屈辱を洗い流す
「……うぅぅ、そんなに怒られてボロボロになっちゃったんですかぁ……。なんだか、見てるこっちまで悲しくなってきますぅ……」
どんよりと暗雲を背負う二人を見て、鈴はルンルン気分から一転、すっかりおろおろしてしまいました。
「おいお前ら、そんなに悔しいなら、もう一回サウナに入ってリセットしてくるニャ! ヒルダ、魔石の温度を最強にするニャー!」
「分かりました。騎士として、傷ついた者をそのままにはしておけません。……ハッ、でも私の代わりに書類を作ってくれる人がいなくなったら恥ずかしい……!(ボォォォッ!)」
ミィアの提案とヒルダの羞恥心によるブーストを受け、シオンとフィオナ王女はふらふらと、サウナ室へと引きずり込まれていきました。
サウナ:絶頂のリカバリー
――ゴバァァァァァッ!!!
「おーっほっほっほ! 熱いですわ! 熱いですけれど、エリーゼに言われた屈辱の言葉が、汗と一緒に流れ出ていきますわぁー!」
「はぁ、はぁ……。やはり、我が家のサウナは格が違う……。外の世界の理不尽さなど、この熱気の前にはただの幻影に過ぎない……っ!」
超高温のスチームに包まれ、二人の荒んだ心が急速に浄化されていきます。
その後、キンキンの水風呂を経て、再び大広間のソファへと戻ってきたときには、二人は魂が抜けたような、しかしどこか神々しいまでの脱力感をまとっていました。
「……無ですわ……。エリーゼのことなど、どうでもよくなりましたわ……」
「……あぁ、世界は美しい。サウナがあれば、商業ギルドの許可などというちっぽけな概念、どうでも……」
完全に「ととのい」の向こう側へ行ってしまい、ソファでふにゃふにゃのクラゲのようになっている二人。
聖女の慈悲:【清らかな水】発動!
そんな二人を、鈴はソファの陰からそっと覗き込んでいました。
衣服はサウナの蒸気でしっとり濡れ、燃え尽きた灰のようになっているシオンと王女。そのあまりにも憐れでみじめな姿を見て、鈴の心にほんの少しの「同情(憐れみ)」が芽生えました。
「……あぅぅ。サウナで大人しくなったのはいいですけど、なんだか干からびたお魚みたいで、本当にかわいそうですぅ……」
鈴は小脇に羽の生えたセイナのぬいぐるみを抱えたまま、そっと二人の前に歩み出ました。そして、小さな両手をきゅっと握りしめます。
「……お外でお仕事頑張ってくれて、お疲れ様でした。【清らかな水】……っ!」
鈴のレベル501の膨大な魔力がスパークし、彼女の手のひらから、パステルピンクの光を帯びた、これ以上ないほど澄み切った聖水がコンコンと溢れ出しました。
その聖水は、優しく宙を舞うと、ソファでへたばっている二人の口元へと導かれていきます。
「……ん? この、五臓六腑に染み渡るような、奇跡的な潤いは……」
「……はっ!? 体の細胞が、パステルピンクの輝きで満たされていく……!?」
コクッ、と鈴の聖水を飲み干した瞬間、二人の全身に衝撃が走りました。
サウナ上がりの完全に水分を欲していた体に、最高純度の聖水(しかもLv.501の余剰魔力入り)が限界まで吸収されたのです。
「な、なんですのこれぇぇーーーっ!? 髪が、わたくしの髪がシルクのようになめらかに、お肌が真珠のように輝き出しましたわぁー!」
「おおお……っ! 頭脳の演算速度が通常の3倍、いや5倍に跳ね上がる……! これが、鈴殿の『聖なる水』……!」
鈴の憐れみから放たれた聖水のおかげで、二人は精神的ボロボロ状態から、一瞬にして「超・完全復活」を遂げてしまいました。
「ふにゃぁぁ! 元気になるのはいい記述ですけど、そんなに大きな声で迫ってこないでくださいぃぃ!」
せっかくの慈悲だったのに、再び目をらんらんと輝かせ始めた二人に驚き、鈴は羽の生えたセイナのぬいぐるみを盾にするようにして、大慌てで一歩下がるのでした。
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現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 現在の様子 |
| 桜井 鈴 | 【親切が裏目に】 | 二人を憐れんで能力を発動したら、元気になりすぎてちょっと後悔。 |
セイナ | 【盾にされ中】| 鈴の前に浮きながら、「元気になってよかったですぅ!」と能天気。 |
| シオン&フィオナ | 【超・完全復活(サウナ+聖水)】 | サウナとピュア・アクアのコンボで、心身ともに最強の状態へパワーアップ。 |
| ヒルダ&ミィア | 【呆れ】 | 「鈴殿の優しさは素晴らしいですが、あの二人に与えると燃料になりますね……」 |
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サウナと鈴の聖水によって、エルザにへし折られた心を120%修復した二人果たしてどうなってしまうのか?




