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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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調査編8

○暗い森を抜けると徐々に木々が疎らになってきた。

この辺りは水場から遠く土地も痩せている為、誰も住んでいない地域だ。

そのうえ各集落への通り道でも無いので閑散としている。


-なんだか空気が冷たい感じがしますね。


確かに生物の気配のある土地は空気に熱量を感じるがここにはそれが無い。


-ハルカ。オレはお前の兄を殺すだろう。接続を切れ。


オレは二人を救出に来たがコウモリ男は危険だ。

あの男はオレたちの誰よりも高速で移動出来、自由に各地に出没する。

正直、とっとと始末したい。


-嫌です。この件は私の見通しの甘さが招いた物です。私には全てを見届ける義務が有ります。


-お前があの男の行動に責任を感じる必要は無い!接続を切れ!


あの男は自分の意思で行動している。ハルカに責任は無い。


脳内から熱が消えハルカが接続を切ったのを確認した。


そのまま荒野を進んで行くと一台のバスが止まっていた。

外側は黒く焦げておりタイヤも失っている。

おそらく避難しようとして盗賊にでも襲撃されたのだろう。


風向きが変わりバスの方から風が吹いてくる。


-この匂いは・・・

バスの方からいい匂いと悪い匂いがしてくる。



「そこで止まれ!!」

バスの壊れた扉から一人の男がゆっくりと降りてくる。


オレは指示に従いその場で足を止める。


-少し遠いな。


これでは走ってバスに辿り着くより男がバスに戻る方が早いだろう。


「二人は無事か?」

匂いからして生きているのは分かるが確認したい。


「武器を捨てろ!」

男はオレの言葉を無視して怒鳴る。


二人の無事を確認する為にオレは大人しく武器を捨てる。


「鎧を脱げ!」

大人しく鎧を脱ぐ。


「服もだ!」

・・・大人しく服を脱ぐ。


「全てだ!」

上半身だけでいいだろうと思ったのだが違ったらしい。


オレは荒野で全裸となり仁王立ちをする。


なんというか誰も連れて来なくて良かったかもしれないな。

こんな姿を見られれば変態扱いされかねない。


「むうっ!」

男はオレの下半身を見て何故か唸る。


・・・まさか、そういった趣味の持ち主じゃないよな?


「二人の姿を見せろ!」

オレの要求に男はバスに向かって手招きをする。


二人の女性が降りてきた。


間違いない!優子さんと香織さんだ。


距離があるので細かくは確認出来ないが大きな怪我はしていないようだ。


二人は両手と両足を縛られ動きを封じられている。口にも拘束具が付けられている。

良かった。二人とも無事だ。武装解除され拘束はされているが怪我はしていない。



「そのまま動くな!」

男はゆっくりと弓を構える。



「う~っ!」

「ぐぅう!」

優子さんと香織さんが男を妨害しようとするが二人はバスにも縛られているようで男に近づく事が出来ない。



う~ん、地味な手段だがそれだけに対抗策が思い付かないな。


「動くなよ」

男が引き絞った矢を放つ。


ドンッ!


男の放った矢がオレの肉体に突き刺さる。


「ううっ!」

「ぐ~っ!」

オレに突き刺さった矢を見て二人が悲鳴をあげる。


-大丈夫だよ。この距離ならそれほど深くは刺さらない。

だから二人とも暴れないでくれ。

そんなに暴れたら手足にロープが食い込んでしまう。


男は次々と矢を撃ち込んでくる。

矢はオレの胸や腹、肩や脚に突き刺さる。


「くっ、しぶとい奴だ」

男はオレがなかなか倒れないので焦れてきた。


オレの全身は男に撃ち込まれた矢で針ネズミのようになってしまった。

-うん、痛いがまだ死ぬ事は無いだろう。

幸い一番大事なとこにも矢は刺さってないしね。


優子さんと香織さんは大きく目を見開き涙を流している。


-もう少しの我慢だ。

この距離の矢でオレを殺すのは難しい。

男はトドメを刺す為にオレに近付く筈だ。

その時が男を倒し二人を助けるチャンスだ。

このまま耐えれば勝機はある。


オレがそう思っていると男は弓を仕舞い何かを取り出した。


「貴重なのでこれは使いたくなかったが仕方ない」

男の手に黒光りのするなにかが握られている。


-銃!しまった!銃の存在を忘れていた。


銃は少数しか存在しておらず弾丸も貴重なので存在自体を失念していた。


銃弾ならこの距離でもオレを倒す事が出来るだろう。


「これで貴様も終わりだ」

男は慎重に狙いを定め引き金を引く。


バンッ!


