↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻ったわたくしは、あのひとからお義兄様を奪ってみせます!  作者: 秋月真鳥
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/62

25.試験結果と学園のプロムナード

 学年末の試験は、二年生で習った範囲が全部出るのでとても難しかった。

 わたくしはかなり苦労したが、脳内でお義兄様と会話しながら試験を切り抜けた。


――アデリー、この問題は引っかけ問題かもしれない。最後までよく確認して。


 はい! お義兄様!


――アデリー、ここで使う公式は覚えているよね?


 はい! お義兄様に教えてもらいました!


 試験を終えて結果が出るまでの数日、わたくしはとても緊張していた。

 試験結果が貼り出される日、授業棟のホールに行ってわたくしはミレーヌ殿下と一緒に順位表を見ていた。


「ミレーヌ殿下、四年生の九位に入っておられます」

「アデライド嬢は首席ですよ!」


 最初に見たのは、わたくしがミレーヌ殿下の成績で、ミレーヌ殿下がわたくしの成績で、お互いのことを一番心配していたのだと分かった。


 わたくしは無事に首席の座を守れたようだった。


「今回はわたしの勝ちですね」

「一点差ではありませんか」

「それでも、勝ちは勝ちです」


 ダヴィド殿下とマノンお姉様は三年生の成績表を見て競っていた。

 今回はダヴィド殿下が首席を取ったようだ。


「やった! 首席だ! 主席がとれた!」


 歓声を上げている方を見れば、ドナが一年生の成績表の前で両手を振り上げている。学年末の試験が一番難しいのに、主席がとれたということは、ドナも相当努力したのだろう。


「ミレーヌ殿下、プロムはどうなさいますか?」

「わたくし、ヴィクトル殿下をお誘いしました。ヴィクトル殿下からも王立アカデミーのプロムに誘われました」

「わたくしもお義兄様から王立アカデミーのプロムに誘われたのです」

「それではご一緒できますね」

「はい。よろしくお願いします」


 わたくしとミレーヌ殿下が手を取り合って喜んでいると、ダヴィド殿下がちらちらとマノンお姉様の方を見ている。


「マノン嬢、プロムの相手は決まらなかったのでしょう?」

「わたくしの魅力が分かる相手がいないようで」

「わたしと一緒に出ませんか?」

「ダヴィド殿下とですか……。まぁ、パートナーなしでプロムに出るよりはマシですね」


 仕方がなさそうに言うマノンお姉様に、ダヴィド殿下は苦笑しながらも嬉しそうにしていた。


 学園から一度それぞれ王宮やタウンハウスや寮に戻ってプロムナードの準備をする。

 わたくしが用意していた若草色のドレスに着替えると、お義兄様がわたくしの部屋をノックして迎えに来てくださった。

 お義兄様は目の色によく合う緑色のフロックコートを着ていた。


「アデリー、とてもかわいいよ」

「ありがとうございます、お義兄様。お義兄様も素敵です」


 お義兄様の手に手を重ねて、馬車まで導いてもらう。馬車に乗ると、お義兄様も乗って、ドアを閉めた。馬車は石畳の上を揺れながら学園に向かう。

 学園の講堂で全校生徒を集めたプロムナードが開かれていた。

 お義兄様の入学のときにも、わたくしの入学のときにも、お義兄様の卒業のときにも使われた講堂がひとの波で狭く感じられる。


 わたくしたちが講堂に入ってくると、ミレーヌ殿下とヴィクトル殿下が挨拶に来てくれた。


「アデライド嬢はマクシミリアン殿の目に合わせたドレスを着ることにしたのですね。とてもお似合いです」

「そういえば、この色、お義兄様の目の色でしたね」

「気付いておられなかったのですか?」

「わたくし、昔から緑や青系の色が好きで、そんな色ばかり着ていました」


 言われてみればわたくしの若草色のドレスはお義兄様の目の色に似ている気がする。意識したわけではないが、お義兄様に合わせられてわたくしは嬉しく思う。


「マックス、今日はお互いに楽しもう」

「ヴィクトル殿下は王立アカデミーのプロムもあるのですよ」

