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人見知りさんが異世界行ったら何故か人見知りがスキルになりました  作者: 白前 中
サウナを普及させよう

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皆で勝ち取った営業許可

「……認めざるを得ないわね。国法にも商法にも、どこにも違反している点がないわ。それどころか、アステリアの経済発展のための特例措置として、今すぐ私がハンコを押してもおかしくないレベルの完璧な書類よ」




エリーゼは書類の束をデスクに置くと、ふぅ、と大きなため息をつきました。


ヒルダの凛とした佇まいと、シオンたちの完璧な論理武装の前に、アステリア商業ギルド長としてのプライドも、書類の不備を突くという防衛線も、完全に突破されたのです。




「けれど、私は自分の目で見て、肌で感じていないものは、商業ギルド長として街の皆にオススメすることはできないわ。……案内しなさい、その『サウナ』とやらに。本当にそこまでの効果があるのか、この私が直々に確かめてあげる!」




「おーっほっほっほ! 望むところですわ! さあ、鉄の女エリーゼ、我が『聖女の隠れ家サウナ』アステリア支店へご案内いたしますわ!」




フィオナ王女が勝ち誇ったように胸を張り、一行はアステリアの宿屋のへとエリーゼを連行(招待)しました。




鉄の女、限界突破の「ととのい」へ




宿屋のサウナ室の前に到着すると、エリーゼは腕を組んで、フンと鼻を鳴らしました。




「ただの温まった木造の部屋じゃない。こんなもので、私の頑固な肩こりや、日々の激務の疲労が取れるわけ――」




「さあ、お喋りはそこまでですわ! お入りなさいな!」


――バタン! ガチャリ(施錠)。




フィオナ王女の手によって、容赦なくサウナ室へと閉じ込められるエルザ。


室内は、普及担当のシオンがその天才的な魔導技術で100℃ジャストに熱制御し、さらにミィアが仕込んでおいた清涼なスチーム(ロウリュ)が、すでに最高のコンディションで満ち満ちていました。




「な、何よこれ……!? 息苦しくないのに、もの凄く熱い……! それに、この鼻を抜ける聖なる香りは一体……っ!?」




熱気によって、日頃の激務でガチガチになっていたエリーゼの血流が急激に跳ね上がります。


数分後、限界まで蒸し上げられたエリーゼが「ひ、開けなさい……!」と扉を叩いた瞬間、待機していたヒルダがガバッと扉を開けました。




「エリーゼ殿、次はこちらです。……ハッ、女性の濡れた体をエスコートするなんて、優雅すぎて恥ずかしい……!(ボォォォッ!)」


「ちょっと、どこへ連れて行くの……ひゃあああああああ(冷たい)!!?!?」




ドボォン!! と、シオンが魔法で常に10℃に保っている、水風呂へドロップインされるエルザ。




急激な温度差により、彼女の脳内に大量の脳内物質(エンドルフィン)が駆け巡ります。




鉄の女の崩壊




数分後。


サウナ別館のテラスにあるベンチ。


そこには、虚空を見つめたままピクリとも動かない、商業ギルド長エリーゼの姿がありました。




「……あぁ……。アステリアの……税収が……どうでもよくなっていく……。私は、ギルド長……? いえ、私は今、広大な宇宙を漂う一粒の麦……」




あの威厳たっぷりだった「鉄の女」が、だらしなく口を開け、完全に魂が抜けたような顔で天井を見つめています。サウナと、水風呂の超コンボの前に、彼女の頑固な肩こりも、お堅い思考も、すべてがパステルピンクの彼方へと消し去られてしまいました。




「フッ、勝負はあったな」


シオンがメガネをキラーンと光らせます。




「さあ、エリーゼ! 許可書はどこですの!? 今すぐここにハンコを押しなさいな!」


フィオナ王女が、すっかりクラゲのようになったエリーゼの手を無理やり動かし、持参していた許可書類の承認欄に、ギルド長の公式印をパチン! と押させました。




「……はふぅ……。許可……しますぅ……。毎日……入りに……来ますぅ……」




こうして、最強の障壁だった商業ギルド長エリーゼを「ととのい」の虜にすることで、サウナの正式な営業許可書を見事にもぎ取ったのです!




---




一方、我が家(猫神様のダンジョン)




外の世界でサウナ革命の大勝利が収められている頃、鈴の自室では――




「ふにゃぁぁ、つかまえましたぁ、セイナさん! ぎゅーですぅ!」




「あぅ、つかまっちゃいましたぁ~、鈴様の勝ちですぅ!」




鈴は、自分の意思でパタパタと上手に飛べるようになったセイナのぬいぐるみをベッドの上でぎゅっと抱きしめ、お顔をすりすりしていました。




「ふふ、セイナさんが自由にお空を飛べるようになって、本当によかったですぅ。これからは、おうちの中でいつでも一緒においかけっこができますねぇ」




「はいですぅ、鈴様! 私、おうちのどこへでも鈴様についていきますからねぇ!」




外の世界の泥臭い政治交渉やサウナの脅迫(?)劇など、今の鈴たちには1ミリも関係ありません。羽の生えた可愛いぬいぐるみと、それを見てルンルンとはしゃぐレベル501の聖女。我が家には、これ以上ないほど平和で優しい、最高の休日が流れているのでした。






現在の状況




| 登場人物・場所 | 状態 | 現在の様子 |




| 桜井 鈴&セイナ| 【極上の平和・完遂】| 自室。羽の生えたぬいぐるみとのおいかけっこを終え、大満足でまったり中。 |


| 商業ギルド長エリーゼ | 【完全にととのい中】 | テラスのベンチで脱力中。「毎日サウナに通うわ…」とサウナ中毒に。 |


| シオン&フィオナ | 【大勝利・ドヤ顔】| 正式な営業許可書を掲げ、「リベンジ達成ですわ!」と大はしゃぎ。 |


| ヒルダ| 【任務完了】| 「無事に許可が下りてよかったです」と一安心。お留守番の鈴に報告へ戻る準備。 |




---




エルザの攻略に大成功し、正式な営業許可も獲得! これで「アステリア支店サウナ」のグランドオープンへ向けて、障害は何もなくなりました。





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