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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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交流編10

○ギルドから、というより秘書さまから謹慎処分を食らったオレはアキラの部屋でごろごろしている。


「・・・うっとうしいぞ」

机で作業しているアキラから抗議されるが、なにもする事の無いオレはごろごろするのを止めない。


「退屈で溶けてしまいそうだ」

「ぜひ、溶けてくれ」

ちっ、冷たいやつだな。

アキラはこちらを振り向きもせずに作業している。


「なぁ、出来そうか?」

アキラにはさとるさんが引いてくれたボウガンの設計図を渡してある。

「・・・部品さえ揃えばなんとかなると思うが、やってみないとなんとも言えないな」

アキラもあの設計図を見たときはその出来映えに唸っていた。

興味を抱いたのは確かだろうが、先立つ物が無い。


現在、玲子たちがトラックなどを探して解体し部品を集めに行っている。

しかし、玲子で大丈夫かね?

玲子にとって車とは乗用車、バス、トラック程度の違いでしか無い。

一応、アキラが図を描いて説明したし藤組も同行してるから大丈夫だと思うんだが不安だ。


「・・・でも、いいのか?あんな強力な武器をおれに作らせて」

「ん?適任だと思うけどな」

アキラは手先が器用で力も強い。

この仕事にはうってつけだろう。


「・・・おれがあのボウガンであんたを射つとは思わないのか?」

ん~、どうだろうなぁ。

アキラがあのボウガンでオレを射つ確率は正直、半々ぐらいだと思っている。

射つかもしれないし、射たないかもしれない。


「まぁ、なんにせよ玲子が部品を持ってこない事にはなぁ」

トラックなんてそこらの道に転がっているのに、玲子たちが戻る気配は一向にしない。


「・・・思ったより時間がかかってるな」

やっぱり、玲子に任せたのは失敗だったかなぁ?