「そのときもミレーヌ殿下と楽しむから問題ないよ」


 ヴィクトル殿下がミレーヌ殿下の肩を抱いて、ミレーヌ殿下が頬を染めている。その姿にわたくしはお二人が仲睦まじそうでよかったと思った。

 お義兄様がわたくしの手を取ってダンスに誘う。

 講堂の一角では、音楽隊が音楽を奏で、ダンスの輪ができていた。


「アデリー、わたしと踊ってくれる?」

「はい、お義兄様」


 お義兄様にリードされてわたくしは踊り出す。お義兄様とは体格差があるので、踊るのは難しいのだが、お義兄様はとてもリードがお上手で、わたくしは気が付けば自然に体が動いていた。

 ミレーヌ殿下もヴィクトル殿下と一緒に踊っている。


「パートナーなのだから、踊らないとおかしいでしょう?」

「そういう誘い方が子どもなのですわ」

「失礼しました。マノン嬢、踊ってください」

「はい」


 視界の端では、ダヴィド殿下がマノンお姉様をダンスに誘っている姿が見えた。最初は文句を言っているマノンお姉様だったが、正式に申し込まれるとまんざらでもない顔をしている気がする。


「お義兄様、ダヴィド殿下とマノンお姉様、どう思います?」

「ダヴィド殿下はマノンを誘ったの?」

「はい。今、踊りの輪に入ってきますよ」


 踊りながら小声でお義兄様に囁くと、お義兄様がダヴィド殿下とマノンお姉様の方を見る。ダヴィド殿下はマノンお姉様を完璧にリードしていて、マノンお姉様も楽しそうに踊っているようだ。


「ダヴィド殿下がマノンのことを……悪くないんじゃないか」

「わたくし、お二人のことを応援しています」

「辺境伯家が王家とつながりを持てるのはいいことだろう」


 お義兄様もダヴィド殿下とマノンお姉様を応援する姿勢のようだった。


 踊った後で、講堂の隅の方に移動すると、お義兄様が給仕から飲み物を受け取っている。銀色のお盆の上にグラスを乗せた給仕は、お義兄様に言われた通りに飲み物を渡していた。


「葡萄ジュースを二杯頼む」

「心得ました」


 年齢的にわたくしはまだアルコールは飲めないし、お義兄様もプロムナードの席でアルコールを飲むつもりはないようだった。葡萄ジュースのグラスは葡萄酒のようにも見える。お義兄様から受け取って一口飲むと、葡萄の甘みと酸味が口の中に広がった。


「王立アカデミーのプロムは学園のプロムと違うのですか?」

「年齢層が上がってくるね。王立アカデミーに所属しているのは、学園を卒業したものか、士官学校を卒業したものだから」

「わたくし、浮いてしまうのではないでしょうか」

「アデリーには常にわたしがついているから平気だよ。ミレーヌ殿下も来られるだろう?」

「ミレーヌ殿下もヴィクトル殿下にお誘いを受けたと仰っていました」


 お義兄様がいて、ミレーヌ殿下がいて、ヴィクトル殿下もいるのならば問題はないだろう。わたくしがそう思っていると、お義兄様がふと思い出したように言う。


「王立アカデミーには結婚している学生もいるんだ」

「年齢的にはおかしくありませんね」


 王立アカデミーに入学できるのは学園を卒業したものか、士官学校を卒業したもの。どちらも成人年齢は超えている。この国では学園を卒業したり、士官学校を卒業したりするとすぐに結婚するのが普通だ。婚約も学園に入学するころにはし始める貴族が多い。

 わたくしも学園に入学する年にお義兄様と婚約をした。

 貴族としてはごく普通だと思っている。


「アデリーとわたしは五歳年の差があるけれど、貴族の結婚ではもっと年の差があることも珍しくはないからね。クラリス夫人とセドリック殿とか」

「確かに、そうですね」

「王立アカデミーのプロムにもアデリーより年下の子が来ているかもしれないよ」


 そういうこともあるのかとわたくしは思う。

 まだ行ったことのない王立アカデミーの敷地内に入れるのが、わたくしは楽しみだった。

読んでいただきありがとうございます。

感想、ブクマ、評価、リアクション等していただけると、作者の励みになります。

コミカライズ版もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。