表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/118

同盟編8

○分厚い全身鎧に身を包んだ大柄な男たちが城内になだれ込む。これまで一方的に攻撃されていたので突撃隊の隊員たちもストレスが溜まっている。武器を振り上げた隊員たちが城兵に襲いかかる。いつもは大人しい藤井くんまでもが巨大な鉄棍を振り回している。


「城門を押さえろ!」

城兵たちを次々倒していく隊員に大声で命じる。


オレたちが崩した城壁は瓦礫が散乱している。身体能力に優れた突撃隊なら容易く乗り越えられるが人数の多い本隊が城内に突入するには少し都合が悪い。城兵を倒す前に瓦礫で怪我をしては本隊の人間も面白くないだろう。

オレの号令で突撃隊が砦正面の門に向かう。

信頼していた石製の城壁が崩され武器を手にした大男たちが瓦礫を乗り越え突入してきたので城内は混乱している。本来なら正門を守っていた筈の正規兵は砦や外に逃げ出し正門付近には装備の貧弱な奴隷兵たちしかいない。いい機会だから彼らも逃げればいいのだが自由意思を奪われた奴隷兵たちは自分で判断する事が出来ないのか逃げようとしない。


「そこをどけ!」

正門を守る奴隷兵に強く命じる。

自分の主人以外の突然の命令に奴隷兵たちが混乱する。


「命令だ!どけ!」

重ねて強く命じると奴隷兵たちが正門からしりぞく。


実は主人を見失った奴隷兵を相手取るのは簡単だ。自信たっぷりに強く命令すれば彼らは反射的に命令を受け入れる。本来の主人が近くにいるとこれほど簡単に命令に従ったりしないのだろうが今は誰もいない。

「門を開けろ!」

オレが命じると奴隷兵たちが門を開き始める。一度、オレの命令に従っているので命令に従う事に抵抗は無い。本来は悲しむべき事態なのだが今は利用させてもらう。


「門を開いたらお前たちは東の海岸まで走れ!」

東の海岸には船長たちがいる。海岸まで走り周囲に誰も命令を下す者がいなくなれば彼ら奴隷兵も徐々に落ち着きかつての自分を取り戻していく。そうなった所で船長たちが彼らを助ける。望む者は可能なら故郷まで船で送ってもらえるし不可能でも自由に移動出来る。武具を持ったままなら数人でグループを作れば歩いて故郷に帰る事も可能だ。関門トンネルは田中さん率いる別動隊が完全に抑えているので自由に行き来する事が出来る。九州で捕まり奴隷にされた者はいずれ彼らの中から代表者を選んでもらいこの地を統治してもらいたい。オレたちは連合の人間を滅亡させる事は出来ないので残党と争う事になるだろうが出来る限り援助するので頑張ってもらいたい。オレたちは九州を支配するつもりは無い。そんな事は不可能だしメリットも薄い。今回の遠征は連合の組織的活動を瓦解させる事が目的なのだ。無責任かもしれないがそれ以降はこの地に住む者たちで解決してもらう。幸い連合内部にも有為な人物はいる。内心では奴隷制度に反対しながらも戦力的に独立しえなかった人たちだ。その人たちを中心に連合の残党を纏める計画だ。九州にもギルド支部をいくつか設立し協力と残党の監視をすればなんとかなるだろう。


「待て!」

城門を出る奴隷兵の一人に声をかける。

突然声をかけられた奴隷兵はびくりとしながら立ち止まる。オレは立ち止まった奴隷兵の顔を見つめる。

「ふむ」

立ち止まった奴隷兵を観察する。装備は貧弱で革鎧に所々鉄片で補強しただけの鎧。武器も鉄パイプに石をくくりつけただけの簡単な鈍器しか持っていない。武具だけを見れば間違いなく奴隷兵なのだが・・・

「奴隷兵以外は行っていいとは言ってないぞ」

装備的には奴隷兵なのだが違和感がある。目に輝きが有り顔の血色がいいのだ。奴隷兵の目は虚ろで食料事情も良くないことから顔の血色も悪い。彼らの中に食料事情に恵まれた城兵が混じるとかなり目立つのだ。

