猫神様の説教
「もうシオンなんか頼りませんわ!! わたくしには、あの優しくて尊い鈴様がついておられますもの!!」
四面楚歌となったフィオナ王女は、涙目で懐から『猫耳通信機』を取り出すと、すがるような思いでボタンを連打しました。
「鈴様ぁぁーーーっ!! 助けてくださいましぃ! むさ苦しい騎士たちに捕まって、王宮へ連れ戻されそうなんですのぉー! 助けてくれないと、わたくし、もう二度と鈴様のお顔を拝めなくなってしまいますわぁぁーーーっ!!」
アステリアのサウナに響き渡る、王女の必死の大号泣。
すると、猫耳通信機が『ピッ』と音を立てて繋がり、スピーカーから声が響き渡りました。
『――おいおい、サウナの営業日でもないのに、朝からギャーギャーうるさい』
「ふぇっ!? ね、猫神様!? 鈴様はどちらに!?」
通信機の向こうから聞こえてきたのは、お目当ての鈴ではなく、たまたま鈴の隣で一緒にタルトを食べていた猫神様の、なんとも気怠げで冷ややかな声でした。
『鈴なら今、ベッドで寝転がってる。……それより王女、騎士団が来てるなら、つべこべ言わずに大人しく王宮へ帰るんだ』
「な、なんですってぇぇーーーっ!? 猫神様までわたくしを見捨てるのですか、この薄情猫ぉー!!」
フィオナ王女がさらに大声でごねると、通信機の向こうの猫神様はハァ……と深いため息をつき、一転してドスの利いた神のトーンでビシッと言い放ちました。
『見捨てるも何も、そもそも謹慎処分を破って勝手に王宮を抜け出してきたあんたが100%悪い!!
国のトップに近い人間が、そんなわがままでおうち(ダンジョン)や街のサウナに居座り続けたら、いつか国際問題になって鈴の引きこもりライフが脅かされる! 鈴の平和の邪魔をする奴は、誰であれお説教だ!』
「う、ぐっ……! そ、それは……」
『サウナの営業許可も無事に取れたんだから、一度王宮に戻って、ちゃんと偉い人たちに頭を下げて謹慎を解いてもらってから、堂々と有給休暇を取ってサウナに入りに来ればいい話だ。分かったらとっとと連行されろ!』
正論、あまりにもぐうの音も出ない猫神様の正論マシンガン。
「お、お父様(国王)に怒られるより説得力があって、何も言い返せませんわぁぁーっ!!」
猫神様にまで完全に突き放され、フィオナ王女はついにがっくりと膝をつき、真っ白な灰のようになってしまいました。
「……フィオナ様、観念してください。さあ、王都へ」
「う、ううっ……分かりましたわよ……。戻ればいいんでしょ、戻ればぁ……っ!」
こうして、わがまま全開でごねまくっていたフィオナ王女も、猫神様の鋭い一喝によってついに降伏。白銀の近衛騎士たちに前後をガッチリとガードされながら、涙目で王都へと連行されていくのでした。
「……フッ、ようやく静かになったな。これでサウナの営業準備に集中できる」
シオンは冷たいお茶を飲み干し、ようやく一息つくのでした。
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現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 現在の様子 |
| フィオナ王女 | 【連行中】| 涙目で馬車に揺られながら王都へ。「絶対に、すぐに有給を取って戻ってきますわ…っ!」 |
| 猫神様 | 【ドヤ顔】| 通信機を切り、「ふん、鈴の平和を乱す奴はっ倒す」とタルトをもぐもぐ。 |
| 桜井 鈴&セイナ | 【平和そのもの】| 自室。外の修羅場を一切知らず、ベッドの上でぬいぐるみを抱っこしてウトウト。 |
| シオン | 【営業準備開始】 | 「これで邪魔者は消えた」と、アステリア支店サウナの開店準備を再開。 |