しかし、現在ギルドでヒマなのは玲子たちぐらいだ。

他のギルドメンバーは依頼やギルドの仕事がある。

カトリーヌたちニュータイプ部隊には訓練がある。

玲子は戦闘力に関しては問題無いんだけど、まだギルドのやり方に慣れていない。


オレの謹慎が解けれは玲子にゆっくり教えてやれるんだがなぁ。

「美咲ちゃんに頼んで謹慎は勘弁してもらうか」

「・・・まだ24時間も経ってないのに、どうして許されると思うんだ?」

オレの言葉にアキラが呆れ返る。

「無理かな?」

「絶対に無理だ!頼むから余計な事をしておれまで巻き込まないでくれ」

美咲ちゃん、怒ると怖いからなぁ。

「おまえも怒られた事あるのか?」

「・・・なにも聞かないでくれ」

あるんだな。


その後、さくやさんに頼まれていたパーツを完成させたアキラはそれを持って部屋を出ていった。

部屋を出る時にそっと見ていたが、足を引きずっている。

痛みは無いようなのがせめてもの救いか・・・


オレはこれまで多くの命を奪っている。


玲子の兄であった獅子男。

ゴンの両親の命を奪ったトロール。

そして、ゴブリンやホブゴブリン。

あまり考えないようにしているが、ゴブリンやホブゴブリンは元は人間だ。

トロールも元々は人間だったのだろう。

それ以外にも食うために猪や鹿などの命を奪っている。


どれも必要だったし後悔などしていないが、奪った命に恥じない生き方ぐらいはしていきたいと思う。

せっかく生き延びたアキラが幸せとまではいかなくても、笑って生きていければいいと思う。


■完成したパーツを渡した帰りにあの少女に会った。別に会おうと思った訳では無い。少し、足が痛むので休憩していたら、たまたま、会っただけだ。


「アキラさん、真人さんはどうですか?ご迷惑はおかけしていませんか?」

年齢より少し大人びた口調で少女が話しかけてきた。


「想像の10倍は迷惑で邪魔で五月蝿い」

問われたので正直に答える。


「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

少女が深々と頭を下げる。


「まぁ、引き受けたのはおれだがな」

世話になっているので引き受けたが、少々後悔している。


「もし何でしたら別の方にお願いますよ」


「いや。そこまででも無いんだがな・・・」

おれは少女の瞳を見る。目に変異があると聞いたが吸い込まれるような瞳をしている。

「・・・すまないが一つだけ頼みがある」



○「・・・狭いな」

アキラがぽそりと呟く。

「すいません」

香織さんが小さくなる。

「香織さんはいいんだよ。おまえがもっと小さくなればいいんだよ!」

「無茶を言うなよ」

それでもアキラは少し移動して空間を開けてくれる。

「あまり、ばたばたしないでください。埃が舞いますから」

美咲ちゃんが食器を並べながらオレたちに注意する。

「は~い。出来たわよ」

マスターがフライパンを火から下ろす。

「いい匂いですね~」

さくやさんがフライパンを覗きこむ。

「あたしの愛情がたっぷり入ってるもの」

食欲が無くなるような事、言わないでほしいなぁ。

「椅子がぜんぜん足らないじゃないか!」

「床に座ればいいじゃん」

京子さんが文句を言い出しゴンにたしなめられる。

「えらく大人数になってますね」

さとるさんが開きっぱなしの扉から顔を出す。


「さすがに狭いな」

アキラの部屋は人でごった返している。

「すいません。食事を持ってくるのを見つかってしまって」

香織さんが頭を下げる。

「いいのよ。真人ちゃんたちもさびしかったんだから」

そうだけど、あんたが言うなよ。

「ゴン、おまえこっちに来い」

ゴンをオレの膝に乗せる。

「真人兄ちゃんの脚、ごつごつで座りにくいんだよなぁ」

文句をいいながらもゴンが膝に座る。

「それじゃ、わたしはこっちに座ります」

美咲ちゃんがさくやさんの尾の上に腰かける。

「は~い、いらっしゃ~い」

さくやさんが美咲ちゃんが座りやすいようにとぐろを巻く。

「あたしはどこに座ろうかしら?」

マスターがオレとアキラの膝を見比べる。

「こっちはゴンが座ってるから、そちらへどうぞ」

「・・・おれは怪我をしてるから勘弁してくれ」

アキラが膝を立てて防御体勢を取る。

「冗談よ」

マスターが笑いながらさとるさんの膝に座る。

「食べにくいんだけどね」

無遠慮に腰を掛けられたさとるさんが苦笑する。

「さぁ、香織、ワタシの膝が空いてるよ」

京子さんが大きく手を広げて香織さんを誘う。

「いえ、遠慮しておきます。ゴンちゃん、ちょっとずれて」

オレの膝に座るゴンの隣に香織さんが腰掛ける。

「うっうっ、ふられてしまった」

「それじゃ、こっちに座りますか?まだまだ、よゆ~ですよ」

泣き真似をする京子さんをさくやさんが誘う。


「ねぇ、美咲ちゃん、謹慎期間って分割出来ない?」

食事しながら美咲ちゃんと交渉してみる。

「出来ません!」

あっさり交渉決裂してしまった。


「ボウガンは出来そうですか?」

「部品さえ揃えばなんとかなると思います」

「あれは強力だから楽しみだわ」

さとるさんたちはボウガンの話題で盛り上がっている。


「電気っていつぐらいから使えます?」

「アキラさんが作ってくれたパーツを台座に組み込んでしまえば、すぐに復活しますよ~」

「あと数日中だ。楽しみにしておいてくれ」

電気復活ももうすぐだな。


「こら、にんじんも食べなさい!」

「え~、いいじゃん。真人兄ちゃんあげる」

「いらん!」

オレもにんじんは好きじゃないんだ。

・・・香織さん、ゴンに見えないようにオレの皿ににんじんを入れるのやめてほしいなぁ。


アキラの部屋でみんなでわいわい騒ぎながら食事をする。


なんでこんな事になっているかというとなんとアキラが美咲ちゃんにお願いしてくれたのだ。曰く、オレの顔を見ながら二人での食事は勘弁してくれ。だ、そうだ。


横目でそっとアキラを見てみると、みんなと話ながら食事している。


笑顔ってほどじゃないけど表情は柔らかい。


あいつに射たれる確率は無くなったかな?甘いかな?


