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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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調査編6

○「真人ちゃん、無事で良かったわ!」

オレが不思議な少女、ハルカから解放された時に見たのは泣き腫らしたマスターの顔だった・・・


心配させた事は悪かったと思うし無事を喜んでくれるのも素直に嬉しい。

しかし、どうにもこう残念な感覚がある。

いや、悪いのはオレ(正確にはハルカ)なんだけどね。

まぁ、こんな所に優子さんや香織さんがいる訳無いよねぇ~


ん?

「なんで、ここにマスターがいるの?」

オレが居るのは結社の最深部、門外不出、一子相伝の秘密の場所の筈だ。


-いえ、別に一子相伝じゃないですよ。


-ああ、そう言えばそうだね。


んん?まだ、脳内にハルカの声がするぞ?


あれ?オレはもう解放されてるんだけど?

なんで?


-私からの加護のプレゼントです。


-加護のプレゼント?なにそれ?


-私の一部をあなたの額に埋め込みました。これでいつでもどこでも私と交信可能ですよ。


脳内でエヘンと小さな胸を張るハルカの姿が浮かぶ。


-なに本人の同意無しに勝手な事してんの!?

額にハルカの一部?

少し違和感のある額を触ってみると微かな膨らみを感じる。


-なにこれ?


-私の一部です。

脳内でハルカはどや顔だ。


もしかして、益々凶悪な顔になったんじゃないだろうなぁ。


-もし、これで二人優子さんと香織さんに振られたら責任取ってもらうぞ!



-自分で言うのも何ですが私の加護は激レアです!私は有能ですしお得ですよ!


確かにハルカは膨大な知識を有し世界の深部とやらにアクセス出来る超存在だ。

でも、これってプライバシーの侵害じゃないだろうか?


-安心してください。あなたからアクセスしない限りはプライベートに干渉するつもりはありません。


ん~?それならいいかな?


-でも、これって結社全員に同じ事をすればスゴい事になるんじゃない?

通信設備が崩壊した現代でこれは新たな通信になる可能性があるんじゃないだろうか?


-これは私の体内に入った方のみ限定です。


-いや、だから希望者を体内に招待すればいいんじゃない?


-絶対にイヤです!不特定多数を体内に招くなんて有り得ません!


どうも、ハルカにとって誰かを自分の体内に招くというのはかなりの抵抗がある事のようだ。

オレも自分の体内にヒトを招くなんてゴメンだけどな。


でも、正直惜しい。せめて、優子さんと香織さんだけでもお願いしたい。そうすれば、いつでも二人と連絡出来る。


-まだ、包み込むぐらいなら手を触れるぐらいなので我慢しますが、体内に招くのは絶対にイヤです!

-なんとかお願い出来ない?

-イヤです!それにお二人も嫌がると思いますよ。

-ん?なんで?

スマフォやネットを知る者にはこの能力の有用性は理解出来ると思うけど?

-だって、そんな、私がいくら清らかで純真な超美少女でも、やっぱり、その乙女の園に入るのは・・・


・・・なんだかオレとハルカの認識に妙な齟齬がある。オレはハルカの体内に招かれるという事をなんとなく、こう手に包まれるような事だとイメージしていたのだが、なんだか全然違ってるらしい。


いや、ちょっと待て。OK、少し落ち着こう。つまり、男性には2つあって、女性には3つあるって事か?口ならハルカもここまで嫌がらないような気がするから・・・


・・・つまり


-ハルカ、おまえ・・・

-だって、仕方ないんです!加護を与えるにはあれしか方法が無いんです!

-いや、でも・・・

-あなただけです!あなたをある意味では産みましたが私は清い身です!ちゃんと乙女です!

-いやぁ〜、それはどうだろう?ある意味、全部入ってたわけだしなぁ。

-ほら!あれです!あれ!伝説の!あんな感じです!

-いや、あれは受胎であって出産は違う。そもそも言葉として成り立たなくなる。

-違います!違うんです!私は乙女!乙女なんです!

