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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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同盟編1

○オレは一人、ギルド本部内をぷらぷら歩いている。

オレとしては早く復帰したいのだが全身を矢で射られているので傷が治るまで待機を命じられている。

-う~ん、全然平気なんだけどなぁ。


だが、せっかくの待機命令だ。

久しぶりの本部だし自室でごろごろしていたのだが妻と嫁に追い出されてしまった。

-最近、ちょっと冷たいよなぁ。

少しさびしい。


オレが悩んでいると脳内が暖かくなった。


-いえ、あれだけ邪魔すれば追い出されて当然だと思いますよ?

ハルカがちょっと呆れている。


-邪魔なんてしてないぞ。


-お掃除している優子さんにずっと連いていったり洗濯している香織さんに抱き付いたりしてもですか?


-以前は喜んでくれたぞ?


-いや、ずっとやれば怒られますよ。


-・・・倦怠期って怖いな。


-いえ、断じて倦怠期じゃ無いですから!


こういった小さな事が夫婦のキレツというモノを広げてしまう事がまだまだ子供のハルカには理解出来ないようだ。

  

-今後、よりいっそう二人を愛していかなくては!!


-・・・これ以上は本当に二人が死んじゃいますよ?



「おっ!」

本部内を一人で歩いている祥子さんを見つけた。

祥子さんは結社からギルドに来たばかりなので知り合いがいない。


-うん、ここはオレがお友だちになろう!


-・・・大丈夫かなぁ?


「やぁ!」

爽やかな笑顔で声を掛けてみる。


「うっ、あ、ああ君か」

なぜか祥子さんの顔が青くなったが決してオレが怖かった訳じゃ無い。

少し驚かしてしまっただけだ。


-あなたの笑顔は耐性の無い人には怖いと思いますよ・・・


「なにしてるんですか?」

ハルカの言葉はするっと無視して祥子さんに語りかける。


「あぁ、ギルド長に許可を貰ったので本部の施設を見学しているんだ」

なるほど、ここには色々面白い施設があるからね。


「オレが案内しましょう!」

祥子さんとは知らない仲では無いしここはオレがお役に立とう。

「いや、君も忙しいだろうし・・・」

祥子さんがちょっと後ずさる。

「いえ、いえ、せっかく来てくれたお客さまですから」

まったく一人で施設を見学させるなんてサービスがなってないな。

これじゃギルドが誤解されてしまう。


「いや、自分は一人で大丈夫だ」

「遠慮しないで下さい」

「いや、本当に自分は一人で・・・」

「それじゃ、まず工房に行ってみましょう!」

あそこには色々面白い物があるからね。

遠慮する祥子さんを連れて工房に向かう。

「いや、君、人の話を聞いているか!?」

そんなに固辞するなんて祥子さんは本当に遠慮深い人だな。


-単に嫌がってるだけじゃ・・・


☆「彼女の様子はどうですか?」

結社から来た女性を一人で本部内に放ってみたのだがどんな行動をするだろう。


「・・・ダメね。途中で真人ちゃんに見つかったわ」

彼女の監視を頼んでいたマスターがため息をつく。


「・・・真人くんには自宅待機を命じていた筈ですが?」


「優子ちゃんと香織ちゃんが一緒で真人ちゃんが大人しく出来る訳無いでしょ?」

マスターが僕をじとっとした目で見る。


「部屋を追い出されてしまいましたか・・・」


完璧な計画だったのだが・・・失敗か。


「ホント、さとるちゃんって変なとこで抜けてるんだから・・・」

小さな声ですがきっちりと聞こえてますよ。


「・・・まぁ、真人くんが一緒なら近付いて来れば分かるでしょう。いい機会ですから結社との関係について話し合いましょう」

マスターの呆れたような視線を無視して話を進める。


現在、会議室には祖父であるギルド長、秘書の美咲ちゃん、マスターやさくやさんなどギルド本部の主要メンバーが揃っている。


ここに真人くんや優子さんたちがいないのには訳がある。

真人くんは結社でハルカという未知の存在に寄生されてしまった。


「真人くんの精神や人格は本当に大丈夫ですか?」

僕が観察した限り真人くんに以前との差異は無いのだが確認しておきたい。


「何度か隙を見て抱き付いたりしたけど完全に大丈夫ね!」

接触テレパスであるマスターがはっきりと頷いて保証する。


「さとる、お前は真人君を疑っておるのか」

発言したギルド長だけでは無く全員の視線が僕に集まる。


「真人くんを疑った事はありません。念の為、確認したかっただけです」

「うむ。それならいいが」

僕の目ををじっと見ていた祖父が納得したように頷く。

僕の言葉が本心だと分かったのだろう。


「しかし、ハルカという存在が真人くんと感覚を共有しているのは事実です」

それが問題なのだ。


ハルカという存在はあくまで結社に所属している。

ギルドと結社の利害関係が対立した場合、彼女がどのような対応を取るのかが不明だ。


「あたしが感じた限り、ハルカちゃんは真人ちゃんにかなり入れあげてるから大丈夫だとは思うけど・・・」

マスターはこれまで真人くんを通してハルカさんの事も観察している。


「入れあげているってどういう状態なんですか?」

マスターの発言に美咲ちゃんが興味を示す。


「まぁ、瞳の中にハートマークが浮かんでる状態ね」

「・・・ハートマーク」

「そっ!完全にメロメロよ」

頭の上に?マークが浮かんだ美咲ちゃんにマスターが面白そうに説明する。


ふむ、それなら信用出来るかもしれないな。

女性は理論や利害より感情を優先させる場合がある。

僕は単純にそう考えたのだが美咲ちゃんの顔色が悪い。


「・・・それってマズいんじゃないですか?」

美咲ちゃんが不安そうな声を出す。


なにがマズいのだろうか?

