きな炎の渦が走った。

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