-まぁ、ほら、な、元気出せ。こういうのは気の持ちようだ。

-本当に乙女なのにぃ〜

-うん、そうだな。ハルカは乙女だな。うん。な、元気出せ。




なんだかハルカが悶絶してるが、今はそっとしておこう。こういうのは時間が解決してくれる。そもそも、いきなり咥えこまれたオレも一種の被害者だしな。・・・でも、父親である議長には絶対に内緒にしておこう。いくらなんでもショックがでかすぎるだろうし。


-でも、マスターがなんでここに?

ハルカの事は結社の機密事項なんじゃ?

マスターたちには街の調査をお願いしてたんだけど?


「二週間も連絡が無いから心配したわ」


・・・二週間?・・・二週間!?

オレの感覚ではハルカの体内に取り込まれたのはついさっきなんだけど!?


-私の体内で様々な事を色々してましたからそれぐらいは経ってますよ。

脳内でハルカが平然とつぶやく。復活早いな、こいつ。


どうも、オレがハルカの体内に取り込まれて感じた時間と現実の時間には大きな差異があったようだ。

なんだか浦島太郎みたいだな。


ハルカは心配無用と周囲に説明していたそうだが結社からすればギルドの幹部を不法に逮捕して拘束、さらに訳の分からない状態にしてしまい相当慌てたようだ。

議長の指示で街中に潜伏して調査をしていたマスターたちとなんとか連絡を取りギルドに対して敵意の無い事を必死に説明したそうだ。


結果、マスターはオレの状態を確認する事を強く要求し、この最深部まで入ってきたらしい。


-強くってなにしたんだろう?


-結社とギルドの戦争一歩手前って感じですね。

あっさりハルカは言うがそれを防ぐ為の行動だったんじゃなかったっけ?


-あなたを解放すれば万事解決する訳ですから問題ありません。


いや、問題あるだろう。

どうもハルカは知識は有るが人間の感情というものを軽視しているらしい。

感情のもつれから起きた戦争だってあるんだぞ。


「とにかく、オレは無事だから安心してくれ」

オレがそう言うとようやくマスターは落ち着いてくれた。


-やれやれ。


「玲子たちは?」

ここにはマスターの姿しか見えないが一緒に行動していた玲子や藤井くん、案内人はどうしたのだろう?


マスターによると玲子たちは街を離れ郊外で潜伏中のようだ。

「玲子ちゃんには連絡が無かったら本部に戻って突入部隊を連れて来るように言ってるわ」

「連絡が無かったらってどれくらいの間?」

「二週間よ」

「・・・それって今日なんじゃない?」

「・・・そう言えばそうね」


オレとマスターは顔を見合わせる。

「「・・・」」

「それってマズくない?」

「マズいわね」


オレとマスターは大慌てで玲子たちを迎えに行った。

結社の人たちも付いて来たがったが玲子を興奮させると危ないので遠慮してもらった。

興奮した玲子が結社の人を殺害でもすると本当にギルドと結社が戦争になりかねない。


オレとマスターはなんとか玲子たちと合流する事が出来た。


玲子と藤井くんは約束の日になってもマスターやオレが戻って来ないのですでに本部に向かって旅立っていた。

旅立っていた玲子たち二人を追いかけなんとか追い付く事が出来た。

際どいタイミングだった。


その日はそこで夜営して明日、再度結社に戻って交渉する事にした。


「それじゃ、真人ちゃんは本当に大丈夫なのね」

マスターの言葉に大きく頷く。

額に多少のアクセントが出来たがオレに悪影響は無い(外見以外ではだけど)