轟音と供に打ち出された弾丸が高速で回転しながらオレの頭部に迫る。


-これはヤバイ!

以前も撃たれた事はあるがその時はさとるさんが直ぐに手当てをしてくれたから助かったのだ。

しかも頭を破壊されたらいくらなんでも死んでしまう!


オレは咄嗟に頭を少し傾けた。


●轟音と供に真人の巨体が倒れ込んだ。


「ふぅ、しぶとい男だったな」

私たちを拐った男が額に滲んだ汗を拭う。


私たちは町中で銃で脅されこの男に拐われたのだ。

それをなんとか真人に伝えようとしたが猿轡をされていたので声が出なかった。


「ギルドの悪鬼を倒した私はこれで組織の幹部だ」

男は倒れた真人を見てほくそ笑む。


-こいつ!絶対に!絶対に殺してやる!


私は憎しみを込めて男を睨む。


「念の為、トドメを刺しておくか」

男は私の視線を無視して倒れた真人に銃を構えて近付いていく。


-真人!真人!真人!


男の放った銃弾が真人の頭部に当たるのが私の位置からはっきりと見えた。

隣を見てみると香織が地に伏せて泣いている。

香織の位置からも見えたのだろう。

いくら強靭な真人でも頭を破壊されては生きていけない。


-真人!真人!真人!真人!真人!真人!真人!真人!


私も縛られたまま地に伏せて泣いた。


「きっ!貴様!なぜ!?」

男の悲鳴に億劫だが顔をあげる。


「いってぇ、さすがに死んだかと思ったぜ!」

男の銃を持った手を握りしめて大きな身体が起き上がる。


-真人?


信じられない想いで立ち上がった巨体を見る。


-真人!真人!真人!真人!真人!真人!真人!真人!


○頭を軽く振りながら立ち上がる。

-ちょっと頭がフラフラするが大丈夫みたいだな。


優子さんたちの方を確認してみると二人とも信じられないような顔をしている。


-うん、驚かせてしまったな。

いや、オレ自身も驚いた。


男の放った銃弾が当たる瞬間に咄嗟に頭を振った事が幸いした。


男の放った銃弾はオレに生えた双角の右の角に当たったのだ。


頭に手を伸ばして角を確認する。折れても無いし傷付いても無い。

まさか発射された銃弾をはじく程の強度があるとは思わなかった。


「くっ!」

握られた手を動かしジタバタ暴れる男を見据える。


「組織ってなんだ?」

さっき、この男は妙な事を口にしていた。

結社では無く組織と言っていたのだ。

結社の事だろうか?しかし、それではオレを殺しても幹部にはなれないだろう。


「は、放せ!化け物め!」

むっ!化け物とはひどいな。


「組織ってなんだ?」

握った手に力を込める。


「ぐうぅ、誰が言うか!この化け物!」

手の中からにぶい音がする。

男の手の骨が砕けたのだろう。


男は脂汗を滲ませながらも口を割らない。

もちろん、オレはこの男を許すつもりは無い。

男にもそれは分かっているのだろう。

口を割る気配は無い。


-う~ん、どうしようか?

優子さんと香織さんにやったであろう事を考えるとあっさり殺すのも勿体ないんだが・・・


てか、こいつ前にもさくやさんと京子さんを拐って拘束してたな。


-ふむ。


オレは男の体を地面に押し付ける。


「こ、殺せ!」

うつ伏せになった男は覚悟を決めたようだ。


「組織の事を言えば殺してやる」

「誰が言うか!私は断じて口を割らんぞ!」


-ふ~ん、そっか。それじゃ試してみよう。

オレは男のズボンに手をかける。


「な、なにをする!」

男の言葉を無視して一気にズボンを引き降ろす。

「や、やめろ!」

男はオレが全裸であった事を思い出して顔を青ざめている。


「勘違いするなよ!」

オレは大きな声で間違いを正す。

男相手に勃起などするか!


なんか、優子さんと香織さんが期待に満ちた目でこっちを見てるような感じがするな。

そっちにもアピールしとかないと不名誉な誤解をされてしまいそうだ。


手をごそごそ動かして手頃な石を探す。

-あっ、あった。

ちょっと大きいけど、まあいいか。


「言わないとこれをぶちこむぞ」

男の眼前に手にした石と岩の中間みたいな石を見せる。

どこにぶちこむかは言わなくても分かるよね。


それを見た男の体が小刻みに震え始める。

それをぶちこまれるとどうなるか分かったのだろう。


「そ、組織は・・・」

男は震える声で組織の事を語り始めた。


組織はここからずっと南方にある団体だそうだ。

男は自身の飛行能力を駆使してそこまで辿り着いたようだ。

男はいつまで経っても自分を認めない結社を見限って組織に忠誠を誓う事にした。


「組織にはハルカでは無い新たな神がいるのだ!」

話している内に男はどんどん興奮してきた。


新たな神?なんだ?そりゃ?


