空気の違うフィオナとシオン❓
「ふにゃぁ……。やっぱり、セイナさんのぬいぐるみは落ち着きますねぇ……」
カレンがいない寂しさを埋めるように、鈴は自室のベッドでぬいぐるみをぎゅっと抱きしめていました。壁一面に広がる水槽の青い光と、セイナの持つ【慈愛の抱擁】の柔らかな魔力が合わさり、部屋の中は極上の癒やし空間。数時間のんびりとお茶とお菓子を楽しんで、鈴のライフは完全に回復していました。
「そろそろ、リビングの様子を見に行ってみましょうかぁ……」
鈴がぬいぐるみを抱えたまま、セイナ(霊体)と一緒に恐る恐る部屋を出て、サウナ前のリビングへと向かうと――そこには、数時間前とは明らかに空気の違う二人の姿がありました。
数時間後:サウナ依存症(中毒)の目覚め
「……ハッ!? わたくしは一体、何を……?」
「……脳の霧が晴れた。これほどクリアな思考は数年ぶりだぞ……」
フィオナ王女とシオンが、ついにディープな「ととのい」から覚醒しました。
カレンが横で「グルゥ……(動くな)」と低く唸り、鋭い爪を見せつけて威嚇しますが、二人は怯えるどころか、自分の体に起きた劇的な変化に驚愕していました。
王都からの強行軍や悪徳商人との戦い、そして幻影の鈴に燃やされ続けた心身の「大いなる疲労」が、サウナと水風呂の超回復によって跡形もなく消え去っていたのです。おまけに鈴の聖水の効能で、フィオナの肌は文字通りピカピカのツルツル、シオンの魔力回路も驚くほど全快していました。
そこへ、鈴がひょこっと顔を出します。
「ひ、ひぎゃあ!? も、もう目が覚めちゃったんですかぁ!?」
鈴が悲鳴を上げた瞬間、シオンとフィオナは弾かれたように立ち上がり、カレンの威嚇をすり抜けて、鈴の前にスライディング土下座を敢行しました。
「「鈴様(殿)!! どうかわたくしたち(俺)を、このサウナの専属会員にしてくださいませ!!」」
「ふぇ、ふぇええええええ!?」
必死の「居残り」プレゼンタイム
さっきのような狂気的な暴走ではなく、あまりの快適さにガチで感動した二人は、ここに置いておいてもらうために必死のプレゼンを始めました。
「鈴様! わたくし、王宮で最高権力の料理人に仕込まれましたの! 毎日のディナーやおやつのケーキは、わたくしがこの手で作らせていただきますわ! だから……だから毎朝サウナに入らせてくださいまし!」
(お姫様なのにエプロンを持参する気満々のフィオナ王女)
「鈴殿! 俺の魔力があれば、あのサウナの魔石の出力を常に最適化し、ついでにダンジョンの床掃除から換気扇の魔導具掃除まで、すべて俺の完璧な魔法でこなしてみせる! だから、週5で水風呂を使わせてくれ……!」
(天才魔導師のプライドをサウナ室に置いてきたシオン)
「な、何ニャお前たち! 鈴のメイドと雑用係に立候補する気ニャ!?」
部屋から出てきたミィアが目を丸くし、ヒルダも「……まさか、サウナの快感でここまで御しやすくなるとは……」と唖然としています。
「うぅぅ……。暴れられるよりは、お掃除やご飯を作ってもらった方が助かりますけどぉ……」
鈴はぬいぐるみをぎゅっと握りしめながら、目の前で「お願いしますわ!」「頼む!」と必死に手を合わせる二人を前に、困り果ててしまうのでした。
現在の状況
| 登場人物 | 役職(希望) | 現在の状態 |
| 桜井 鈴| 【ダンジョンの主】 | 断りきれずに押し切られそう。「お掃除してくれるなら…あぅぅ」 |
| フィオナ王女| 【自称:専属シェフ】 | サウナでお肌がツヤツヤになり、やる気満々。 |
| シオン | 【自称:サウナ管理人】 | 早くも魔石の温度管理を始めてヒルダの手間を省こうとする。 |
| カレン&セイナ | 【お目付け役】| 「変な動きをしたら即サウナ送りですぅ!」と見張る。 |
こうして、まさかの「ストーカー二人が優秀な家政婦(夫)として居着く」という、奇妙なダンジョン共同生活の幕が開けようとしていました。