「くっ」

見破られた事を悟った城兵が隠し持っていたナイフを抜く。そのナイフはきちんと手入れされている。

「あほう」

オレは突きかかってくるナイフを押さえ込む。鉈剣を城兵の頭に振り下ろす。城兵が逃れようと首を振ったので頭には当たらなかったが肩に打ち込まれた鉈剣が彼の肉体を切り開いていく。オレの鉈剣はさして切れ味が良くないのでどうしても押し切るようになってしまう。

「ぐぎゃぁああ!」

首を振らなければ頭を潰して楽に殺してやったのにバカな奴だ。鉈剣に押し切られ半ば潰れたようになった城兵の死体を投げ捨てる。

城壁を守っていた奴隷兵たちを城内から追い出す。奴隷兵に紛れて逃亡しようとした城兵は見つけ次第殺していく。何人かは城外に逃れただろうがそちらは遊撃隊が始末してくれるだろう。城兵と奴隷兵は見れば簡単に判ってしまうのだ。


「本隊が来ます」

全身返り血で汚れた藤井くんが報告してくれる。城内がある程度落ち着いたのを見計らってマスター率いる本隊が砦に向かい移動してくる。

「いいタイミングだな」

奴隷兵が逃げ出す時に来られると混乱して危険だ。散発的に砦内部から矢が射かけられるが大した威力は無い。矢を射かけようと窓を開けばそこに突撃隊が瓦礫などを投げ込み沈黙させる。砦内部に籠った城兵は完全に怯えている。


「被害は何人出た?」

「戦死が六名。戦闘不能が10名程です」

装備が貧弱な奴隷兵も数が集まれば脅威になる。パニックになった奴隷兵に囲まれれば戦闘能力の高い突撃隊の隊員でも危険なのだ。

「そうか・・・。本隊到着を待って砦を落とすぞ!」

16人の被害は人数の少ない突撃隊には大きな痛手だ。このまま砦まで落としてしまいたいが無理は止めておく。

「奴隷兵たちは城外に追い出せ!」

そう大声で命じながら藤井くんと城内を見回る。


「結構、被害が出たな」

特に戦死した六名は痛い。戦闘不能は頑丈な突撃隊の隊員なら復帰も可能だろうが戦死だけはどうしようもない。

「これだけの敵に戦死六名なら上出来です」

後ろから付いてくる藤井くんがオレを慰めるように言う。

「別にオレの手柄じゃ無いさ」

戦死者が少なかったのはおっさんたち本部工房の職人たちが鍛えてくれた鎧と突撃隊隊員の頑強さが理由だ。オレ以外が指揮しても被害は大して変わらなかっただろう。


「20名程で本隊の援護をする。残った者は城門と城内の警備だ。打ち洩らしを叩け」

「はい」

「器用な奴を選んでくれ」

「任せてください」

藤井くんに隊員の選考を任せる。実は突撃隊隊員は狭い室内での戦闘が苦手だ。大柄で武器も大きい彼らは狭い室内では驚くほど脆い。武器を振り回すスペースも素早く動く空間も無い砦内部だと思わぬ不覚を取る事がある。砦内部の戦闘の主役は本隊に任せなくてはいけない。


「ご苦労様。相変わらずスゴいわね」

本隊と共に到着したマスターが城内の様子を見て苦笑する。基本的に奴隷兵は城外に追い出しているのだがやはり抵抗する者はいる。それに奴隷兵に紛れて逃亡しようとする城兵もいる。結果、城内ではあちらこちらに死体が散乱する事になる。

「出来るだけ外に逃がしたんだけどね」

オレは軽く肩を竦める。可能な限り戦闘は避けたつもりだが城内には多くの死体がある。まだちゃんと数えていないがおそらく1000人近い死者が出ている。オレたちは基本的に奴隷兵は解放するので敵の戦死者には城兵が半数近く混じっているだろう。

