↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人見知りさんが異世界行ったら何故か人見知りがスキルになりました  作者: 白前 中
大親友に会いに

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
188/245

経由地王都セントシャイアへ

「カレンさん、そろそろ減速してくださいぃ! 前方に大きな壁が見えてきましたぁ!」




「ガルゥッ!」


鈴の声に合わせ、カレンが猛烈なフットブレーキをかけました。ズズズズズ……と凄まじい風圧を巻き起こしながら、カレンエクスプレスがピタッと止まったのは、カサートへの経由地である王国最大の都市――王都セントシャイアの巨大な城門から少し離れた街道の木陰でした。




「ふにゃぁぁ……。相変わらずお外の移動は心臓に悪いですぅ……」


「本当に数時間で王都まで来てしまいましたね……」


シートベルトを外したヒルダが、まだ信じられないといった様子でカタカチと震えながら馬車を降ります。




鈴は周囲に人がいないことを確認すると、マジックバッグ【深海の深淵】を広げました。


「えいっ、カレンエクスプレス、お片付けですぅ」


流線型の装甲馬車がズブズブとポシェットの中に吸い込まれ、あとは鈴、ヒルダ、セイナのぬいぐるみ、そして赤いリボンを誇らしげに揺らすカレンだけが残ります。




「よし、カレンさん。ここからはお騒がせしないように、大人しく街に入る列に並びましょうねぇ」


鈴たちは城門へ向かって歩き出しました。しかし、どれだけ大人しくしていても、レベル700の巨体は目立ちすぎます。




「おい、見ろ……あれは……っ!?」


門番の若い兵士の一人が、カレンの姿を見るなり顔面蒼白になって叫びました。


「大変だ! Sランク指定の超危険魔物『リボンベア』が攻めてきたぞ!!迎撃陣形を展開しろーーーっ!!」




「ひ、ひぎゃああっ!? 攻めてきてないですぅ! 観光(通りすがり)ですぅぅ!」




鈴がカレンの後ろで涙目になっておろおろしていると、バタバタと奥から駆けつけてきたベテランの兵士長が、若い兵士の頭をパーンと叩きました。




「バカ野郎、静かにしろ! ……おい、お前ら、剣を収めろ!」


「えっ!? ですが兵士長、リボンベアが……!」


「よく見ろ、首元にあのパステルピンクの……じゃなくて、可愛いリボンがついているだろう。あのクマは無害だ。そのまま通していい」




実はこの兵士長、前回鈴とカレンが王都にやってきた際、その圧倒的な大人しさと「ととのい」のオーラを間近で目撃していた生き残り(?)だったのです。




「は、はあ……。しかし、その聖女様はどちらに……?」


兵士たちが首を傾げます。それもそのはず、鈴はすでにスキル【条件反射の擬態】と【魔力隠蔽】をフル稼働させ、背景のレンガ壁やカレンの毛並みの影に完全に同化していたため、誰一人としてそこに少女がいることに気づいていなかったのです。




「……ふにゃぁ、今のうちにササッと通り抜けるですぅ……」


壁と同化したまま、すり足で門をくぐる鈴。カレンも「ガルゥ(お邪魔します)」と会釈しながら後に続き、一行は混乱を起こすことなく、見事に王都をスルーして通り抜けることに成功しました。








その頃:セントシャイア王宮・フィオナ王女の部屋




「なんですってぇぇーーーっ!? 城門に、あの神聖にしてラブリーなリボンベア様(カレン)が現れたというのですか!?」




近衛騎士からの定例報告(不審者情報)を聞いたフィオナ王女は、ガタッと豪華な椅子から立ち上がりました。




「間違いないわ……! カレン様がいるということは、近くにわたくしの愛しの鈴様がおられるということですわ! こんなところで大人しくお説教を食らっている場合ではありませんことよ! すぐに合流して、わたくしも一緒に――」




フィオナ王女はキャスケット帽を引っ掴み、即座に「第二次・王宮脱出作戦」を結構しようと部屋の隠し扉へと走りました。……が。




ガチャン!!!




「フィオナ様、どちらへお出かけですか?」


「ひゃうっ!?」




隠し扉を開けた先には、なんと白銀の甲冑に身を包んだ近衛騎士たちが、ガッチリとスクラムを組んで通路を塞いでいました。




「な、なぜここが……!?」


「前回の反省を活かし、国王陛下の命により王宮内の警備はこれまでの5倍、万全の体制となっております。




フィオナ様が以前お使いになった抜け道や隠し通路も、すべて魔導花崗岩で完全に塞がせていただきました」




「そんな……! わたくしの自由への抜け道が、跡形もなく……っ!?」




フィオナ王女は壁に両手をついてガックリと膝を落としました。


猫神様のお説教と、王宮のガチガチのセキュリティの前に、わがまま王女の脱出の野望は完全に潰えたのです。




「ううっ……鈴様ぁ……! シオンの冷血眼鏡の言う通り、わたくしはただの部外者(置いてけぼり)ですのねぇぇー(号泣)!!」




王女の悲痛な叫びが響き渡る王宮を他所に、カレンエクスプレスに再び乗り込んだ鈴たちは、大親友・風が待つ「もの作りの街カサート」を目指して、再び音速の爆走を再開するのでした。








現在の状況




| 登場人物 | 状態 | 現在の様子 |




| 桜井 鈴| 【王都突破・順調】| カレンエクスプレス内。「王女様に見つからなくてよかったですぅ」とホッ。 |


| フィオナ王女 | 【完全監禁・号泣】 | 王宮の自室。抜け道を塞がれて大号泣。 |


| セントシャイア兵士 | 【練度向上】 | 「あのリボンベアは通してヨシ!」と、鈴たちのスルーパスに成功してドヤ顔。 |


| カレン&セイナ| 【再び爆走】 | 王都を抜けてカサートへの直線道路を猛特進。赤いリボンが風に舞う。 |









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。