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崩壊した世界でみんなで楽しく生きていく〜サバイバル〜  作者: 伊右衛門


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調査編1

○オレたちは各地で盗賊を退治しながら旅を続けた。


「いい加減うんざりするわね」

木陰に隠れる盗賊たちをマスターが弓で次々と倒していく。


「こいつらで10組目?11組目だっけ?」

突っ込んできた盗賊の一人を鉈剣で薙ぎ払う。

盗賊の身体が二つに千切れる。


「12組目だよ」

「えっ?11組目じゃありませんでしたっけ?」

「12組目!間違いないって」

玲子と藤井くんは突っ込んできた盗賊を生け捕りにしてふん縛っている。


今日もまた盗賊退治だ。


なんか、毎日のように盗賊を退治してるな、オレたち。


程無く、襲ってきた盗賊たちは玲子たちが捕らえた一人を残して全滅した。

途中で盗賊たちは逃げようとしたんだがマスターの弓から逃れられる訳も無い。

生かしておいても周辺に迷惑をかけるだけの存在だろうから襲ってきた盗賊は基本的に全滅させている。

追いかけてまで殺したりはしないがこれまで逃げ延びた盗賊はいない。


倒した盗賊は適当に掘った穴の中に放り込み、生き残った盗賊に近くの集落まで案内させる。


「あんたが一番最近襲った集落に行きなさい!いいわね!」

「ひいぃ、は、はい」


怯えまくる盗賊を槍でつついて歩かせる。


こうして退治した盗賊を連れていくと集落から感謝され、その後の交渉が上手くいく事が多い。

・・・ひょっとして、ゲームや小説などの勇者一行が盗賊や怪物を積極的に退治するのはその為かもな。



「ありがとうございます」

集落の代表者は盗賊を連れていった事でオレたちを信用してくれたようだ。

やっぱ、盗賊退治の効果は絶大だな。


この集落の代表は顔が犬のように変異している。

住民の中にも変異者がいる事から人間至上主義では無さそうだ。

やれやれだ、人間至上主義の集落だといきなり攻撃されたりする事もあるからなぁ。


連れてきた盗賊は集落の住人に引き渡す。

住人たちの厳しい視線に晒されて生き残りの盗賊は今にも失神しそうだ。

まぁ、失神した方が奴にとっては幸せだろうけど。

これまで引き渡した盗賊が許された事は無い。

ほとんどが処刑され、一部が集落の奴隷として生き延びている。

刑務所や裁判所なんて無い今の世界では仕方ないだろう。


さて、こいつはどっちかな?


引き渡した盗賊を見ていると真っ赤な顔をした男が盗賊に近付いてきた。


「こいつが!」

近付いてきた男は盗賊を持っていた棒で激しく打ち据えた。

倒れた盗賊に馬乗りになり男は尚も棒で盗賊を殴っている。

「こいつめ!こいつめ!」

周囲の人々の誰も男を止めようとはしない。


「あの男の妻が・・・」

集落の代表がその光景を見ていたオレたちに説明してくれた。

あの盗賊は彼から妻を奪い犯して殺したそうだ。


あの男を殺したところで殺された女性が戻ってくる訳では無いが少しは気が晴れるだろう。

殺された女性も愛した男に仇を討ってもらえてた方が成仏出来る筈だ。


結局、引き渡した盗賊は男にあっさり叩き殺された。


うん、自業自得だね。


「あたしたちはかつての首都を目指して旅をしてるの。今晩ここに泊めてもらえないかしら?」

それを無視して集落の代表と交渉に移る。


あれはこの集落と盗賊との問題でオレたちが関わるべき問題では無い。


オレたちの態度からこの問題に関わるつもりが無い事が代表にも伝わったのだろう。

今夜は代表の家に泊めてもらえる事になった。


「そんなに遠くにも生き残った人々がいるんですね」

食事をしながら代表に各地の情報を伝える。


「探せばまだまだ生き残っている人はいるわ」

マスターが力強くうなずく。


現在ではネットやテレビ、ラジオなどでの情報収集は不可能になっている。

その為、オレたちのように遠方から旅をしてきた者は生きた、それも最新の情報源となる。

その日もやはり代表に各地の情報を聞かれた。


ここから行ける範囲にどんな集落があるか?