ハルカという存在が真人くんに心を奪われた状態なら事態は逆転する。

これまではギルドの情報が結社に流出する事を懸念していたのだが状況によっては結社内の情報がギルドに流出する事になる。結社はハルカという存在を守る為に結成させた経緯があるようなのでハルカさんを切り離す事は出来ない。

ふむ、一考の価値はあるな。

真人くんと結婚している二人には悪いがこれは真人くんに頑張って貰った方がいいかもしれないな。

そうすればギルドは結社に対して強いアドバンテージを持つ事になる。



「そうよぉ。あの二人にバレたら真人ちゃん大変な目に合うわね」

マスターは美咲ちゃんの不安を理解したようだ。


「ふむ。しかし、そのハルカちゃんとは肉体的な接触は無いのじゃろう?」

祖父の言う通りだ。

真人くんとハルカさんは完全なプラトニックな関係だと思うが?


「そんな事関係ありません!」

「そうよ。プラトニックでもフィジカルでも関係無いわよ」

「むしろ、プラトニックな関係の方が問題かも知れません」

乙女心を有する二人(?)は盛り上がっている。


「いい、美咲ちゃんプラトニックだけでもフィジカルだけでも恋愛は成立しないわ」

「そうなんですか?」

「プラトニックだけなら恋、フィジカルだけなら愛。ふたつが揃って初めて恋愛っていうのよ」

「勉強になります」

ここにはギルドの主要メンバーしか居ないので美咲ちゃんも秘書としての立場を忘れてしまったようだ。

 

妙な話で盛り上がっている二人は放っておいて会議を続けよう。


「結社とは同盟するべきじゃろうな」

腕組みをして考えていたギルド長がそう結論付ける。


「ええ、ギルドは人口が多い地域でこそ必要とされる組織です」

いずれどこかの組織と同盟する事は予想していた事態だ。

結社は同盟相手としてはかなり優秀な組織だろう。


結社は国家成立を目的として活動している。

しかし、ギルドはあくまで多民族多国籍の企業体として活動すべきだ。

ギルドが国家成立を目的とすれば他の組織との同盟はやりにくくなる。

それは絶対に避けなければいけない。


自分の考えを皆に説明する。


「それが一番じゃろうな」

「あたしたちが国家になれば警戒する相手もいるでしょうね」


ギルドが国家の形を取らない限り各地に支部を建設できる。

現在、支部の構築に関しては田中さんが試行錯誤を重ねマニュアルも完成しつつある。

今後、都市国家が乱立する時代になってもギルドが企業体として活動していけば国籍、民族を問わず自由に加盟出来るだろう。

そうすれば、いずれ世界にもギルドシステムが拡がる。独自の武力と独立した経済力を持った存在として・・・


全てはそれから始まるのだ。


○工房ではおっさんが自慢気に祥子さんを案内している。

工房は以前オレが見た時よりずっと大きくなっている。

職人もおっさんとアキラだけでは無く各地から希望者を受け入れ増えている。


「賑やかになったな」

傍らに立つアキラに話しかける。


「今では武器や防具だけじゃなく農機具や工具なんかも作ってる」

アキラが広がった工房の奥を指差す。

そこではおっさんから技術を習った新人の職人たちが農機具などを作っている。


人口が増えた事で必要とされる仕事も変わってきたな。


「う~む、自分が持っている剣は鉄板を削っただけだがこれは素晴らしいな」

祥子さんはおっさんから渡された新作の剣をうっとりとした表情で見ている。

美人に誉められておっさんは余程嬉しかったのか新作の剣を祥子さんに渡そうとしている。

「しかし、自分は払うべき代価を持っていない」

祥子さんは剣を返そうとしているが瞳は期待に輝いている。

「構わねえよ。記念に持って行きな」

おっさんが祥子さんに剣を押し付ける。

「だが・・・いいのか?」

迷った祥子さんがこちらを見つめる。

「気に入ったんなら貰っておけば?」

「しかし、自分はギルドの人間では無いし勝手に武装を強化してもいいのだろうか?」

-ああ、それを気にしていたのか。

「問題無いよ」

オレは迷う祥子さんの背中を押す。


-ギルドと結社の同盟は不回避だ。

さっき祥子さんを監視していたマスターが引っ込んでから戻って来ないし、今ごろみんなで会議でもしているんだろう。

お互いを滅ぼせない以上、ギルドと結社は同盟する以外に道は無い。

後はお互いが納得する条件を話し合うだけだ。


-ハルカ、それとなく条件を探っておいてくれ。


-はい。


優子さんと香織さんもここのところの溺愛生活で完全に立ち直った。

これなら同盟締結の為に結社に旅立っても大丈夫だろう。


-考えてないようで結構考えていますよね。


-男は愛する女の為なら大抵のバカは出来るもんだ。


-・・・ぽっ


なぜかハルカが赤くなった。




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