「責めて無いわ。誉めてるのよ」

慌てたようにマスターが言いオレに抱き付いてくる。

「いや、分かってるから離れてくれ」

無精髭が生えた細マッチョに抱き付かれても全く嬉しくない。

「あんっ!いけずねぇ」

抵抗するマスターを無理矢理引き剥がす。それを見ていた周囲の者たちが生暖かい微笑みを浮かべる。


「それでどうすんの?」

周囲の生暖かい微笑みを敢えて無視してマスターと作戦を協議する。

「内部に突入後は楯を並べて弓と短槍で侵攻。抵抗する者は殺していいけど情報源になる城主は生け捕りにしたいわね」

「焼き討ちにはしないの?」

「一応、木製だけど漆喰みたいのが塗られてるし出来れば支部として利用したいのよ」

「了解」

簡単な打ち合わせを終え藤井くんが選んでくれたメンバーの元に戻る。


「焼き討ちは無し!支部として利用する可能性があるから出来るだけ建物は壊さないように!」

「抵抗する者は?」

「殺していいが城主は生け捕り希望だ」

オレの簡単な説明を聞いた突入メンバーは装備を確認する。長柄の武器を持っていた者は武器を室内用に持ち変える。

「・・・いや、いいんだが石は止めとけ。石は」

長い槍を持っていた者が大きな石を持ったので注意しておく。それじゃ原始人だぞ。


全員の装備が整ったのを確認して号令をかける。

「それじゃ行くぞ!」

「おおぅ!」

突入するメンバーが外から運んできた大陸亀の甲羅を持ち上げる。

「さぁ、もう一踏ん張りだ!」

「おおぅ!!」

「それじゃ外は任せる」

見守る藤井くんに声をかける。

「はい!お気を付けて」

「あいよ」

準備の整ったメンバーと本隊の元に向かう。


「お待たせ」

整然と並ぶ本隊の前に出る。

「疲れてるのにごめんなさいね」

「いや、大丈夫だ」

なんせ突撃隊は体力旺盛な隊員揃いだ。これぐらいなら疲れたりしない。


オレたちは本隊の全面に並び大きな楯を構える。突撃する時は邪魔になるので本隊に預けている大楯だ。その楯を構えた突撃隊が陣を組む。その後ろに弓や短槍を構えた本隊が続く。

全員の準備が整ったのを確認してマスターが号令をかける。

「前進よ!」

マスターの号令で全員が静かに前進する。砦内部から矢が射かけられるが無視して進む。突撃隊に当たった矢は大きな楯と分厚い鎧に阻まれて地に落ちる。後方を狙った矢も本隊が掲げる楯に阻まれてほとんど効果が無い。

「破れ!」

扉までたどり着いた突撃隊が手にした武器を扉に叩きつける。斧や鉄棍が振り下ろされ扉が破壊される。破れた扉の破片を本隊の人間が手早く片付ける。

「射ちなさい!」

破れた扉内部に密集した矢が射かけられる。砦内部で待機していた城兵が矢を浴びて倒れていく。城兵も楯を掲げているのだが本隊が射つ矢はその楯を容易く貫通していく。矢の材質と弓の性能が違いすぎるのだ。これまでほとんど戦い続けてきたギルドの武器は改良を重ねられ連合の武器よりかなり高性能だ。やや小ぶりな楯を構えた本隊の隊員が砦内部に突入していく。扉を破った突撃隊は邪魔にならないように脇に避けて彼らを通す。


「終わりだな」

城壁を破られ砦内部にまで侵入された城兵に既に勝ち目は無い。時間を掛けてゆっくりと内部を掃討していけばいい。

砦内部に侵入した本隊の隊員が10人ずつ別れて各通路に散らばっていく。楯を持った者を先頭に二列目に短槍を装備した者、三列目に弓を構えた隊員が続く。多少の被害は出るだろうが装備と練度に勝るこちらに敵う訳も無い。


