私大親友に会いに行きたいです
「……ミ、ミサカ、フウちゃんが……この世界に、転生している……ぇぇぇ……!?」
空間の穴が完全に閉じ、女神様が気配ごと消え去った後も、鈴は猫神様をぎゅっと抱きしめた姿勢のまま、魂が抜けたようにガタガタと震え続けていました。
それを聞いたミィア何故かわくわくしている様子で
「『カゼ』ってやつは、前の世界の鈴の友達なのかニャ!?」
「は、はいですぅ……。わたしの数少ない……いえ、唯一の、お外で一緒に遊んでくれた大親友ですぅ。とっても元気で、物作りが大好きで、わたしの引きこもりなところも全部受け入れてくれていた、大切な女の子なんですぅ……!」
その言葉を聞いたミィアの目が、ニャキーン! と鋭く輝きました。
「……もの作りの街に、鈴の親友……。、これは完全に『新しい冒険の気配』がプンプンするニャ! 鈴、じっと引きこもってるのもいいけど、たまにはお外に出て、そのカサートって街に突撃してみるのニャ!」
「ふぇぇ!? わ、わたしが、お外に出て、よその街へ行くですかぁ!?」
人見知りの鈴は一瞬にして青ざめましたが、大切な風ちゃんがこの世界にいる、しかもすぐ近くの街にいるかもしれないと思うと、胸の奥が熱くなるのを止められませんでした。
「……あ、あの、猫神様。わたし、風ちゃんに、会いたいですぅ……! 頑張ってお外に出て、カサートに行ってみたいですぅ……っ!」
鈴が涙目で拳をぎゅっと握りしめて決意を語ると、ずっと控えていたヒルダが「お待ちください」と、大広間のテーブルの上に大きな革製の地図をさらりと広げました。
「カサートですね。……場所ならここにあります」
ヒルダは地図の一点を指差しながら、元高位騎士らしい冷静なトーンで説明を始めます。
「このカサートという街は、住民の大部分をドワーフ族が占める、大陸屈指の『もの作りの街』です。国家レベルの魔導具から冒険者の最高級武器まで、あらゆる鍛冶や工芸が集まる場所として知られています。……
ただ、ここアステリアから向かうとなると、王都セントシャイアを経由して馬車で5日〜6日ほどはかかる長旅になりますね」
「ば、馬車で5日も……っ!? そんなに長い間、お外の世界を移動するなんて、お腹が痛くなっちゃいますぅぅ……」
早くも挫けそうになる引きこもり聖女。しかし、猫神様は鈴の背中を肉球でポンと叩いて、優しく微笑みました。
「心配ない、鈴。ヒルダもカレンもセイナもついているし、いざとなったら『帰還の肉球』や、さっき女神様から貰った空間創造の鍵だってある。私はおうちでお留守番してるから、安心して行ってくると良いよ!」
「猫神様……。はいですぅ! わたし、風ちゃんに会うために、頑張ってカサートを目指しますぅ……!」
こうして、愛する我が家を一歩踏み出し、大親友・御坂風が待つドワーフの街「カサート」への、大旅行が決定するのでした!
現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 現在の様子 |
| 桜井 鈴 | 【旅立ちの決意】 | 風に会いたい一心で長旅を決意。でも馬車5日の移動に今からブルブル。 |
|ミィア| わくわく|
| 猫神様| 【お留守番・応援】| 「お土産は珍しいタルトが良いニャ!」と、留守中のダンジョン満喫モード。 |
| ヒルダ | 【旅の準備】| カサートまでのルートと、道中の護衛計画・物資の買い出しを爆速で計算中。 |
| カレン&セイナ | 【お供体制】 | カレンは「ガルゥ(馬車は任せて!)」と張り切り、セイナは鈴の肩で羽を休める。 |