マスターに調べてもらったがオレがハルカに洗脳された形跡も無い。

ひとまず安心していいだろう。


ハルカとの接触は驚いたが大きな収穫もあった。


「今、結社は内部で二派に別れてる」

一つは議長を中心にした結社の穏健派。

もう一方はコウモリ男ことハルカの兄を中心とした急進派。


「どこが違うの?」

お土産兼心配させたお詫びの鶏もどきを夢中で頬張りながら玲子が質問する。

藤井くんも初めて食べる鶏もどきにすっかり魅了されたようだ。


機嫌は治ったようだな。


議長を中心とした穏健派は結社の設立メンバーが多く主流派とも言える。

彼らはハルカを守りその知識でより良いクニを造ろうと考えている。

現実派とも言える。


一方、コウモリ男を中心とした急進派は若い結社メンバーが多く、こちらはハルカの事を新世界の女神として信望している。

ハルカの知識や確度の高い未来予想を神聖視したようだ。

彼らはハルカの知識や未来予想を利用して結社の勢力拡大を目論んでいる。

妄想派と言ってもいいかもしれない。


「でも、そのハルカちゃんの未来予想はスゴいんでしょ?それなら、勢力拡大は可能じゃないかしら?」

「本人の協力が得られない」


自由に移動出来ない彼女にとっては平和こそが重要なのだ。

急激な勢力拡大を企む急進派は彼女にとって危険な存在になっている。


急進派の中でも兄であるコウモリ男は何度かハルカに接触して加護を得ようとしたらしいがハルカに拒否されまくってるそうだ。当たり前だけどな。


その行動が目に余るとして現在、コウモリ男は各地の調査に回されている。

まぁ、どさ回りって感じだろう。


-そんな事して大丈夫なのか?

むしろ目が届かない事を利用して良からぬ事を考えているんじゃ?


-はい。私を独占しようと計画していますね。しかし、動けない私を独占するには街の実権を握らなくてはいけませんが、あの兄にそこまでの人望はありません。

身内をばっさり切り捨てるハルカであった・・・


「まぁ、議長を中心とした穏健派となら協力しても大丈夫だと思うよ」

ギルドはその性質上、人口が多い地域の方が拡大しやすい。

人手不足に苦しんでいる結社側にとってもギルドの協力はありがたい筈だ。


「正式な同盟は本部のさとるさんたちとの相談が必要だけど少なくとも敵対するのは得策じゃないと思う」

ギルドと結社は現在存在する集団の中ではかなり強力な武装集団だ。

その二つの組織が争うのは避けたい。


オレの(ゆうこさん)(かおりさん)にもしもの事があったらイヤだしね。


その夜はマスターと色々話し合った。

結果、結社穏健派となら協力してもいいとの結論に達した。

結社全体との同盟にはギルド本部の承認が必要だろうし、急進派の行動も見極めなくてはいけない。

幹部二名オレとマスターと幹部候補玲子ではこれぐらいが精一杯だろう。

その幹部候補は話の途中で眠り込んでしまったが・・・


「とりあえず、あたしたちも少し休んで街に戻りましょ」

「そうだね」


オレとマスターは起き出した玲子と先に休んでもらっていた藤井くんに見張りをお願いして少し眠る事にした。


「なんじゃ!こりゃ!」

オレの額にあったハルカからの加護とやらは起きてみると大きく成長していた。

昨日は確かに微かな膨らみぐらいだったのに!


慌ててマスターから鏡を借りて自分の顔を確認してみる。


オレの額の右には大きな角が、左には右よりやや小さな角が生えていた。

恐る恐る触ってみると結構硬い。


-これは大きく育ちましたね。


-どういう事だよ!これは!?


-私とあなたの相性は想像以上に良いようですね。


どうやら植え付けられたハルカの肉体の一部が急成長したようだ。


-どうすんだよ。これじゃ、完全に鬼じゃないか・・・

いや、元々オーガではあるんだけどね。


-大丈夫です。肉体的にはむしろプラスしかありませんよ。

いや、そういう問題では無いんだ。

すげぇ凶悪になってるような・・・


「大丈夫よ。真人ちゃん似合ってるわ」

「そうだよ!アニキ、カッコいいって!」

「そうです!そんなに顔は変わってませんよ」

マスターたちが落ち込んだオレを慰めてくれる。

・・・藤井くんの言葉にちょっと傷付いたけど。


-これで(ゆうこさん)(かおりさん)さんに嫌われたら本当に戦争だからな!



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