「一階は完全に制圧しました」

「地下は倉庫のみで誰もいません」

本隊の隊員たちが次々と戦況を報告してくる。


「なんとか上手くいってるわね」

マスターが小さく安堵の息を洩らす。

充分に訓練をしこれまで何度も砦を落としているが隊員たちが内部に侵入した時はいつも緊張する。

「大丈夫だ。装備も練度もこちらが勝っている」

内部に侵入した隊員たちは各所で敵を分断し局所的優位に立って戦っている筈だ。敵がこちらより多数なら一旦引いて仲間と合流し数的優位を確立してから再度攻撃を仕掛ける。それを繰り返せば負ける事は無い。マスターが何度も訓練した内容だ。優秀な彼らはそれを順守しているだろう。

「ええ、ありがと」

不安そうなマスターを宥める。

 

「緊急!」

顔面を血で染めた隊員が走ってくる。

「どうした?」

「敵城主の部屋の前に強力な変異者がいます。突破出来ません」

「被害は?」

「隊員10名が命を落としました」

「一個小隊が丸々殺られたのか?」

「敵変異者には弓も槍も効きません」

手当てをしながら情報を得る。


「オレが行く」

鉈剣は室内で振り回すには少々長いので副武装として持っている手斧を持つ。

「真人ちゃん」

「マスターはダメ。今のあなたは遠征軍の代表だ」

付いてこようとするマスターを押し止める。

「気をつけてね」

「ああ」


「こちらです」

隊員に案内され上階に向かう。

建物内でさして物音がしないのは本隊隊員たちが上手く制圧しているからだろう。

しかし、上階はそうではない。散発的に戦闘音がしている。どうやら敵は元気一杯らしい。

最上階に足を踏み入れると血と臓物特有の匂いを感じる。


「チッ」

思わず舌打ちが出る。

被害は10名と聞いていたが明らかにそれより多い。軽く倍はいる。他の隊員たちが仲間を救いに来たのだろう。


「全員下がれ!」

大声で命じる。変異者から距離を取って矢を射ていた隊員たちが後退する。

変異者は突然現れたオレを警戒して隊員たちを追おうとはしない。


「報告は聞いていたが妙な奴だな」

身長は170センチ前後だろうが体重は100キロは優にありそうだ。

「気をつけてください。矢も槍も効きません」

後退する隊員がオレに短槍の穂先を見せてくれる。穂先の刃は所々欠けてしまっている。


「今日は亀の日かなんかか?」

ライカンスロープなのか目の前の変異者は甲羅を纏った亀人間のようだ。亀と言ってもミドリ亀やすっぽんというより南米などにいるカミツキガメに似ている。


「外来種じゃないよな?」

いや、日本でも繁殖してたっけ?

ゆっくりと変異者に近付く。


「貴様がギルドの悪鬼か」

予想より明瞭な声が変異者より洩れる。


「悪鬼と呼ばれる程悪どくは無い・・・つもりだ」

-悪鬼、悪鬼とうるさいな。そんなに悪い事はしてない訳じゃ無いか?


ジャラ


亀男は棘の付いた鉄球を鎖で繋いだ武器、モーニングスターを持っている。扱いの難しい武器だがあの肉体なら誤って自分にぶつかっても大丈夫だろう。


「降伏する気は無いか?」

亀にはなにかとお世話になっているので一応、降伏を進めてみる。


「降伏すればどうなる?」

「苦しまないように殺してやる」

降伏した者は一応助命するのだがこれほど隊員たちを殺してはそれは不可能だろう。


「ふふ、正直な奴だ」

「どうも」


話しながら距離を詰めていく。


「断る!」

亀男が叫びながらモーニングスターを振るう。

「じゃあ死ね!」

こちらも手斧を振ってモーニングスターをはじく。


相手のモーニングスターはこちらの手斧より間合いの長い武器だ。しかし、オレのリーチは相手より長い。つまり間合いはほとんど変わらない。相手が振るうモーニングスターを手斧ではじいてその隙に一撃を喰らわせようとするのだが思った以上に動きが速く中々捉えられない。しかもモーニングスターをはじくのが想像以上に難しい。鎖部分をはじくと先端が勢い良く動いてこちらの手や腕に当たりかける。攻撃を防ぐには鉄球部分を正確にはじかなくてはいけない。モーニングスターって厄介な武器だな。

「クッ」

しかも通路で戦っているので動きにくい。あちらはそれほど大きくないので自由に動く事が出来る。

「死ね!」

「断る!」

上から振り下ろされるモーニングスターの鉄球をはじこうと手斧を振るう。

「甘い!」

振り下ろされていた鉄球がいきなり角度を変える。

「げっ」

これまで素直に振ってきていたのはフェイントか!