「新たな神は素晴らしい!我々、全てを救う存在だ!」

男の目は完全に逝ってる。

「新たな神はどうでもいいがなんで二人を拐ってオレを殺そうとした?」

「神託だ!」

神託?

「新たな神とやらに言われてオレを殺そうとしたのか?」

「そうだ!この悪鬼め!」


-う~ん、どうも分からん。

南に組織とやらが存在しているのもハルカのような変異者が存在しているのも分かったがそれがオレを狙う理由が分からない。

多分、会った事無いと思うんだけどなぁ。


男は震えも止まり顔には笑みが浮かんでいる。


-もう、いっか。

これ以上聞いても何も分かりそうに無い。

それに下半身裸の男を全裸で押さえ込むのはオレの精神的ダメージが大きい。


「ほいっ」

軽い声と供にオレは手にした大きな石を男にぶちこんだ。


「ぐぎゃああああっ!」

男が絶叫しながらのたうち回る。


ちょっとサイズが大きすぎたかな?

それに色々尖ってたからな。


男の尻は血で真っ赤に染まっている。


「貴様~!」

男は血で染まる尻を押さえながらオレを睨む。


「別に話したらぶちこまないとか約束してないぞ?」


「じゃあな」

話したので約束通り殺してやろう。


オレを睨む男の頭を踏みつける。


「貴様~!きしゃま~!きじゃま~、き・・・じゃ・・・ま」

グシャ!

男の頭がオレの脚の下で潰れる。


全身に突き刺さった矢を引っこ抜く。少し痛いが幸い内臓に達した矢は無さそうだ。出血も筋肉を締めればほとんど止まるな。


オレは男の死体を放っておいて優子さんと香織さんの元に向かう。


二人は縛られたままオレの方に出来るだけ近寄ろうとしている。


-ああ、そんなに動くとロープが・・・


オレは全力で走って二人を抱き締める。


「ううぅ」

「ぐうん」

二人は縛られたままオレの胸に顔をうずめ泣いている。

「怖がらせてごめん」

二人を拘束していたロープを引きちぎる。


「真人!」

「真人さん!」

自由になった二人に強く抱き締められる。


-ああ、いい匂いだ。


二人の匂いを胸一杯に吸い込む。


オレは全裸。そして二人は半裸に近い姿だ。

となればやることは決まっている。


「優子さん!香織さん!」

オレはその場で二人を押し倒そうとする。


「待って!」

「落ち着いて下さい!」

押し倒されそうになった二人が慌ててオレから逃れる。


「なんで?」

オレは二人にじりじりと近付いていく。


「いや、だって。私たち汚れてるし」

「そうです。せめてお風呂に入りたいです」


「二人が汚れたなんてオレは思わない」

むしろ汚されたのならオレが清めなくては!

使命感と欲望に燃えてオレは二人に近付く。


「違うの!」

「そうじゃ無いんです!」

二人が慌ててオレを押し止める。


-ん?なんか話が噛み合ってない?


「えっと、その鎧は取られて捨てられちゃったけど・・・」

「その、余りにも小さいというか・・・ほぼ、無いというか・・・」


-ん?


二人の言葉に首を傾げる。


「あれじゃちょっとね」

「あれではね」

二人は何とも言えない表情で男の死体を見ている。


オレは男の死体を足で引っくり返す。


・・・股間にタニシみたいのがくっついてる。



えっと、これって・・・

なんかめり込んでるみたいになってるんだが・・・


「大きくなってもサイズは変わらないみたい・・・」

「えっ!?大きくなってました?」

二人はそれを見て苦笑している。


二人とすれば汚された感覚は無いそうだが色々触られて気持ち悪いのでひとまずお風呂に入ってさっぱりしたいそうだ。


これって変異の影響なんだろうか?


そういえば、さくやさんと京子さんを拐った時も何もしなかったな、こいつ。

しなかったんじゃなく、出来なかったのか・・・

・・・なんというか男として同情するぞ。


オレは心の中で男に合掌した。


-ハルカと接続切っといて良かった。




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