そんな事を考えていると廊下の方が騒がしくなってきた。

「アニキ~!真人のアニキ~、大変だよ!アニキ~!」

玲子がばたばた部屋に駆け込んできた。


「どうしたんだ?まぁ、まずはこれでも食って落ち着け!」

駆け込んできた玲子に皿に山盛りになったにんじんを差し出す。

皿に山盛りになっているにんじんを見てゴンが首を傾げている。

明らかに最初より量が多いもんなぁ。

香織さんは視線を逸らして皿を視界に入れないようにしている。


「う、うん。いただきます」

玲子は素直に皿に山盛りになったにんじんを平らげる。

おぉ、にんじんの食べられる子だったのか!えらいぞ!

これから、オレのにんじんはすべて玲子にやろう。

「それでなにが大変なのよ?」

マスターの言葉で玲子はここに来た理由を思い出したようだ。

・・・おまえ、忘れてたのか?


「ご、ごちそうさま。それが大変なんだよ!」

「だからなにが?」

「そ、それが街でトラックを探して、でも、あんまり見つからなくて。飽きたから川で遊んで、あっ、いや、川で休憩してたら、どんぶらこって桃じゃなくておっさんが流れてきて!」

「おっさんって誰だよ?」

「わたしが居た町のむかつくおっさんだよ!」


要領を得ない玲子の説明をなんとか解読すると、玲子たちは街までトラックを探しに行ったがオレたちが必要としているパーツがなかなか見つからなかった。

その内、パーツ探しに飽きた玲子は街に流れ込む川で遊び始めたらしい。

「いや、ちょっと休憩しようと思って」

川で遊んでいたところ、上流から桃ならぬ人が流れてきたそうだ。

基本的に気のいい玲子はその人物を救助した。

「だいぶ寒くなってきたのによくやったな」

それは誉めてやろう。

「ん?藤井に飛び込ませた」

・・・誉めるのは止めとこう。


「それでそのおっさんってのはどうしたんだ?」

まさか、そのまま置いてきたんじゃないだろうな?

「ここのじいさんとおっちゃんに預けてきた」

・・・大先生と田中さんか。

「それでそのおっさんって誰だよ?」

だいたい分かるけど念のため、聞いてみる。

「あのハゲだよ!」

・・・あのおっさんに間違いないな。


どういう事だ?あのおっさんは人喰い退治をしてる筈だ。

いや、あれから時間が経ってるからすでに退治済みだろう。

人喰いに返り討ちにでもあったのか?


「おっさんはどんな様子だった?」

「ぼろぼろだった。いい気味だよ」

ごんっ!

玲子の頭にゲンコツを落とす。

「ご、ごめんなさい」

ゲンコツを喰らった玲子が涙ぐむ。


「命に別状は?助かるのか?」

あのおっさんはかなり腕利きの筈だ。

それがぼろぼろ?

「さあ?」

玲子は首を傾げる。

「なんか言ってたか?」

「あの野郎とか、くそ野郎とか言ってたよ」

相変わらず口が悪いおっさんだな。

「どんな様子だった?」

「傷だらけで片方の手の指が無かったよ!」

指が無かった?


「どんな感じで無かったんですか?」

さとるさんの質問に玲子が身ぶり手振りで答える。

「なるほど。なにか刃物を手で防いだようですね」

降り下ろされる刃物を手で受け止めるかなにかしたようだ。

「僕も行ってみます。おそらく医務室でしょう」

さとるさんが立ち上がる。


「さとるさん!」

オレはさとるさんをじっと見る。


「・・・真人くんの謹慎を一時解除します」

さとるさんは美咲ちゃんを見てそう宣言した。

「・・・一時ですね」

「はい、緊急事態のようですから」

「あくまで、一時的な解除であるのなら承認します」

美咲ちゃんもうなずいてくれる。


「よし!これで自由だ!」

「いえ、あくまでも一時的な処置です!」

美咲ちゃんがオレを可愛らしい目でにらむ。

「分かってるって」

やだなぁ、これでうやむやになんかしないよ。

「後でちゃんと謹慎してもらいますからね」

「分かってる。分かってる」

言いながら、美咲ちゃんの頭を撫でる。


「オレも医務室に行きます」

オレとさとるさんは医務室に急いだ。





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