その集落の規模は?

そこにどんな人たちが住んでいるのか?

そこではどんな作物を作っているのか?

どんな物が余っていてどんな物が足りないのか?

などなどを代表に伝える。


もちろん、盗賊の情報や変異体、新生物の情報も教える。


こうしてオレたちから得た情報を元に各集落が交流し団結していってくれれば盗賊などの被害も減るだろう。


「ところで皆さんはどうして旅をしているんですか?」

「あたしたちはギルドって組織のメンバーで結社って組織の事を調べに来たの」

ここぞとばかりにマスターがギルドの事を代表に説明する。


「なるほど、そんな組織を作るなんてすごいですね」

ギルドの事を説明された代表は感心したように深く頷いている。


「あくまでギルドは相互扶助の為の組織よ。決して誰かを支配する為の組織じゃ無いの」

大事な事なので代表に念を押す。


ギルドは変異の度合いに関わらず誰でも参加してお互いを助け合う組織だ。

誰かを支配しようとは思っていない。

大事なのは変異した者としていない者(本当はみんな変異してるんだけどね)が共存する事だ。

その為にギルドは存在するのだ。


「ええ、分かります。この村にも外見で誤解され逃げてきた者は多いんです」

せっかくウイルスパニックから生き延びてもインパクトのある変異をした者は住んでいた所を追われる事がある。


「一度、結社の使いを名乗る方がこの村を訪れた事があります」

その結社の使いは村を守る代わりに結社に参加するように要求したそうだ。

代表の話では結社はギルドと違い参加した集落を支配するようだ。


ギルドにもギルド法があるがそれはあくまでギルドとギルドメンバーを守る為に存在する。

武器の所持や通行の自由の保証、ギルドの報酬の無関税化。

さらにギルドメンバーが、万が一、罪を犯した場合はギルドが裁判権を有する事がギルド法には明記されている。

これは人間至上主義の集落などでの冤罪を防ぐ為、作られた。

集落の人々に対して殺人や強盗、強姦などの重大な犯罪を犯したメンバーは当然ギルドによって処罰され、最悪の場合はギルドによって処刑される。


だが、ギルド法では協力を求められない限り基本的に各集落の内政には干渉しない事になっている。


ギルドが集落と協力関係を望むのに対し結社は集落に結社に従う事を要求するそうだ。


「この村にはそぐわなかったので結社の方には引き取ってもらいました」

だが、その後少し困った事になったそうだ。


「これまで交流のあった集落から交流を断られてしまったのです」

幸いここから少し離れた所にある集落だったので影響は少なかったが突然の事だったので驚いたそうだ。

「それがどうも結社は結社に参加していない集落との交流を禁じているようなのです」

交流を断られた事から代表がその集落まで出向いてこっそりその集落の代表者に教えてもらったそうだ。


う~ん、なんでそんな事をしているんだろう?


「勢力拡大の為じゃないかしら?」

まぁ、周辺の集落が全て結社に参加していると参加していない集落は孤立してしまう。

そうなると困るので参加していない集落や参加したくない集落もいずれ参加せざるを得ない。

そうすると結社は労せずに勢力を拡大出来るな。


まるでオセロみたいだな。


でも、このやり方だと人間至上主義の集落でもそうじゃない集落も関係無く取り込めるか。

ある一定の地域を支配するには上手い手段かもしれないな。

気に入らないけどね。


その後も、夜遅くまで代表と様々な事を話し合った。


「それじゃ、お世話になりました」

翌日、お礼を言って代表の家を出る。


「いえ、こちらこそ色々教えてくださり助かりました」

少し眠そうな顔で代表が笑う。

オレたちが休んだ後も色々考えていたのだろう。


「昨夜、考えてみましたがこの村には結社より自由なギルドの方が似合っていると思います」

そう言って笑う代表と握手する。


「では、お気をつけて」

「ありがとう」


ここが孤立しないよう、いずれこの集落にもギルド支部を立ち上げなくてはいけないな。


「それじゃ結社とやらを見に行きますか」


オレたちは代表に教えてもらった集落に向かい旅を再開させた。

その集落は嫌々、結社に参加しているそうなので結社の情報が貰えるだろう。




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