手首を動かす事で鎖が捻れ鉄球の角度を変える事が出来るようだ。

ガンッ

こっちは勢い良く手斧を振ってしまったので急に止めれなかった。しかも手斧を壁に打ち込んでしまった。

「終わりだ!」

亀男がオレの頭目掛けて鉄球を振り下ろす!

「甘い!」

さっきのお返しを怒鳴りながら素手で鉄球を掴む。

「なっ!」

鉄球には棘棘があるが我慢すれば掴む事は可能なんだよね。もっとも痛そうなので出来ればやりたくなかったけど。

「まさか誘いか!?」

亀男の顔が驚愕に歪む。

-亀って驚くとこんな顔になるんだ。

やや的外れな感想を抱きながら鉄球を握り潰す。


グシャ


-痛ってぇ

内心が表情に出ないように無理に笑顔を作る。

「いや、フェイントには引っ掛かったぞ」

あの技術には驚いた。

「単純に身体能力の差だ」

フェイントに引っ掛かってからでもオレの身体能力なら充分に間に合うのだ。そもそもオレが亀男に苦戦したのはモーニングスターという珍しい武器とこの狭い空間が原因だ。室内では無く広い空間で戦えばもっと簡単にけりがついただろう。


「クソッ!」

自棄になったのか亀男がオレの喉に噛み付いてくる。

攻撃としてそれはどうだろう?

加速したモーニングスターを見切れるオレに噛み付き攻撃などが効く訳が無い。

「ほれ」

あっさりとオレは亀男の頭を捉える。

「結構面白かったけどもういいぞ」

オレは亀男の首の付け根にも手をかける。

「ぐぐぅあ・・ユ・・・キ・・ム・・ラ・・さ・・・ま」

頭と首筋を掴まれ引き伸ばされた亀男の口から苦悶の声が洩れる。


ゴキッゴキッ


驚く程伸びた首から鈍い音がする。

耐えられなくなった頚椎が砕けたのだろう。

亀男の肉体が痙攣する。

しかしオレは力を緩めない。そのままさらに力を込める。


ブチィッ!


1メートル近く伸びたところで亀男の首が千切れた。


ブシュウゥゥ


赤黒い血が千切れた首から噴き出す。


「っお、おおおぉ!」


「すげぇ!」


「ギルドの悪鬼は最強だ!」


戦いを見守っていた隊員たちから歓声が上がる。


-誉めてくれるのはうれしいんだが最後のは誉めて無いぞ。


「城主を探せ!」

手の痛みを押し殺して命じる。


「「はい!」」


最上階の部屋を隊員たちが探す。


「居ません」

「こちらにも居ないようです」


-おいおい、城主を逃がしたら厄介だぞ。


「こちらに穴が在ります!」

城主の寝室と思しき部屋を探していた隊員がベッドの下に隠された穴を発見した。


「脱出孔か」

穴にはロープが垂らされている。


「追ってみます!」

「気をつけろよ」

ナイフを口に咥えた隊員が穴に入っていく。オレも行きたいのだが明らかにサイズが小さい。

-こういう時はデカイ肉体が不便だよな。

「真下の部屋を調べてみます」

隊員たちが次々と下の階に下りていく。


一時間ほどして地下の倉庫から城主が発見された。城主は地下の倉庫と外壁の間の隠し部屋に潜んでいたのだ。


「出てこい」

発見した隊員にナイフを突き付けられた城主が隠し部屋から出てくる。


-やれやれだな。


隊員たちが城主を拘束してマスターの元に連れて行く。


-それにしてもユキムラか・・・


連合の本拠地に早く行きたいような行きたくないような微妙な気持ちでオレも地上に出る。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